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チャンク
コピーしました コピーに失敗しましたチャンク(chunk)という言葉をご存知でしょうか?
もともとの意味は「塊」。
チャンク・オブ・ブレッドといえば、パンの塊。チャンク・オブ・チーズといえば、チーズの塊。
コーチングでは、よく「言葉の抽象性のレベル」を表すのに、このチャンクという言葉を使います。
ビッグチャンクというと、大きい塊、つまり言葉の抽象性が高い。スモールチャンクは、小さい塊で言葉の抽象性が低い。要するに具体的。ミドルチャンクはその中間。
例えば、人に何かリクエストをするときに、この3つを使い分けることができます。
わかりやすく、「料理を作ってもらう」ということを例に取れば、
「うまいもの作って」これは、ビッグチャンクのリクエスト。
「子羊と赤ピーマンを使ってフランス料理を作って」は、ミドルチャンクのリクエスト。
「この素材で、このレシピを使って、このビーフストロガノフを作って」となれば、スモールチャンクのリクエスト。
仕事で報告書を書いてもらうのに、
「わかりやすく書いて」は、ビッグチャンク。
「最初に結論を書いて、後は時系列に項目を整理して書いて」は、ミドルチャンク。
「A4サイズ1枚以内で、まず最初にこれを書いて、次はこれ、次はこれ、最後はこの内容を盛り込んでしめてくれ」は、スモールチャンク。
相手に質問するときのチャンクというのもあります。営業から帰って来た部下に、
「営業どうだった?」は、ビックチャンクの質問。
「先方の部長は、提案に対してどんな感想を持たれた?」は、ミドルチャンクの質問。
「いくらで見積もりを提示して、いつまでに回答をもらえることになった?」は、スモールチャンクの質問。
相手の答えのチャンクをこちらの質問で「移動」させることもできます。ビッグチャンクをスモールチャンクにしていくことを「チャンクダウン」といいます。
「営業どうだった?」
「まあまあでした」
「もう少し具体的に教えてくれるか?」
「提案には良い反応を示してくれましたが、見積金額に少し難色を示されました」
逆に、チャンクのレベルを質問によって上げていくことを「チャンクアップ」といいます。
「先方の部長の反応はどうだった?」
「提案の内容、予算、納期についてそれぞれ具体的なコメントをいただきました」
「ひとことで部長の反応を表現するとどんな感じ?」
「気に入っていただけたと思います」
チャンクは場面によって使い分けられるのが理想です。
コンプライアンス的なことを部内に徹底させるときには、スモールチャンクでリクエストし、また質問するのがいいでしょう。
逆に、自由に発想して新商品を生み出して欲しいときなどは、ビッグチャンクで要望を投げかけたり、細かいことをいちいち聞かずに、大づかみで進捗を確認するようなスタンスがいいかもしれません。
ただ、おそらくみなさんの周りの人を見てもおわかりになるように、チャンクには人それぞれの「癖」があります。
スモールチャンクを使う傾向の強い人。「あの人いつも細かいよな」などと言われてしまうような方ですね。
一方、ビックチャンクを好む人。「何を言っているのか観念的で中味がさっぱりわからないよね」と言われてしまう方。
まずは、周りの方に聞いてみるといいかもしれません。「私ってビッグチャンカー? ミドルチャンカー? スモールチャンカー?」と。
コミュニケーションをマネジメントにおいて機能させるには、なんといっても、それをどんな場面においても「戦略的に」使うことです。
意図してチャンクを選べるといいですね。
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