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組織にコーチングカルチャーを築く #3 コーチングの浸透に障害となるもの(ICF調査レポートより)
2016年12月02日
国際コーチング連盟(ICF: International Coach Federation)の最新リサーチレポート『 Building a Coaching Culture with Managers and Leaders (マネージャー、リーダーとともにコーチングカルチャーを築く) 2016 』を数回に分けてシリーズでお届けします。
#3 コーチングによって観察された重要な指標 - コーチングの浸透には、頻度が重要
サーベイ回答者は、自分の組織で見られるコーチングの成果を示すものとして、最も重要なものは何かについて尋ねられた。その結果、全回答者の半数以上が、「チーム機能」の向上、「社員エンゲージメント」の向上、「生産性」の向上を、最も重要なコーチングの成果として挙げた
「コーチング型マネージャーおよびリーダー」の活用には非常に多くのメリットがあるが、組織や人材に関するあらゆる問題に対する万能薬というわけではない。あくまで個人やチームのパフォーマンスに影響を与えるひとつの手段であり、使用頻度によってその効果を高めることができる。コーチングスキルが頻繁に使われない背景には、いくつかの理由がある。主な障害としては、
・時間の不足(48%)
・マネージャーとリーダーのコーチングスキルの使用に必要な主体性の欠如(34%)
・指揮命令型スタイルからの変更が不可能(28%)
といったことが挙げられる。
「時間の不足」は、2014年のHCI/ICFの調査でも、コーチングに関する課題の第1位として挙がっている。
マネージャーやリーダー、社内コーチが、コーチングスキルを使用しない、あるいは、理想通りにコーチングを実施しないという現実の背景には、業務の優先順位づけの難しさや、短期的および長期的な視点の対立といったことがある。
また、大きなチームでは、マネージャーやリーダーのコーチングを使うべき時間が、細かく分割されてしまう。 ある調査では、多くのメンバーを抱える組織の管理職よりも、直属の部下が8人以下の管理職のほうが、部下からのコーチングスキルについての評価が高い。
コーチング型マネージャー/リーダーに求められる役割のバランス
コーチングスキルが組織で使用されることが期待されながら、それがなかなか実現しない場合は、アカウンタビリティの欠如が障害と考えられる。この障害を乗り越えるためには、コーチングに関する同意書を交わす、あるいはメンターコーチをつける、コーチングのスーパーバイザーをつけるといった方法がある。
コーチング型のアプローチは、単に業務を委任するといった、これまでの伝統的なマネジメントスタイルと異なる。コーチングでは、相手とともに可能性を探索したり、質問をしたり、ファシリテーションをしたり、パートナーシップを組んだりすることも含む。つまり、多くの場合、マネージャーは、コーチング的アプローチと、指示命令型のマネジメントスキルの使い分けを求められることになる。コーチング型マネージャー/リーダーに対しては、その2つの役割のバランスをうまくとりつつ、コーチングを提供する能力と自信を手に入れるために、トレーニングと継続的な成長の機会が必要となる。
「コーチングのトレーニングについては、必ず事後にエバリュエーションをしています。私たちは、トレーニング直後の評価と、3ヶ月もしくは6ヶ月後に、トレーニングを受けた人がコーチングスキルを使っているかどうか、あるいはトレーニングが仕事にどんな影響を与えたかを調べる追跡調査を実施しています。もしまだスキルを使っていないのならば、これから使う気があるかどうかを調べています」 ジュリア・ガード・バーターマン プログラム・マネージャー
シンシナティ小児病院、医療センター、マネジメント&リーダーシップ
【翻訳】 Hello, Coaching! 編集部
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