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あなたは自分に自信がありますか?

あなたは自分に自信がありますか?
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突然ですが、あなたは自分に自信がありますか?

私は数年前、「自信」について世紀の大発見をしました。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、その発見は、その後の私の生き方や人生の選択に色濃く影響を与え始めています。

自信喪失という背後霊

私は、他人からみると自信があるように見えるようです。そのせいか「意外ですね」と言われることが多いのですが、私は長い間「自分に自信がもてない」感覚をかなり強くもっていました。

思い起こせば小学校時代からです。当時、成績はよかったものの、体育や音楽の才能がない自分に対してモヤモヤし、大学受験では、当時注目されていた先進的な大学に受かったものの、他は全滅で自信を喪失。大学生になれば同級生がキラキラして見える。就職すれば、世の中すごい人がいるものだと自分の凡人さに目がいく。

やりたいことがあるときも、最終的にはやりたい気持ちが勝って挑戦するものの、始める前に「自信がないなあ。どうしよう」と決断するまでに必要以上に時間を要していました。

自分の自信のなさが、人間関係や行動に大きく支障をもたらすほどではないものの、心のどこかではいつも「自分はまだまだ。もっと頑張って、もっと自信をもてる人になりたい」と思っていました。

動けなくなるほどではないけれど、実は私の行動をスローダウンさせている感覚。まるで「自信喪失」という名で体重は軽めの背後霊が、いつも私についているような感じでした。

「どうしたら自信をもてるか?」

この問いは、答えが見つからない問いとして、長い間、私の中に残り続けていました。

過去、現在、そして未来

2年前に、知人の依頼で某社の女性社員の前で、私自身のキャリアについて自己紹介する機会がありました。自分はこれまで何をしてきたのか、その時何を思って決断してきたのか、そこからどう次につながっていったのか。

自分の過去について話しながら、自分の内側の熱量が高くなっていることに気づきました。その時その時、自分で選択し、がむしゃらに頑張ってきた自分の歴史には、120点満点をあげたい気持ちでいっぱいです。「よく頑張った」とほめてあげたい。

過去の選択と行動の積み重ねで「今」があり、つらいことも難しいこともありつつ、今の私はやりたいことができている。今感じているこの感覚は、まさに「自信を感じている」と言えるのではないか?

思えば、これまで私は「未来に対して自信をもてるかどうか?」と考えていたのかもしれません。未来に対しては、今も自信があるとは言えません。でも、少なくとも過去の自分に対しては自信をもっています。

「これから」はともかく、「これまで」自分が積み重ねてきたことには自信がある。であれば、まずは「未来に一歩踏み出す」ことが重要だと思い至りました。

その瞬間、30年以上、私の視界を遮っていた霧が消え、視界が広くなったようです。今では、「霧が晴れる」とはこのことか、と思います。

今では、そもそも予測がつかない「未来」に対して「絶対大丈夫」なんてあるのだろうか? と思います。

自信についての考え方が変わったことで、何かを始める際に、いちいち「これは自信があるかしら?」「自信がないからできない」と悩むことがなくなり、初めての仕事や少し躊躇を感じることに対しても、最初の一歩を早く踏み出せるようになりました。これまで「自信喪失背後霊」は、どれほど重く私にのしかかっていたのでしょうか。

自信を感じている社長と感じ切れていない社長

某社の社長とのエグゼクティブ・コーチングの時間で、社長が普段人には話さない心の内を聞かせてくださいました。

「これまでの自分は恵まれていて、様々な経験をしてきた。一定の成果を出してきた自負もある。けれど、何か見落としていることがあるのではないか? このまま突き進んだら、うまくいかないことがあるかもしれない。そこに自信がもちきれない」

そこで、社会人になってからどのように山を越え、谷を歩いてきたのか、その時に大切にしていた価値観や信念は何かなどを二人で話しながら、社長の歴史を紐解いていきました。その話を聞いて私が感じたことをお伝えすると、その方が晴れやかな表情でおっしゃいました。

「自分では無意識にやってきたことだが、私の人生がコーチにはどのように見えるのかを聞いて、自分がこの仕事を選んだ軸、その後のキャリアで大切にしてきた価値観、信条、そして自分らしさ、それが社長として今の自分の意思決定にどうつながっているかが見えた気がした。今日ここまでやってきた自分に対して自信が増しました」

それを聞いた私が、

「先週までのA社長と今日のA社長とで、実際に何かスキルや経験が増えたわけではありません。自分の軸がはっきりし、自分への信頼感が増したことは、社長としてのAさんやあなたの会社にどう影響しますか?」 

と問いかけると、A社長は言いました。

「就任後、様々な取り組みを行ってきました。社員にもたくさんのメッセージを伝えてきた。もしかすると、明日も私が語る言葉は同じかもしれないが、伝えられる思いや熱量が変わると思う」

そうおっしゃったA社長は、身長が1センチ伸びたように見えました。

自分について振り返る回数と自信の関係性

下の図は、コーチング研究所が実施した「直属の上司が部下のために時間を取って話す回数と個人の状態の関係性」に関する調査結果です。

この結果を見ると、上司と部下の間で、部下が自分自身について話す時間が多いほど、部下のいい仕事をしていく自信が高いことがわかります。社長の場合は「上司」は存在しませんが、エグゼクティブ・コーチがその役割を担えるかもしれません。

上司であれ、コーチであれ、誰かと定期的に対話を重ね、積み上げてきた自分の歴史について紐解き、そして未来に向けて一歩を踏み出す準備をする。そのような時間が「自信」につながっていくのかもしれません。

あなたは自分に自信がありますか?

あなた自身について知っていくための対話を始めませんか?

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