Easterliesは、日本語で『偏東風(へんとうふう)』。「風」は、外を歩けばおのずと吹いているものですが、私たちが自ら動き出したときにも、その場に「新しい風」を起こすことができます。私たちはこのタイトルに、「東から風を起こす」という想いを込め、経営やリーダーシップ、マネジメントに関する海外の文献を引用し、3分程度で読めるインサイトをお届けします。
「休憩」は、リーダーとしての責任?
2021年09月12日
「休憩」がないと何が起こるのか
長時間仕事をしていると、集中力が切れ、明らかに生産性が落ちていることがある。
そのことに気づきながらも、「締切が迫っているから」と、無理に仕事を続けた経験は、誰にでもあるのではないだろうか。
その時のことを少し思い出してみてほしい。
あなたは何を感じ、身体にはどんな反応が出ていただろうか。
2018年2月にHarvard Business Reviewに掲載された記事によると、エンゲージメントが高い社員の5人に1人は、燃え尽き症候群になるリスクがかなり高いということが分かった。
彼らは、仕事に高い情熱を注いでいる一方で、ストレスやいら立ち等の強い感情を抱いているという。
"1 in 5 Employees Is Highly Engaged and at Risk of Burnout? (※1)"
なぜ「休憩」が大切なのか
燃え尽き症候群になると、慢性的に「疲れた状態」に陥ってしまう。
「疲れた状態」になると、我々にはどのような影響があるのだろうか。
今年5月に、The Economistに掲載された記事によると、疲れた状態での人間の決断は、典型的には、「デフォルト」の選択肢、つまり、精神的な努力が比較的必要ない選択肢を取る傾向があるという。
言い換えれば、疲れれば疲れるほど、精神的に怠惰になるということだ。
実際、大手銀行の融資担当者を対象に行った研究では、連続した労働時間が長くなるランチ直前と、退勤間際の時間帯は、融資の承認率が大きく低下するということが明らかになった。
"The dangers of decision fatigue(※2)"
「休憩」は何をもたらすのか
それでは、私たちが忙しい日々のスケジュールの中で「休憩」する時間を取ることには、どのようなメリットがあるのだろうか。
今年1月にForbesに掲載された記事によると、「休憩」を取ることには、5つの利点があるという。
- 身体(体力)が回復する
- ストレスが軽減される
- 発想力が豊かになる
- 生産性が高まる
- 決断力が向上する
"The Benefits Of Resting And How To Unplug In A Busy World(※3)"
「休憩」の大切さについては、体験的に分かっていても、忙しい毎日の中で時間を作り出すことは、容易ではない。
また、周囲に対しても、エンゲージメントの高い社員ほど、本人に任せられる安心感から、心身のケアに目が行き届かないのも事実である。
しかし、こうして「休憩」を取ること、そして取らせることは、新しいものを創造し続けていくリーダーとしての「責任」なのかもしれない。
あなたは、自分、そして部下の心と身体を休めるために、今日から何を始めることが出来るだろうか?
また、何を止めることが出来るだろうか?
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【参考文献】
※1 Emma Seppälä and Julia Moeller "1 in 5 Employees Is Highly Engaged and at Risk of Burnout?", Harvard Business Review, February 2nd, 2018
※2 The Economist Group Limited "The dangers of decision fatigue", The Economist, May 29th, 2021
※3 Heather Cherry "The Benefits Of Resting And How To Unplug In A Busy World", Forbes, January 15th, 2021
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