Hello, Coaching! 編集部がピックアップした本の概要を、連載形式でご紹介します。
株式会社コーチ・エィ 鈴木義幸
第3回 はじめに 会社は経営チームで決まる (後編)
2020年12月16日
第1回 | はじめに 会社は経営チームで決まる (前編) |
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第2回 | はじめに 会社は経営チームで決まる (中編) |
第3回 | はじめに 会社は経営チームで決まる (後編) |
※ 本稿は、2020年12月18日発売の株式会社コーチ・エィ 鈴木義幸著『未来を共創する 経営チームをつくる』の一部を、本の発売に先駆けて公開するものです。
組織もまた生命体である
『1兆ドルコーチ』(ダイヤモンド社)という本があります。
ビル・キャンベルというコーチが、Googleがまだまだ小さい会社の時から、いかにGoogleの経営陣をコーチをしてきたかを、この本の中に見て取ることできます。
ビル・キャンベルが、ひたすら経営陣に問いかけているのは
「どうすればチームとしてやっていけるのか?」
「どうすればひとり一人が自分のエゴに基づいて仕事をするのではなく、おたがいのことに思いを寄せて、会社のことを考えて、チームとしてGoogleを牽引することができるのか?」
です。それを繰り返し、繰り返し問いかけています。
この本を読む限りにおいて、Googleの驚異的な成功は〝経営陣がチームであること〞を片時も手放さなかったことによってもたらされたものであるように感じられます。
そもそも、組織というのは〝機械〞ではありません。
それぞれが、それぞれに〝性能〞を上げれば、全体としてパフォーマンスが上がるというものでもありません。
例えば、CFO(最高財務責任者)の能力がもっと上がれば、M&Aが加速するとか、だめなら新しいCFOに変えればいいとか、そういうものではないと思います。
組織というのは〝生命体〞であり、かつ〝二重生命〞としての特徴を明確に示す集団です。
人間の体は約60兆個の細胞でできあがっていると言われていますが、それぞれの細胞もそれぞれに生きていて、それぞれの生き死にがある。全体としての生命と、部分としての生命が複雑に絡み合っている│これが〝二重生命〞という考え方です。
同じように、組織の中には、たくさんの主観や価値観を持った、ひとり一人の人間がいて、その人間の相互作用、相互影響によって組織は形成されています。
ですから、そもそも経営者・役員を、単体として切り離しては考えられませんし、いかに一つの生命体としてファンクションするように結束させることができるか、ということが問われるのだと思うのです。
企業・スポーツ・病院・学校─すべての組織のために
先ほどラグビーの代表チームの話をしましたが、実は、どんな組織にも〝幹部チーム〞があります。
会社であれば経営チーム。
スポーツであれば監督とコーチからなるチーム。
病院であれば、院長、事務局長、各医局の部長先生からなるチーム。
学校であれば、校長、教頭、学年主任、教科主任で構成されるチーム。
例えば、大学生のスポーツチームを考えたときに、監督やコーチの下に学生たちからなるチームがあるわけですが、そのチームの中にも、また幹部チームがあります。主将、副将、主務、副主務、各ファンクションのリーダーからなる学生幹部チームです。
その組織がうまくいくかどうかは〝幹部チームが、いかにチームとして機能しているか〞によるところがとても大きいのです。
にもかかわらず、この幹部チームは最もチームにするのが難しく、また難しいがゆえに、チームにすることに正面から向き合われがたい。これは経営チームと同じです。
本書は、私の専門であるエグゼクティブ・コーチングの経験から〝経営チームをいかにチームにできるか〞について書いています。
ですが、すべての組織の幹部チームに関わる方々が、幹部チームを結束させるためのお役に立てたら、とも思っています。
組織全体の成否を握る幹部チームが〝チームになる〞ことは、いくら強調してもし過ぎることのないくらい重要なことだと思っています。
本書は、読者のあなたにとって、できる限り〝コーチ〞としての役割を担えるように書きました。
自分のチームについて思いをはせ、振り返り、そこでのメンバーとの関係に一歩でも二歩でも踏み出していただけたら、著者としてこれ以上の喜びはありません。
『未来を共創する 経営チームをつくる』目次
はじめに ─ 会社は経営チームで決まる
第1章 なぜ〝経営チームをつくる〞のは難しいのか
1-1 経営チームは〝4番でピッチャー〟の集団
1-2 日本企業で経営チームをつくるのが難しい理由
1-3 経営チームをつくるのは、スポーツの首脳陣チームより難しい
1-4 「わたしたちは良いチーム」という思い込み
本章のポイント なぜ〝経営チームをつくる〟のは難しいのか
第2章 チームとは何か
2-1 チームは〝チームとしての目標〟を持っている
2-2 チームは共創している
2-3 チームにはメンバー間に気持ちのつながりがある
第3章 チームの土台をつくる
3-1 チームを再解釈する
3-2 チームの現状を捉える
3-3 縦のコミュニケーションを双方向にする
3-4 コミュニケーションを増やす
3-5 おたがいを知る
第4章 チームを進化させる
4-1 対立を活かす
4-2 会議をバージョンアップさせる
4-3 パーパスを共有する
4-4 関係性にチャレンジする
4-5 「悪口」を外に出さない
4-6 外とつながる
4-7 フィードバックを受ける
4-8 チームの理想を追求し続ける
本章のポイント チームを進化させる
第5章 強い経営チームをつくる個人とは
5-1 自分に何を問いかけるか?
5-2 自分の感情をどう扱うか
5-3 ウォント─自分がしたいことを話す
5-4 シェア─自分が持つものを分け与える
5-5 相手から学ぶ
5-6 フィードバックを求める
最後に ─ 会社は経営チームで決まる
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