Coach's VIEW

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あなたは変革の内側にいますか、外側にいますか?

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「安全圏から、ペラペラしゃべってんじゃねえよ」

最近観た映画のワンシーンのセリフです。苦境に直面した登場人物が、「大丈夫、何とかなるよ」と声をかけてきた別の登場人物に返した一言です。

みなさんには、この一言がどのように響くでしょうか?

「あなたに何がわかるの?」

私はこのセリフを聞いたとき、脳裏に鮮やかによみがえったシーンがあります。

前職の化粧品会社でのことです。ある新商品が発売になった際に、少しでも販売の役に立ちたいと、会社の用意したその商品の紹介資料を読み込み、

「この商品をこんな風に紹介したら、買ってくれるんじゃない?」

と、ある美容部員さんに伝えました。すると、彼女から返ってきたのは、

「長田さんに何がわかるの? 実際にお店でお客さまのお相手をしてから言ってよ」

という言葉でした。私としては、少しでも販売の役に立ちたいと声をかけたのに、「何がわかるのか」と言い返され、一瞬何が起こったのかよくわからず、目の前が真っ暗になりました。

どうしていいかわからず、その日のやりとりはそこで終わったのですが、後日、彼女と話す機会があり、率直に思っていること聞かせてもらいました。彼女から返ってきたのは、次のような言葉でした。

「同じ目標に向かっているはずなのに、一緒に向かっている感覚を持てなかった。販売に関して、『自分には関係ない』という印象を受けた。」

商品を一つお客さまに買っていただくために、日々、様々な努力と工夫を重ねている彼女からすると、やったこともないのに口出しする私の言葉は、「偉そうに」聞こえたのかもしれません。

自分が直接お客様に接し、販売をするわけではない。私は私の仕事をするし、あなたはあなたの仕事をしてね。「あとは、がんばって」と。無意識であれ、当時の私の言動は、すべてそうした考えに基づいていたと思います。冒頭の登場人物が指摘した通り、まさに「安全圏」からしゃべっていたのだと思います。

それまでの私は、「お得意先のスタッフや美容部員さんに、いかに頑張ってもらうか?」という視点で物事を考え、スタッフや美容部員さんと関わっていました。しかし、このできごとを境に「お得意先のスタッフや美容部員さんと共に、いかに成功できるか?」という視点に変化していきました。そして、視点が変わることにより、私自身の言動も変わっていきました。

問題を外側から見るか、内側から見るか

ある企業で、組織風土改革をお手伝いさせていただいたときのことです。

その取り組みは、本当に動き出すのに3年間という時間を要しました。3年間様々な施策に取り組んだものの、一向に変化の兆しは見られない。そんな状況で、ある時、社長直轄の組織風土改革チームのメンバーの一人が経営会議で思いのたけをぶつけます。

「役員のみなさんは、私たちに変われ変われというけど、あなたたち自身は変わろうとしないじゃないか。組織風土に関するアジェンダは、時間がないと言って、いつも後回し。結局、経営会議で話されることがない。それに、一度でも現場でメンバーと組織風土について話したことがありますか? 社員は、役員のみなさんが何に時間を使い、何にお金を使うのかで、何を重要と思っているのかを見ているんです。あなたたちは組織風土を変えるためにどれだけ時間を使っていますか? あなたたちが変わらない限り、組織風土改革はうまくいくわけがない。」

「あなたが問題の一部でなければ、解決策の一部にはなり得ない」
If you're not part of the problem, you can't be part of the solution.

これは、世界の紛争解決のために「対話」に取り組むアダム・カヘン氏の著書に出てくる言葉です(※)。

人間の判断、行動は全て、その人がその事象に対してどのように「意味づけ」をしているかに影響を受けます。「自分も問題の一部である」と捉えるか、「自分と問題は別のものである」と捉えているかで、その人の言動は変わってくるのです。

だからこそ、私たちコーチは、クライアントの話す「問題」とクライアント自身の関係性に耳を傾けます。そのクライアントは、その問題に対して「どの位置」にいるのだろうか。その問題の「内側」にいるのか、それとも「外側」にいるのか。それは、クライアントの使う言葉に表れます。

組織内の課題がテーマになるとき、その課題がどんな課題であれ、またそれを語る人がどんな立場であれ、その人自身もその「課題の一部」だということができます。なぜなら、その人も、その課題を抱える組織を構成する一人だからです。同時に私たちコーチも、クライアントの組織の抱える課題の一部となります。なぜなら、コーチ自身のあり方、言動が、課題の一部であるクライアントに影響を与えるからです。だからこそ、クライアントとコーチは共に自らの変化を通じて、組織に変化をもたらすことができるといえるでしょう。

あなたはどう変わろうとしているのか

以前、私のクライアントに、先ほどの組織変革のエピソードを紹介したことがあります。

「経営チームで話していても、いかに社員を変えるかは話しているけど、私たちがどう変わるかを話したことはない。まずは私たちからですね。」

このコラムを読んでいるあなたも、今まさに変革のプロセスにあるかもしれません。

あなたは、その変革を、どこから語っているのでしょうか?
あなたは、その変革を、どう意味づけているのでしょうか?

そして、あなたは、その変革のどんな一部になれるでしょうか?

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【参考資料】

※ アダム・カヘン(著)、ヒューマンバリュー (編集, 翻訳)、『手ごわい問題は、対話で解決する』、ヒューマンバリュー、2008年

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

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