Easterliesは、日本語で『偏東風(へんとうふう)』。「風」は、外を歩けばおのずと吹いているものですが、私たちが自ら動き出したときにも、その場に「新しい風」を起こすことができます。私たちはこのタイトルに、「東から風を起こす」という想いを込め、経営やリーダーシップ、マネジメントに関する海外の文献を引用し、3分程度で読めるインサイトをお届けします。
「パーパス」の持つ力と、それにおけるリーダーの役割とは?
2021年06月13日
コロナパンデミックが、世界中の個人やコミュニティー、企業などを先行き不透明な状況に追いやる中、「パーパス」という言葉をよく耳にするようになった。「パーパス」という言葉の語源はラテン語。「pur(前に)」という言葉と「pose(置く)」という言葉が組み合わさり、「物事を達成するために目の前に置くもの」、すなわち「目的」を意味するようになったという。
なぜパーパスなのか?
"Creating a Purpose-Driven Organization(※1)"
2018年7月の時点で、ハーバード・ビジネス・レビューは、組織のパーパスに着目することの意義を主張し、「パーパスは発明するものではなく既に存在するものである」と述べている。よく耳にするありきたりな言葉で企業やチームのパーパスを打ち出す前に、メンバーが、心の底から共感できるものを見つけていくことが大事だという。
"Igniting individual purpose in times of crisis(※2)"
2020年8月にマッキンゼー・アンド・カンパニーによって執筆された本記事は、危機の時こそ個人のパーパスに火を灯すことの重要性を主張する。なぜ、この危機的状況の中で、我々は企業のパーパスではなく、個人のパーパスに火を灯す必要があるのだろうか?
個人のパーパスは、コロナパンデミックのように危機的な状況において、不確実性に直面したときに自らをナビゲートするのに役立ち、ひいては、長期的なストレスによる悪影響を軽減するための道標となるという。
"How does strong life purpose improve decision-making(※3)"
また、アメリカのコーチング研究機関IOCのリサーチによると、個人がパーパスを持つことは、心理的なウェルビーイングを高め、脳梗塞や循環器系疾患のリスクを下げるなどの身体的な利点だけでなく、決断を下す能力を向上させることもわかっている。メンバーが個人的なパーパスを持つことは、チーム運営においてもポジティブな影響を及ぼすと言えるのではないだろうか。
つまり、この危機的状況の中における我々リーダーの役割は、組織のパーパスを打ち出していくことにとどまらず、メンバー一人ひとりが自身のパーパスを言語化し、組織のパーパスとのつながりを見つけていく支援をすることなのかもしれない。
あなたのメンバーは、今、どんなパーパスを持って生き、仕事をしているのでしょうか。
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【参考文献】
※1 Robert E. Quinn and Anjan V. Thakor, "Creating a Purpose-Driven Organization", Harvard Business Review, July - August, 2018
※2 Naina Dhingra, Jonathan Emmett, et al.,"Igniting individual purpose in times of crisis", McKinsey Quarterly, August, 2020
※3 Margaret Moore, "How does strong life purpose improve decision-making", Institute of Coaching,2020
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