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PULLとPUSH

PULLとPUSH | Hello, Coaching!
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今まで数多くのコーチのもとでコーチングセッションを受けました。コミュニケーションスタイルも違いますし、私とコーチの組み合わせによって起こるダイナミズムも違いますから、当然、コーチとのセッションの体験は、それぞれユニークです。

私にとって有益で、成果が上がったコーチングのコーチは、以下のような特徴がありました。


・ビジョンの言語化をさせた
・課題と思っていることをより具体化させた
・関わっている周りの人についての話をたくさんさせた
・ブレーンストーミングがあった
・私自身へのフィードバックがあった
・コーチ自身の経験やケースの情報提供があった
・私がかつて話したことを常にリマインドしていた
・本、知識などの情報提供がコーチ側からあった
・私が話した内容を正確にまとめて、最後に確認した


逆に、あまり成果が出なかったコーチングのコーチの特徴は、以下のようなものです。

・質問ばかりされた
・特にアジェンダがなく、こちらが話したいことを取り上げた
・「どうなっていたいか? 何がしたいか?」という話が多かった
・会話のパートナーではなく、聞く人、話す人、いずれかの立場にしか立っていなかった
・コーチからの情報提供がなかった
・話をして終わった


このように比較すると、私の場合、成果が上がるコーチが持つ特徴は、「引き出す」ことと、「提供する」ことのバランスの良さにあり、成果の出ないケースでは、「引き出す」ことに終始していると言えます。

「コーチングは相手から引き出すこと」という言葉が独り歩きしている傾向がありますが、実はこの「引き出す=PULL」「提供する=PUSH」の調合がキーポイントであり、クライアント側が取り組んでいる目標やスキルや動機づけのレベルによって、その配合は変わります。

コーチは相手が自由に話ができるように問いかけをすることで「引き出す」ことが重要であるのと同様に、相手に必要なアイディアを提案したり、必要なスキルを教えたりする、という「提供する」スキルも必要です。

以下は、クライアント側の意欲とスキルレベルに基づくPULLとPUSHのポイントの一例です。

・意欲が高くスキルが高い
PULL:次のステップ、可能性、アイディア、他の選択肢

・意欲が低くスキルが高い
PULL:動機となること、チャレンジしたいこと、十分にチャレンジさせているかの確認

・意欲が高くスキルが低い
PUSH:まず方向性を指示。その後自走させる。新しいスキルや知識、ゴール

・意欲が低くスキルが低い
PULL:動機となること
PUSH:具体的な方向性、具体的な行動

(参考:Coaching Successfully; John Eaton & Roy Johnson)

クライアントの状況、スキルレベル、動機づけ、ゴールの内容など、さまざまな側面から、今、その相手にPULLとPUSHのどちらが必要かを見極めることが、コーチングの成果を上げるうえで大事なポイントとなります。

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