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苦手な人との関わりにおける可能性を広げる

苦手な人との関わりにおける可能性を広げる | Hello, Coaching!
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前職のコンサルタント時代、私は、あるプロジェクトでご一緒させていただいていたエレクトロニクスメーカーの経営企画室の室長に、苦手意識を持っていました。

「そもそも、○○についてのデータ分析の切り口が甘いと思うんだけど、それについてどういう認識をしているのかな?」
「普通は、そういうところも、事前に予想してここに来るもんだと思うんだけど、それはお宅の方針なのかな?」

ちくり、ちくりと責めてくるそのやり方は、若手コンサルタントだった私にとって「脅威」でした。
 
この室長は、常に重箱の隅を突いてきて、しかも、それを嫌味口調で言ってくるため、私も少し反応的になり、度々戦ってしまっていたと記憶しています。実際、プロジェクトのリーダーや先輩たちも、そのやり取りで、エネルギーを吸い取られていました。

「......なんで、ああいうやり取りしかできないんだろう、この室長は?」
「......細かいし、ネガティブだし、何なんだ、この人?」

当時は、そういうレッテルを貼ってしまっていたと思います。


しかし、縁ですね。十数年後、彼はその会社の常務として、そして、私は転職してコーチとして、再会する機会があったのです。

一瞬、体に染み込んでいた、あの「脅威」の感覚が確かに蘇りました。お会いする直前まで、その過去の記憶で、体はかすかに硬直していました。

そして、いざ面談。開口一番、彼はこう言ってきました。

「相変わらず、適当な仕事をしているのかな?」
「口から産まれてきた中島君には、だまされないようにしないとね」

恐らく、以前の私だったら、すぐに切れていたことでしょう。

しかし、今の私には「タイプ分け」の知識があります。彼のその嫌味で攻撃的な会話は、「コントローラー」と「アナライザー」の傾向が極めて高いとされる方に見られる会話のひとつです。

ちなみに、私の強い傾向は、「プロモーター」と「サポーター」。「ざっくりと、ポジティブな面や、人の気持ちにポイントをおきがち」なタイプです。つまり、彼とは真逆なのです。ですから、細かく、理論的で、リスクなどをしっかりとシミュレーションしてから、効率的、かつ、効果的に進めたい常務と話を進めていくには、その特徴を理解し、それに合わせていく必要があります。

常務の「嫌味で攻撃的な会話」を笑ってかわしながらも、こちらも意識的に具体的な数字を提示して攻めていきました。すると、今度は面白いように会話が進んでいくのです。(......とはいっても、周りの人にとっては、ヒヤヒヤするような刺激的な会話ですが!)

結果的に、彼は私たちを経営会議に推薦してくれ、全社を挙げてコーチングを導入していただくきっかけをつくってくださいました。その企業様は、今では私たちの会社の中でもビッグクライアントのひとつになっています。

また、タイプ分けを通じて分かったことですが、この常務は「戦うことで相手を知る」タイプでした。つまり、攻撃的で嫌味な会話も、それによって、相手がどう反応してくるかを試しているだけで、本当にそう思っているわけではない、ということ。ボクシングでたとえるならば、そのジャブにどのように応えるかによって、「おっ、こいつはやるな!」だったり、「だめだ、骨のないやつ」だったりと評価が分かれるのです。

以前は、彼の攻撃をそのまま正直に受け止めていましたが、上記のようなタイプの特徴を知ってからは、一言ひとことにそれほど影響されなくなった自分がいました。自分で言うのもなんですが、これは、ものすごい成長です。


相手のコミュニケーションタイプを知るということ。それは、私にとって、自分の苦手だと思っていた人との関わりにおける可能性を広げることができる「きわめて実践的なスキル」のひとつです。

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