Hello, Coaching! 編集部がピックアップした本の概要を、連載形式でご紹介します。
株式会社コーチ・エィ 鈴木義幸
第2回 はじめに 会社は経営チームで決まる (中編)
2020年12月15日
第1回 | はじめに 会社は経営チームで決まる (前編) |
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第2回 | はじめに 会社は経営チームで決まる (中編) |
第3回 | はじめに 会社は経営チームで決まる (後編) |
※ 本稿は、2020年12月18日発売の株式会社コーチ・エィ 鈴木義幸著『未来を共創する 経営チームをつくる』の一部を、本の発売に先駆けて公開するものです。
ハイパフォーマーがチームになるのは難しい
私は、元ラガーマンで、今でもラグビーを観るのが大好きです。2019年ワールドカップにおける日本代表チームの躍進には心が躍りました。
代表チームが勝つと、通常監督の手腕に注目が集まります。しかし、実際には、代表チームは、多くのコーチを含む〝幹部チーム〞が牽引しています。
ラグビーであれば、フォワードコーチ、バックスコーチ、ストレングスコーチ(筋肉の効果的なつけ方のコーチ)、キッキングコーチ、スクラムコーチ、リーダーシップコーチ(キャプテンなどがいかにリーダーシップを発揮するかのコーチ)......。
実に多くのコーチが監督を支え、幹部チームを形成しています。実は、この幹部チームがチームになっていないと、全体としてのチームは強くなりません。
以前、あるラグビートップリーグの監督から、コーチングを依頼されたことがあります。
聞くと、コーチには、ニュージーランド人、オーストラリア人、日本人がいる。それぞれに主張があり、なかなかコーチ陣がまとまらない。
特にニュージーランド人のコーチは「自分たちが世界一」という思いがあるから、日本人のコーチを下に見ている。さすがに監督である自分の言うことには首を縦に振るが、本心から同意があるのかは良くわからない。
監督として、なんとかこの幹部チームをまとめたいので、コーチしてもらえないだろうか│そんなご依頼でした。
多くの場合、会社の社長も、この監督と似たような課題を抱えています。
経営チームのメンバーは、厳しい競争を勝ち抜いて、役員に昇進した人々です。
プライドがあり、一家言あります。自分の指導法が一番だと思っているニュージーランド人と何ら変わりません。
ハイパフォーマーの集団。それが経営チームです。
これをまとめ、チームとしてファンクションさせ、会社全体を牽引する存在にすることは、実はとても難しい。
役員にまでなった人たちですから、当然物事の道理がよくわかっていて、出るべきところは出て、控えるべきところは控えて、チームの一員として機能的にふるまえる〝はず〞だという思い込みが先行します。しかし、現実は必ずしもそうではありません。
私も、23年前にエグゼクティブコーチという仕事を始めるまでは、経営者・役員というのは、すばらしい人格者の集まりであり、自分の役割を常に把握し、適切な振る舞いができる人だと思っていました。
30歳の駆け出しのコーチからは、経営者というのはそんなふうに見えたものです。
もちろん、ある意味それは正解です。役員にまでなる人は、当然、力があり、魅力があり、きらりと光るものがある人々です。そうでなければ〝はしご〞をそこまで登ることはできないでしょう。
しかし、成功すればするほど、何を正しいと思うかという、信念も同時に強くなります。
世の中の道理のようなものが、自分の中にしっかりと構築されていきます。
そんな人たちが集まったのが経営チームです。〝4番でピッチャー〞の集まり、あるいは全員が〝本田圭佑〞の集団のようなもの。それぞれの主張を携えています。
自分の主張を表面化させて、喧々諤々やり合うのであれば、まだチームとして構築されるのが早いかもしれません。しかし、日本の企業では、静かに内側で自分の考えを握りしめていることが多い。
そうすると、先ほどの社長のひとこと「よい経営チームが喉から手がでるほどほしい」につながるわけです。
『未来を共創する 経営チームをつくる』目次
はじめに ─ 会社は経営チームで決まる
第1章 なぜ〝経営チームをつくる〞のは難しいのか
1-1 経営チームは〝4番でピッチャー〟の集団
1-2 日本企業で経営チームをつくるのが難しい理由
1-3 経営チームをつくるのは、スポーツの首脳陣チームより難しい
1-4 「わたしたちは良いチーム」という思い込み
本章のポイント なぜ〝経営チームをつくる〟のは難しいのか
第2章 チームとは何か
2-1 チームは〝チームとしての目標〟を持っている
2-2 チームは共創している
2-3 チームにはメンバー間に気持ちのつながりがある
第3章 チームの土台をつくる
3-1 チームを再解釈する
3-2 チームの現状を捉える
3-3 縦のコミュニケーションを双方向にする
3-4 コミュニケーションを増やす
3-5 おたがいを知る
第4章 チームを進化させる
4-1 対立を活かす
4-2 会議をバージョンアップさせる
4-3 パーパスを共有する
4-4 関係性にチャレンジする
4-5 「悪口」を外に出さない
4-6 外とつながる
4-7 フィードバックを受ける
4-8 チームの理想を追求し続ける
本章のポイント チームを進化させる
第5章 強い経営チームをつくる個人とは
5-1 自分に何を問いかけるか?
5-2 自分の感情をどう扱うか
5-3 ウォント─自分がしたいことを話す
5-4 シェア─自分が持つものを分け与える
5-5 相手から学ぶ
5-6 フィードバックを求める
最後に ─ 会社は経営チームで決まる
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