組織文化をつくる

真に重要なリーダーの役割は、文化を創り管理すること

組織文化に関する先駆けの研究者、エドガー・シャイン氏は、「リーダーの役割のうち、本当に重要なのは、文化を創り、管理することだけだ」と、その著書の中で語る。（※1）

一般的に、組織文化とは、「適切な態度や行動を決定する基準を定義づけるような、共有された価値観のシステム」と定義づけられる。（※2）

つまり、望ましい組織文化があるとき、一人一人が組織を成功させるための態度や行動を選択していくことが出来るのだ。

たとえば、健全な組織文化を持つ組織は、問題を見つけてから議論にいたるまでの時間が短いと言われている。（※3）

この「スピード感」は、業績にも影響を与える重要な文化要素である。

問題を特定してから「率直で正直で敬意ある会話」をするまでの期間が3日以内なら約5千ドルが、5日以上の場合、約2万5千ドル以上が無駄になるという見積もりもある。（※3）

組織文化を変化させるための4つの共通項

こうした組織文化の重要性とそのリスクを認識した組織では、自分たちの文化を変化させていく取り組みをすでに開始している。

調査会社i4cpは、文化の変化に成功した組織に、4つの共通項を見出している。(※4)

1. 過去に敬意を払いながらも、未来の成功を確実にする文化醸成を優先している
2. 全ての階層のリーダーが、望まれる文化を体現するためのトレーニングを受けられるよう投資をしている
3. 「成果が測れるものは必ず成し遂げられる。成果を得られれば、それは繰り返し実行される」という考えが共有されている
4. CEOのほぼ全員が、「理想の文化の体現者」である

ここで特に注目したいのは、4. である。

スタンフォード大学の実証研究（※5）でも、組織文化と"CEOの性格"は強い相関関係を示しているのだ。

リーダーが組織文化をつくる

この研究によれば、開放性の高いCEOがいる組織では、 変化への適応性を推奨する文化が醸成され、 勤勉性の高いCEOがいる組織では、 詳細に物事を進める文化が醸成されるという。（※5)

ここで言うCEOは"リーダー"と読み替えることも出来る。

私たち一人ひとりが組織に影響を与えるリーダーであり、文化の担い手であるからだ。

時として「組織文化」は、長い年月をかけて築き上げられてきた「変えられないもの」のように見えることがある。

しかし実際は、組織文化に実体があるわけではなく、組織に所属する一人ひとりの言動によって日々醸成され、強固になっていくものである。

そう考えたとき、会議の場や職場で私たちの態度やコミュニケーションは、組織文化にどんな変化をもたらすことができるだろうか？

• あなたは、どんな組織文化を築いていきたいですか？
• その文化は、チームや組織にどんな成功や成長をもたらすものでしょうか？
• そのために、あなたはどんな行動を変化させてみたいですか？