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会社が衰えるとき
2008年06月25日
会社を経営していると、今現在、どんなに会社の業績が上がっていたとしても、ふと不安になることがあります。
利己的な発言が目立ったり、会議で話されるのが毎回決まった内容だったり、言い争うこともないが、お互いにわかりあったという感じもない。業績は上がっているんだから、ちょっとした問題にこだわらなくてもいい。また、特に問題探しなどしなくていいという雰囲気に包み込まれている。そういうときには、漠然とした不安を覚えます。
反対に、業績が上がっていなくても、未来が明るく思えることもあります。
活気のある会議、上下の隔たりを超えた関わり、組織の透明感、トータルに自由な表現が許されている環境。
社員一人ひとりの表情や行動、態度に若さが感じられているとき、会社は成長できるという可能性を感じます。
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<2007年6月4日~7日 米ジョージア州アトランタで開催されたASTD(人材開発国際会議)のプレゼンテーションから>
ジム・コリンズ(『ビジョナリー・カンパニー2』の著者)の妻は、トライアスロンの選手である。いくつもの大会に出場し、過去には優勝したこともある。
2006年8月、彼女はトライアスロン競技の大会に参加した。彼女は健康そのもので、その大会でも優秀な成績を収めた。
それから2ヶ月後の10月、彼女に癌が見つかった。
幸い早期発見で大事に至ることはなく、手術で治ったが、この経験は、ジム・コリンズにひとつの示唆を与えた。
癌が見つかるたった2ヶ月前には、まったく健康そうに見えた彼女だが、そのときにすでに彼女の体は癌に蝕まれていた。つまり、表面的には問題ないように見えても、内部ではすでに健康を脅かす問題が起こっていたということだ。
このことは、他のことにも当てはまる。たとえば、会社についても同じことがいえる。
順調に業績を上げ、安定しているように見える会社だからといって、その内部に会社の成長を妨げるような問題が起こっていないとは限らない。
表面的に問題が無いからといって、安心していては手遅れになることもあるのだ。
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自分の身体の中で、今何が起こっているかを知るのは難しいことです。同じように、会社の中で起こっていることも、会社の中にいては見えてこないものです。
もちろんブレークダウンが起これば、そのときに注意を向けることはありますが、それ以外はほとんど気がつきません。
私たちは、ときどきは自分の身体からの「メッセージ」に耳を傾ける時間を取る必要があります。そして、微細な変化を察知して、行動を修正する。
同じように、自分の会社全体から発せられる「メッセージ」に耳を傾け、その変化を察知するための時間が必要だと思います。
それは、社員一人ひとりの声であり、顧客の声、また、それが全部集まった時に聞こえる声なのかもしれません。
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