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「後継者選び」は、いつ始まり、どこで終わるのか?

「後継者選び」は、いつ始まり、どこで終わるのか?
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すべてのCEOが、いずれ必ず、会社を去ります。(Harrell, 2016)

考えてみれば、当たり前のことなのですが、それにも関わらず、さまざまな調査で、多くの企業において、「事業承継(サクセッション)」の準備ができていないという組織の実状が明らかになっているようです。

後継者育成の実態とは?

英語版ハーバード・ビジネス・レビューの2016年12月号に、次のような記述があります。

「2010年に、ハイドリック&ストラグルズ社とスタンフォード大学のコーポレート・ガバナンス・センターが実施したサーベイ結果によれば、『具体的に特定した後継者』を『育てている』ボード(取締役会)は、たったの 54% で、39% は、必要であれば、『即座』にCEOの後を継げる『有望視される社内候補』が『いない』」(Harrell, 2016)

その場合、企業や組織には、どんな影響があるのでしょうか?

「上場している世界中2,500社の大企業を対象に実施された研究によれば、『去りつつあるCEO』の『後任』を『慌てて』見つけようとする企業は、『株主価値』で、平均で18億ドルを『捨てる』ことになる。

また別のリサーチでは、

『サクセッション危機』のときに、新しいCEOを任命するのに時間がかかればかかるほど、その企業のその後のパフォーマンスは、同業他社と比較して、劣る」(Harrell, 2016)

では、「次のトップ」を「事前に指名」さえしていればいいのか? といえば、事はそれほど単純なわけでもなさそうです。

「新しいCEOの1/3から1/2 が、最初の 18ヶ月で失敗しているという試算もある」(Ciampa, 2016)

からです。

厳選しても失敗する事例がこれだけあるのであれば、「選ぶ」だけで、終わってはいけないということになります。

「サクセッション」とは、いつ始まり、どこで終わるのか?

そもそも、どこからどこまでのことを言うのか?

「サクセッション」に関する企業の理解不足について、Dan Ciampa氏は、次のように述べています。

「多くの人々が、『サクセッション』のことを、『社内外の候補者』を見分けて、査定し、次のCEOに必要になる特性を定義し、そして、最終的に、誰を選ぶかを決定するプロセスだと思いがちだが、それは、本当にやるべきことの『半分』でしかない。

『トランジション(役割の変化)』は、厳密には、『包括的なサクセッション』の『後半部分』といえる。

このプロセスは、ボード(取締役会)が選んだ人が、その役職(ロール)を受け入れたときに始まり、その人が、CEOの座に着いた後、数ヶ月間は続く」(Ciampa, 2016)

同氏はさらに、「いろんな意味で、この『後半』ステージの方が、より難しい」とも訴え、その理由を次のように述べています。

「『後半』ステージには、『この組織はどうなるべきか』に対する人々の『感情』、『エゴ』、『信条』が入ってくるからだ。とりわけ、会社の『文化』や『政治』が」(Ciampa, 2016)

この「後半部分」の難しさについて、企業エグゼクティブに対する「トランジション・マネジメント」のコンサルティングおよびコーチングを提供しているMaria Yapp氏は、論文の中で述べています。

「『役割(ロール)』の変化は、ほとんどの人たちが考えている以上に、はるかに難しい」(Yapp, 2004)

そして、この「役割の変化(ロール・トランジション)」の時期に、そのリーダーが組織からのサポートを受けられない場合、リーダーが不適応を起こす可能性が高まり、悪影響として次のようなことが起こる可能性があると、言います。

● 期限を守れない
● 収益損失
● チーム内の衝突(コンフリクト)
● 自信の喪失

おそらく、リストはこれだけでは済まないでしょう。

新しいCEO、新しいリーダーが、「新たな役割」で、いち早く、さらに会社を躍進させていけるように、組織として、何ができるのか?

それには、もはや「研修」の枠を超えた新しいタイプの「開発」が必要になります。

たとえば、Yapp氏はこれを

「新しいロール」にふさわしい新しい「思考のしかた」や「経営のやり方」を開発すること

「もはや助けにならないアプローチ」は「脱・学習(unlearn)」し、「もっとふさわしいアプローチ」を使うこと、に慣れること(Yapp, 2004)

とした上で、「さらに高度な思考の技術」を開発すること(Yapp, 2004)とも述べています。

そのために、コーチは、あらゆる角度から、あらゆる領域について新リーダーの「思考」と「行動」に働きかけます。

さらに、「トランジション・コーチング」の対象は、そのリーダー本人1人だけには留まりません。「新しいリーダー」と共に組織を前進させていく周囲の関係性も視野に入れていく必要があります。

もし、今、あなたが、「トランジション」の真っただ中にいて、コーチが付いていないのであれば、自分自身にこんな質問を投げかけてみることもできます。

「前の役割で求められていたことと、これは、どのように違うのか?」
「私は、今、トランジションの中のどこにいるのか?」
「この組織と私自身が、もっと前進するのを、後押しているのは何か? あるいは、妨げているのは何か?」

人は「問われたこと」に対して「答え」を探すという習性があります。

それが、「新たな思考」と「新たな行動」につながるきっかけになるでしょう。

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<参考文献>
Ciampa, D., 2016, After the Handshake, Harvard Business School Publishing, December 2016 Issue
Harrell, E., 2016, Succession Planning: What the Research Says, Harvard Business School Publishing, December 2016 Issue
Yapp, M., 2004, How can ‘role transition management’ transform your company?, Industrial and Commercial Training, Vol. 36 Iss: 3, pp.110 – 112

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