Easterlies

Easterliesは、日本語で『偏東風(へんとうふう)』。「風」は、外を歩けばおのずと吹いているものですが、私たちが自ら動き出したときにも、その場に「新しい風」を起こすことができます。私たちはこのタイトルに、「東から風を起こす」という想いを込め、経営やリーダーシップ、マネジメントに関する海外の文献を引用し、3分程度で読めるインサイトをお届けします。


コミュニケーションの「場」を見直す

コミュニケーションの「場」を見直す
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多様化したコミュニケーションの手段

​​​​​​国内外を問わず、感染症によるリモートワークの促進により、一日当たりのメールやチャットの平均利用数が増えたと言われている。

ある米国の企業の調査(※1)では、対象者760名のうち、約半数が「顧客へメールを送る頻度が、コロナ前と比べて増えた」と回答した。

テキストベースのコミュニケーションが、コロナ禍のビジネスを支えてきたのは確かである。

一方で、国内の感染状況が少しずつ緩和してきている今日、オフィスへ出社する、会食をするなど、​​​​顔を合わせて話すことの価値をあらためて実感している人も多いのではないだろうか。

メールや電話、対面で話すという選択肢に加え、ビデオ会議システムの中では、映像や音声のON-OFFを、自由に切り替えることができる。

これからの私たちは、どのようにコミュニケーションの「プラットフォーム」をうまく使い分けていけるだろうか。

対面での依頼の効果は、メールの34倍

Harvard Business Reviewの調査(※2)によれば、ある活動へ寄付を集める際、200人にメールを送るのと、6人に直接声をかける場合で、その成果が全く同じであったという。

また、ある被験者10名が知人にアンケート調査を依頼した際、まったく同じスクリプトに沿って実施したが、対面での依頼は、メールでの依頼に比べて34倍もの効果があったという。

しかし、興味深いのは、被験者たち自身が、メールで依頼した場合と、対面で依頼した場合に得られる成果は、ほとんど同等のものだと予測していたことである。

私たちは、コミュニケーションの手段を変えることが、情報の伝わり方に大きな影響を与えると薄々は感じつつ、そのことを、実感しきれていないのかもしれない。

「あえて顔を合わせないこと」にも意味がある

もちろん、対面で話すことの全てが良いとは限らない。

コミュニケーションの目的によっては、「顔を見せないこと」が、より効果を発揮することもある。

たとえば、コーチングでは、「対面」や「ビデオ会議(映像+音声)」ではなく、あえて「電話(音声のみ)」を選ぶコーチが多い。(※3)

視覚的な情報量が減ることで、クライアントがより集中して考えることができる、相手に率直なフィードバックを伝えやすい、など、実質的な効果があると、調査でも明らかになっている。

あなたは部下や同僚、顧客との会話に、どのようなコミュニケーションの場を選んでいるだろうか。

「あえて」それを選び直してみると、関係性にどのような変化が生まれるだろうか。


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【参考文献】
※1 Mary Dolan, "COVID-19 Survey: How the Pandemic Has Affected Email Sending",Mailgun Technologies, Inc., April 16th, 2021
※2 Vanessa Bohns, "A Face-to-Face Request Is 34 Times More Successful Than an Email", Harvard Business Review, April 11th, 2017
※3 Jenny Lynden and Rachel Avery, "Workplace telephone coaching conversations: a unique institutional practice as revealed through interpretive and empiricist multimethod approaches", Coaching: An International Journal of Theory, Research and Practice, 9:1, January 8th, 2016

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