Easterlies

Easterliesは、日本語で『偏東風(へんとうふう)』。「風」は、外を歩けばおのずと吹いているものですが、私たちが自ら動き出したときにも、その場に「新しい風」を起こすことができます。私たちはこのタイトルに、「東から風を起こす」という想いを込め、経営やリーダーシップ、マネジメントに関する海外の文献を引用し、3分程度で読めるインサイトをお届けします。


関わりの先に見える、自己認識

関わりの先に見える、自己認識
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自己認識とブラインドスポット

ある米国の調査では、取締役レベルへのコーチングテーマで最も多いのが、自己認識であることが判明した。(※1)

近年、自己認識に関心が集まる背景には、仕事を進める上で、周囲とのコラボレーションが不可欠であることが関係しているのかもしれない。

しかし、95%の社員が自分は「自己認識が高い」と思っているが、実際には自己認識が十分に高い社員は10〜15%にすぎないという調査結果がある。(※2)

また、米国で行われた複数の研究では、エグゼクティブ層を含むリーダーたちの自己認識には、かなり高い確率で乖離があり、それが本人たちの重大なブラインドスポットになっていることが指摘されている。(※3, 4)

このような自己認識の乖離の裏には、何があるのだろうか。

2種類の自己認識

「自己認識」についての研究者であり、エグゼクティブコーチとしても有名なターシャ・ユーリッチ博士は自己認識には、2種類あるという。

1つ目は、自身の価値観、パッション、思考や感情の反応についての理解を示す、「内的自己認識」である。

そして2つ目は「外的自己認識」、つまり「他者が、自分をどう捉えているか」の理解である。

彼女の研究によれば、深い自己認識を持つ人たちは共通して、自分自身の内面を正確に理解すること(内的自己認識)と、自分が他人からどう見られているかを把握すること(外的自己認識)のバランスを取ることに積極的に専念していた。(※2)

つまり、内的自己認識のためにリフレクションをすると同時に、外的自己認識を高めるため、他人からのフィードバックをもらっているのだ。

ここで重要なのは、彼らが「自己認識」を高める上で、「自分」だけでなく、上司や同僚、部下をはじめとする「周囲」へと高い関心を向け、自ら関わっている点である。

"個人"の枠を超えて、自分自身を捉えなおす

人は関わりの中に生きている。

私たちは、周囲との関わりの中で変化していく。

周囲の存在なくして、自己を認識することはできない。

このことを前提にするならば、自分が周囲へ与える影響、周囲から受けている影響を深く理解することなしには私たちは自己を認識しきれないのかもしれない。

自分の強みは何なのか。自分が取り組むべき課題はどこにあるのか。答えは、自分の枠に留まらず、周囲と積極的に関わり続けた先に、自ずと見えるものなのかもしれない。

  • あなたは、どんな人ですか?
  • それを最後に認識したのはいつですか?
  • あなたについてもっと知るために、誰と話してみたいですか?

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【参考文献】
※1 Allen Moore and Jan Rybeck, ”Coaching for the 21st century”, Korn Ferry Institute, March 25, 2015
※2 Tasha Eurich, ”Working with People Who Aren’t Self-Aware”, Harvard Business Review, October 19, 2018
https://hbr.org/2018/10/working-with-people-who-arent-self-aware
※3 Joan Shafer, Adam Bryant, and David Reimer, ”Revealing leaders’ blind spots”, strategy+business, April 29, 2020
https://www.strategy-business.com/article/Revealing-leaders-blind-spots?gko=e2a16&utm_source=itw&utm_medium=itw20200430&utm_campaign=resp
※4 Evelyn Orr, “Survival of the most self-aware: Nearly 80 percent of leaders have blind spots about their skills”, Korn Ferry Institute, 2012

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

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