Easterlies

Easterliesは、日本語で『偏東風(へんとうふう)』。「風」は、外を歩けばおのずと吹いているものですが、私たちが自ら動き出したときにも、その場に「新しい風」を起こすことができます。私たちはこのタイトルに、「東から風を起こす」という想いを込め、経営やリーダーシップ、マネジメントに関する海外の文献を引用し、3分程度で読めるインサイトをお届けします。


リーダーがパーパスを「伝える」こと、「聞く」こと

リーダーがパーパスを「伝える」こと、「聞く」こと
メールで送る リンクをコピー
コピーしました コピーに失敗しました

パーパスを持つとはどういうことか

マッキンゼー・アンド・カンパニーは、2018年に発表した記事の中で、「組織のパーパスを自分事にしている従業員がより高いパフォーマンスを発揮することが分かっている」と述べている。

"Making work meaningful: A leader's guide(※1)"

では、どのようにして従業員は、組織のパーパスを自分事化できるのだろうか。

記事の中では、マネジメント手法として、4つの具体策が取り挙げられている。

  1. 匿名性を排除し、お互いが相互に与えている影響を知ること
  2. 顧客への影響に関する手触り感を持たせること
  3. 良い仕事をしている人に「気付き、承認し、称える」こと
  4. 日々の仕事をより大きなゴールとつなげること

このようにして、徐々に各々の中で、仕事に対する自分なりの「意味づけ」が出来あがっていくのだという。

しかし、2020年12月に同社が発表した記事には、このようなことも書かれている。

「トップチーム内で考えられたパーパスは、従業員が思うパーパスとは必ずしも一致しない」。

"Purpose, not platitudes: A personal challenge for top executives(※2)"

そのため、「対話」を通して、まずはその違いを認識する必要があるという。

要するに、各々の従業員が組織のパーパスに対して抱いている解釈について、まずは「聞く」ことがリーダーに求められているというわけである。

どのように聞くのか

「聞く」とは、どういうことなのか。

ここで、アメリカの経済誌「The Economist」で紹介された、人質交渉人による「聞く」スタンスが、ヒントになるかもしれない。

人質交渉人は、犯人と面と向かって対峙する。

彼らは、単にじっと黙って相手の要望を聞き入れるのではなく、対話を続けながら、相手の価値観や情を表すシグナルを探っていくのだという。

"The secrets of successful listening(※3)"

彼らは、相手の発言から感じた自分自身の解釈を持ち込み、相手に確認を取りながら、話し続ける。

双方向にやり取りを続ける中で、相手が真に欲していることは何かを探っていくのだ。

上記は少々極端な例だが、犯罪者に限らず、人間は誰しもそれぞれに「求めていること」がある。

組織のリーダーである私たちは、得てして、周囲にパーパスを「伝えよう」と努力するだろう。

しかし時には、「伝える」のではなく「聞く」ことに徹してみても良いのかもしれない。

相手が何を大切にし、なぜ今ここで働き続けているのか?
どんな想いを持って日々仕事をしているのか?
私たちはリーダーとして、部下の話のどのようなところに耳を傾けているだろうか?


この記事を周りの方へシェアしませんか?

この記事はあなたにとって役に立ちましたか?
ぜひ読んだ感想を教えてください。

投票結果をみる

【参考文献】
※1 Dan Cable, Freek Vermeulen "Making work meaningful: A leader’s guide", McKinsey Quarterly, August, 2018
※2 Arne Gast, Nina Probst, Bruce Simpson, "Purpose, not platitudes: A personal challenge for top executives", McKinsey & Company December, 2020
※3 The Economist Group Limited, "The secrets of successful listening", The Economist, January 21st, 2021

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

コーチング・プログラム説明会 詳細・お申し込みはこちら
メールマガジン

関連記事