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コーチングの純度

コーチングの純度 | Hello, Coaching!
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「コーチングでは、"相手にアドバイスを行わない"と聞いた当初、その提供価値は低いのではないかと思っていました。ただ、実際にコーチングを行ってみると、その考えが変わりました。自分が悩んでいたことも、自分では思いつかなかったような質問によって、新たな視点で考え、答えが出てきました。"アドバイスしないコーチング"の果たす役割を強く感じました」

これは、学部生を対象にコーチングの授業を取り入れた大学での、全講義終了後に寄せられた学生の感想です。

コーチングが他の能力開発方法と一番大きく違うところはどこでしょうか。

そう問われると、「コーチは答えを教えるのではなく、気づきを促すことに特化している」という答えが浮かびます。

国際コーチング連盟が提唱するコーチのコア・コンピテンシー(行動基準)にも、「教える」という項目はありません。

人の能力開発をする場合、知識や解決方法を教える「先生」のような存在が、有力な方法としてまず思いつきます。それを考えると、「教えない」ことで生まれる価値を提供するのが、コーチングの役割といえるでしょう。

コーチングでは、相手が問題を解決するのではなく、問題を解決できる能力(ケーパビリティ)を備えさせることを目的としています。

先の学生は、新たな視点を自分のものとしたことで別の課題に対しても、これまでにはない視点で答えを創り出すことができるようになったのではないかと思います。

コーチ・エィでは、コーチをすることに加え、多くの経営者や管理職の方にコーチングのトレーニングを提供しています。

組織運営においては、教えることも含め、人とのさまざまな関わり方が必要になります。ただ、コーチングという限定された時間をつくり、その場では、質問をして話を聞くということに徹してもらうようにお願いしています。

ただ、「教えない」と頭では理解しながら、ついつい、教えてしまう...という声をよく聞きます。

理由として多いのは、「解決方法を提示しないと、上司としての面目が保てない」というものがあります。

実は、百戦錬磨のプロのコーチでも、「教えない」というスタンスをしっかり持っていないと教えてしまうことが起こります。

「コーチングがうまく進んでいない」
「クライアントが自分とのコーチングの時間に不満なのではないか」

と感じた時に、その不安から解放されたいあまりに、とびきりのアドバイスをし、一時的にクライアントを前進させようなどと考えてしまうからです。

教えることの誘惑に負けないようにするには、相手からフィードバックをもらい、自分の行動を振り返ることがもっとも効果的です。

そこで、コーチング研究所では、コーチング終了後の振り返りを実施できる仕組み、CSES(コーチング・スキル・エバリュエーション・システム)を開発し、世界中のコーチに提供しています。現在、世界27カ国約800人のコーチに利用されています。

このシステムによって、コーチはコーチング終了後にクライアントからフィードバックを簡単にもらうことができます。コア・コンピテンシーに則った18項目の視点から、自分のコーチングがどれくらい効果的だったのかを数値化して把握することができるのです。

また、世界中のコーチの平均点がリアルタイムで表示されているため、自分のコーチングの強みや弱みを知ることもできます。

コーチの役割として相手と接する時には、ぜひ以下のCSES項目と照らし合わせてご自身の関わり方を振り返ってみてはいかがでしょうか。

「教える」などの他の能力開発手法を一旦脇において「まじりけのないコーチング」からもたらされる価値があると、私は信じています。

【CSES コーチの行動に関する18項目】

Q.1 私は、クライアントの話をさえぎることなく最後まで聞いていた
Q.2 私は、上の立場からの指示やアドバイスはしなかった
Q.3 クライアントは、セッション中、気兼ねなく何でも話すことができていた
Q.4 クライアントは、セッション中の意思決定は私ではなく、クライアント自身で行った
Q.5 私は、私自身に対してもフィードバックを求めていた
Q.6 クライアントは、私の質問によって、現状が整理された
Q.7 クライアントは、私の質問によって、新しい気づきを得た
Q.8 私は、気づいたことや感じたことをクライアントに伝えていた
Q.9 私は、クライアントの考えや話をわかりやすくまとめていた
Q.10 私は、私の考えを押し付けるのではなく、クライアントの視野が広がる提案をした
Q.11 私の関わりにより、クライアントの行動の選択肢が増えた
Q.12 クライアントが、具体的な数値や外部基準ではかれるようなゴールを設定するよう関わった
Q.13 クライアントが、セッションの始めに、セッションの目的を明確にするよう関わった
Q.14 クライアントが、セッションの終わりに、セッションの目的が達成されたかを確認するよう関わった
Q.15 クライアントは、次のセッションまでの行動を明確にした
Q.16 私は、アンケートやワークシートなどのツールを使った
Q.17 私は、書籍や事例などの情報を提供した
Q.18 私は、コーチングとは何か(目的、成果、実施方法)について説明した

【参考資料】
CSES Webサイト

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