Coach's VIEW

Coach's VIEW は、最新のコーチング情報やリサーチ結果、海外文献の紹介を通じて、組織改革や人材開発、リーダー開発グローバルビジネスを加速させていくヒントを提供するコラムです。


コーチングは、日々進化している

日本でコーチングが普及して、およそ10年余になります。
この間、コーチングにはさまざまな解釈がなされてきました。

たとえば、コーチングというのは、
従来の指導法よりマイルドなものだというイメージが
定着しているように思います。

しかし、コーチングは単に、
コミュニケーションをマイルドにしたものではありません。


また、他の人材育成の方法と混同されているケースもあります。

しかし、コーチはクライアントにアドバイスをしません。
アドバイスは、コンサルタントの仕事です。
アドバイスをするということは、
本来、もっともコーチしたい部分を奪ってしまうことです。

というのも、コーチの仕事は、相手に考えてもらうことだからです。

「こういうときは、こうすればいい」といってしまえば、
相手の考える機会を奪うことになります。

コーチの仕事は、
クライアントが、自分で考えて、自分で行動して、
自分で評価できるところまでもっていくことです。

誰かにアドバイスをもらうだけで自分で考えることをしないと、
次も誰かに頼らないといけなくなってしまうからです。

スポーツを例に考えればわかりますが、
最終的に、走ったり飛んだりするのは選手です。
コーチではありません。

コーチが、ある特定のやり方を押しつけてしまうと、
その人のもつ強みが薄れてしまう可能性があります。


また、コーチは、特定の知識を伝授することはしません。
必要な情報がどこにあるのかも、特に提示しません。
誰かに頼ることなく、情報を自ら取りにいける人材にするのが
コーチの役割です。

学校の試験勉強には、正解・不正解がありますが、
実社会では、何が正解かわかりません。

正解・不正解のない世界では、
自分で判断したり、自分で考えていったりすることが求められます。
正解はないけれど、それでも自分で考えて、
限りなく正解に近づいていく。そういう胆力が求められるのです。


さらに、コーチは、私的な内容は扱いません。
コーチングは、カウンセリングやセラピーではないからです。
もちろん、そういう部分を扱ってもいいのですが、
それはすでにコーチングではありません。

そして、もうひとつ。
コーチングは、決して万能なわけではありません。
ある文献(*)では、主に以下のようなケースで効果的といわれています。

 ●パーソナル・コーチング/ライフ・コーチング
 ●キャリア・コーチング
 ●グループコーチング
 ●パフォーマンス・コーチング
 ●新任リーダー・コーチング
 ●関係コーチング
 ●ハイ・ポテンシャルまたは開発コーチング
 ●フィードバック報告と開発プランを提出するためのコーチング
 ●目標達成のための行動コーチング
 ●レガシー(遺贈)・コーチング
   → リーダーが定年退職をする際に、
    何を組織に残すかについてのコーチング
 ●後継者コーチング
 ●プレゼンス/コミュニケーション・スキル・コーチング
 ●チーム・コーチング

*(参照)The Executive Coaching Forum 2008 Executive Coaching Handbook

この他にも、セールスコーチ、メディカルコーチなど、
その分野は広がっていると思います。

これらのコーチングの基本は共通していますが、
そこで使うツールも異なりますし、
専門性に応じて特別なトレーニングを必要とします。


コーチは、スポーツ、ビジネスにかかわらず、
人が自分の能力を効率よく発揮するために、
必要な存在になろうとしています。

コーチは、会話を創り出し、クライアントの考え方や解釈を検証し、
再解釈の可能性を開きます。
その結果、現在よりも考え方や行動の選択肢を増やし、
より高い現実対応力をもたらします。

その過程で、必要なスキルや能力、そしてツールがなんであるかを棚卸しし、
それを身につけていくのです。

********************************

コーチングは、国際社会において、
リーダーシップ開発および変化のためのツールとして
当たり前のものとなりつつあります。

特に、過去5年間でコーチングに対する認識は大きく変わったと思います。

10年前は、コーチングが何であるかを理解してもらうために、
多くの時間と労力を費やしました。

しかし、最近では、多くの企業・組織が、
人材開発やリーダー育成、変革のために、コーチングの導入を始めています。

また、近年では、
グローバル化によるアジア、アメリカにおける企業の「現地化」を押し進めるために、駐在員に対してコーチをつけるケースも増えています。


コーチングは新手の説得法でもなければ、
人をコントロールするツールでもありません。
あくまでも、人材開発を目的とした手法です。

また、その手法は、現在進行形で開発中のものです。
人と人との関わり、コミュニケーションの取り方、ツールの使い方など、
日々進化している領域なのです。

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

関連記事