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アポが取れない人、アポが取れる人

アポが取れない人、アポが取れる人 | Hello, Coaching!
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先日、登山家の小西浩文さんの講演を拝聴しました。小西さんは、世界8000メートル峰全14座の無酸素登頂を目指している世界的なトップクライマーです。

「登山中の事故は、圧倒的に下山中に起こる。それは、登頂を目的にしているから。私の登山の目的は登頂ではなく、五体満足無事に家に帰ること」
「登山にも人生にも、偶然は無い」
「人生は、その人が思ったとおりのことが実現している」

小西さんの講演はとても力強く、私にとって印象深いものでした。

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3月からラジオ日本で「コーチングRadio」という番組を持たせていただいています。毎回、経営者の方をお招きし、コーチングを通じて、経営やマネジメントについて自由にお話をしていただく30分の番組です。

先日の収録では、住宅関係の会社の社長をお招きしました。ご存知のとおり、住宅関連業界の景気はあまり芳しくないのですが、その会社は、毎年収益を伸ばし続けているとのこと。
 
そのポイントを伺っていく中で、印象的なお話をいただきました。

「営業に偶然はないと思っています。業績を上げるということを最優先に思っているセールスパーソンは、必ず業績を上げる。簡単に言えば、業績の上がらないセールスパーソンは、業績を上げようと思っていないんです」

「セールスパーソンはみんな業績を上げようと思っているのではないのですか?」
と質問を投げると、次のように返ってきました。

「そんなことはないと思いますよ。セールスパーソン全員が、『業績を上げたいと思っています』と答えるとは思いますが、本当のところでそう思っているとは限らない。この『本当のところ』というのが大切で、その違いはどんなところで顕著に表れるかというと、例えば、営業でよくやる電話によるアポ取りの場面です。

一般的なセールスパーソンは、顧客リストの上から順番に電話をしていきます。弊社の統計では、『2000分の10』の確率でアポが取れることがわかっている。『200分の1』じゃないのは、『2000分の10』のほうが感覚的な信憑性が高いからです。

ところが、20件かけても取れない。30件、40件、50件とかけても取れない。業績の上がらないセールスパーソンは、そこでちょっと一服してしまう。業績を上げるよりも、休むことを優先してしまうんです。一方で、業績を上げるセールスパーソンは電話をかけ続ける。やがて、必ずアポが取れる。アポが取れてからちょっと一服する」

「その行動の差は何によって起こるのでしょう?」

「これは、本当にそう思っているかどうかによる差なのだと思います。2000分の10の確率で、アポは取れる。これは誰もが知っています。

確かに、断られ続けるのは気持ちのいいことではありませんし、ダメージがあるのは当然で、セールスパーソンにはそれから逃れたくなる気持ちが働きます。そのときに、業績の上がらないセールスパーソンは、業績を上げることよりも休むことを優先したり、悲観的な未来に取り込まれたりしてしまう。『そこまでやらなくてもいいか......』『次も断られるに決まってる......』などと思っている。だから、休んでしまうわけです。

業績の上がるセールスパーソンは、そんなときでも、『電話をかけ続ければ、2000分の10の確率で必ずアポは取れる!』『次は取れるかもしれない。かけてみなければわからない!』と思うことができる。だから、断られても次の電話をかけることができるのです」

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冒頭の小西さんは、こうした人それぞれの違いは、「解釈」の違いによって生まれると言っています。
 
目の前の困難な出来事を「不幸」「理不尽」と解釈するのか、「成長のチャンス」と解釈するのか。

山から生きて帰るには目の前の困難を「成長のチャンス」と捉えるしかない。もし、少しでもネガティブな解釈に取り込まれてしまえば、生きて帰るチャンスは無いのだと。

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今週、私は部下一人ひとりと、四半期ごとの面談を行っています。

仕事をどのように「解釈」しているのか。起こっている出来事をどのように「解釈」しているのか。目の前にいる人をどのように「解釈」しているのか。自分自身をどのように「解釈」しているのか。そして、その「解釈」をどのように広げることができるのか。それらをテーマに、全員と話をしてみたいと思っています。

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