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脅迫するか、未来を問いかけるか

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私は少し血圧が高めで、2年前から総合病院の高血圧内科に通っています。私の担当医は、40歳台後半ぐらいの、とてもてきぱきした感じの先生です。

血圧手帳というものがあって、毎日朝と晩に血圧を測って記録し、それを持って、3ヶ月に一度、外来で診察を受けます。ところが私はとても不真面目な患者で、手帳は空欄だらけ。

「桜井さん、もう少し真面目につけなきゃだめですよ。血圧を下げるためには、毎日意識することが大事なんですから。このままだと、薬の量を増やさないといけないですね......」
「あ、はい。すみません」

私は、恐縮して病院を後にします。その後、私が血圧を真面目に記録しているかというとそれはあまり変わらない。もちろんこれは私の問題なのですが、この先生の診察が終わるたびに、内心では、もう少し違う言い方をしてくれれば、とも思うのです。

先日、コーチ・トレーニング・プログラム(以下CTP、現在のコーチ・エィ アカデミア)に参加している医師から聞きました。このような外来を、「説教外来」とか「脅迫外来」と呼ぶらしい。

その先生は、大きな病院で糖尿病の外来を担当しています。

「桜井さん、僕はコーチングを学ぶ前は、その先生よりもっとひどかったんですよ。『もっと真面目に取り組まないと良くなりませんよ』『このままだと、失明する可能性がありますよ』僕は、毎日患者を脅迫してました。もちろん、患者のためと思ってやってたんですけど、それで患者の行動が変わるのかというと、そうでもない。逆に疎まれてたように思いますね」

彼はコーチングを学んでから、「未来」を聞くようになったといいます。

「何ができますか?」
「この先、何をしたいですか?」

その問いかけによって患者に話させることにより、患者が以前よりもやる気になり、行動量が増えている。実際に自己管理のサポートになっていることを実感しているといいます。

医師と患者の関係に限らず、上司と部下、教師と生徒、親と子などの関係の中で、私たちはついついお説教をしてしまいがちです。もちろん、お説教が必要なときもあるでしょう。しかし、時にはお説教よりも、相手に未来を問いかけるようなアプローチが有効なときもあるのだと思います。

私の次の外来は、1ヶ月後。担当医に、血圧手帳と一緒にコーチングの書籍を渡してみようと思っています。

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