Easterlies

Easterliesは、日本語で『偏東風(へんとうふう)』。「風」は、外を歩けばおのずと吹いているものですが、私たちが自ら動き出したときにも、その場に「新しい風」を起こすことができます。私たちはこのタイトルに、「東から風を起こす」という想いを込め、経営やリーダーシップ、マネジメントに関する海外の文献を引用し、3分程度で読めるインサイトをお届けします。


人は、どのようにリーダーシップを学習するのか?

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リーダーとは何か。リーダーシップとは何か。

今日、書店に行けば、様々な専門家や著名人が、それぞれの言葉で語る「リーダーシップ論」を目にする。

今や、世には様々な「リーダーシップ」の定義や解釈が混在し、「○○リーダーシップ」という言葉が生まれては、消えていく。

その背景には、社会の環境が目まぐるしく変化する中で、少数のリーダーだけにリーダーシップの発揮を求めることがもはや十分ではないという現実があるからだろう。

役職や上下関係にとらわれず、より多くのリーダーが生まれることを、多くの組織が望んでいる。

実際に、Gartner社が世界中の100人以上の CHROと6,500 人以上の従業員を対象に行った調査(※1)によると、「最高の組織は、変化を導くために、幹部ではなく、従業員を頼りにしている」ことが明らかになった。

このような状況下の中で、どうすれば、一人ひとりの従業員が、最適なリーダーとしてのあり方を学び、習得し、選ぶことができるのだろうか。

リーダーシップは、「関わり」の中で学習される

ジャック・メジローという成人学習の専門家は、学習には二種類あると言う。(※2)

「形成的学習」と「変容的学習」の2つである。

形成的学習とは、知識を獲得する類の学習である一方、変容的学習というのは、これまでの人生経験の中で培われたものの見方や捉え方を、新しく更新していく類の学習のことを言う。

あるハーバード・ビジネスレビューの記事は、「リーダーシップ」を「小さな行動の積み重ねの実践であり、関わり(interactions)の中で慎重に順序立て、織り交ぜられていくもの(※3) 」と表現している。

つまり、ある程度の社会経験を積んだ成人にとって、「リーダーシップの学習」とは、ある特定の「リーダー像」を知識としてインプットすることではなく、周囲との実質的な関わりの中で、いかにこれまでとは違う"新しい自分のあり方"を生み出し続けることができるか、という変容的学習の継続にこそあると言えよう。

今、「リーダーシップ」の言葉の定義を見直す

しかし、メジローは、「大人は過去の成功に囚われやすく、変容的学習が起きにくい」とも言う。

たとえば、本をたくさん読んで学習しているつもりになっていても、自分の信念をバックアップし、補強してくれるような本ばかりを選んでいるとすると、結果として、そこに変容的学習は起きていないことになる。

だからこそ、組織の中で活躍する「リーダー」の数を増やしていくためには、まず各々の「リーダーシップ」の定義や解釈を、立ち止まって見直す必要がある。

あなたは今、どのようなリーダーですか?
今の「リーダーシップ」を、あなたは何から学びましたか?
あなたの「リーダーシップ」に対する考え方が、最後に更新されたのはいつですか?


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【参考文献】
※1 Marcus Chiu and Heather Salerno, "Gartner for Changing Change Management An Open-source approach", Gartner, Inc., 2019
※2 Jack Mezirow "Transformative Learning:Theory to Practice", New Directions for Adult and Continuing Education, 1 June 1997
※3 Hitendra Wadhwa, “Small Actions Make Great Leaders”, Harvard Business Review, June 22, 2022
https://hbr.org/2022/06/small-actions-make-great-leaders

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