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風が強く吹いている

風が強く吹いている | Hello, Coaching!
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先日、この10月に封切られる予定の映画『風が強く吹いている』の試写会に行ってきました。

原作は、三浦しをんさんの同名小説。登場人物は、箱根駅伝を目指す10人。無名大学の、箱根などほど遠い陸上部。ただひとり、その可能性にかけた主人公のリードで、一人ひとりの選手が箱根を目指し、予選会を通過し箱根を走るという物語。従来のスポコン(スポーツ、根性)ものと違って、「がんばる」という言葉も少なければ、「やる気」という言葉もほとんど出てきません。

主人公のハイジ(灰二)は、4年生でリーダー役ではありますが、特にリーダー風を吹かせることもないし、ましてや怒鳴ることもありません。そうかといって理詰めでチームを牽引するわけでもなく、淡々と練習をこなし、その先に箱根があると確信している。

映画の中で彼は、「短距離の選手は才能がものを言う。でも、長距離は使う筋肉も違うし、練習や努力の報われる競技だ」そう言って、またトラックを走る。

一方、シード校の選手たちは、ワゴンカーに乗った監督やコーチに怒鳴られながら、洗練された練習をこなす。

一方は指導され、一方は自分で考えながら走る。

とくに、この小説の問いかけである「走るとは何か?」、それは、普遍的な人生のテーマである「生きるとは何か?」にもつながっていて、「走る」という単純な行為も、その問いに向き合うことで、深さを増していくことを感じさせます。

走るシーンは全編通して美しく、役者さんたちも、毎日500回の腹筋、5キロのジョギングなど、数年かけて、身体ををつくったそうです。

この、新しいタイプのスポコン映画では、リーダー一人ひとりの個性を大切にし、自発性と自律性に働きかけます。そして、見ている私に、一人ひとりが走る目的を理解するまでは、力を発揮することはないのだ、と思わせます。

映画全体に、押しつけがましいところはありません。

映画の中では、コーチという言葉は使われませんが、ハイジのコミュニケーションの取り方や選手との接し方は、立派なコーチングでした。

『風が強く吹いている』は、汗臭くないスポコンものでした。

私も走って、体を絞ろうかな?
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※ コーチングは、意識と行動に変化をもらたし、組織を活性化させるための人材開発手法です。
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