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SAH: 効果的なコーチングツール

原題: SAH: A POWERFUL COACHING TOOL
SAH: 効果的なコーチングツール
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コーチが持つ最も強力なツールは、効果的な質問です。効果的な質問は視点を作りだし、足元にあった新たな世界へ目を向けさせることで、クライアントを大きく前進させます。クライアントは自分の視点を得た途端に、その結果として「出来そうで出来ていない」ことについて考えるということを、経験の豊富なコーチなら知っています。

「出来そうで出来ていない」というのは、コーチングならではの領域です。コーチ達は、この「出来ていない」から「出来そう」へ至る過程を充実させ、重要なことが起こるエキサイティングなものにしようと、一生懸命に取り組んでいます。

私たちは誰でも、思考や会話の中で使われる言葉の力を知っています。

SAHツールは、このプロセスを容易にするためのものです。Sは類義語 (Synonym) を意味し、Aは反義語 (Antonym)、Hは同音異義語 (Homonym) を意味しています。

似た意味の言葉や反対の意味の言葉を知ることは、そのような言葉を最初からアイディアとして思いついた場合と同じ理解をするのに役立ちます。アイディアは言葉なしには成り立たないし、言葉はアイディアなしには成り立ちません。ある1つの事柄の相互関係について考えれば考えるほど、他の事柄の相互関係についてよりうまく考えられるようになります。

類義語

類義語は、ある言葉と意味を共有する言葉です。類義語が重要な理由はたくさんありますが、ここでは3つ示しておきます:

類義語によりコーチは、「出来ていない」が「出来そう」になるスピードを大幅に上げるための、価値のある反応と深い理解を引き出すことができます。

運命は意思とは違います。意思は目的とは違います。深い理解を引き出すには、そのような違いを利用します。違いは心の中に存在します。そしてコーチがクライアントの心に絵を描こうとする時に、そのような違いがクライアントの心の中で深い理解を作ったり、壊したりするのです。

反義語

反義語はある言葉の反対の意味を持つ言葉です。

「大きい」の反義語は「小さい」です。さあ、ここでゆっくり考えてみましょう。この中に学ぶべき何かがあります。英語で会話する場合、話す人は接頭辞を付け加えるだけで反義語を作ることが出来ます。ある言葉をそのまま少し補ってやるだけできちんとした言葉にできてしまうというのは、コーチングの会話で英語を使う場合に、本当にすばらしいことです。

同音異義語

同音異義語は、発音はそっくりでも、意味が違う言葉です。同音異義語も重要です。遊びやインスピレーションの源となり、混乱を取り除くことも出来ます。コーチングで利用する場合は、ちょっとふざけた楽しい感じになり、量も多くなります。

類義語、反義語、同音異義語を使うことで私たちのボキャブラリーは確実に広がり、クライアントの「出来ていない」を「出来そう」に変えるために役に立ちます。

適用プロセス:

ステップ1

コーチングの会話中に、クライアントが使う特定の言葉を慎重に選びます。例えば、クライアントが「運命」という言葉を使う場合、この言葉のSAHをクライアントに質問するか、クライアントに提示します。図に示す通り、そうすることでクライアントの進む方向を変えることができます。

ステップ2

下に示す通り、ハニカム状に言葉をマッピングします。

元の言葉を真ん中に置き、その周りの他のハニカムに類義語、反義語、同音異義語を置きます。

「運命」の類義語の例: 目的、使命、意思、天職、神のお召し、宿命、運、定め

ステップ3:

クライアントに、自分が言いたいことをより適切に説明する言葉を選んでもらいます。

もし提示された選択肢だけではクライアントの納得できる言葉が見つからない場合、それぞれの言葉のSAHを周りのハニカムに増やしてやります。リストは無限に広がります。

仕事を簡単にするため、類語辞典を使いましょう。

ステップ4:

反義語はより強力な刺激となります。例えば、「運命」の反義語は、 「自由意思」や「選択」になります。

ステップ5:

下に示すように反義語を図に描きます。

状況を1~10の尺度で[低い/高い]又は[近い/遠い]に位置づけてもらいます。クライアントとの会話を続けて下さい。位置づけが決まったら、上記の図を左右反転させて、反対になった尺度にも改めて注目してみてください。

ただし、10を[高い]又は[近い]にして、1を[低い]又は[遠い]のままにしておくことを忘れないで下さい。このプロセスはクライアントに、革新的で素早いソリューションを与えます。試してみて下さい。そして楽しんで下さい!

著者について

R.R. クリシュナ(R.R. Krishna)氏 は、約30年にわたり、様々な業界の人事部門で活躍してきた、ICF認定PCC(Professional Certified Coach)であり、英国エグゼクティブプロフェッショナル コーチング&スーパービジョン協会の公認エグゼクティブ・コーチ。また、RCS認定RPCC、BCI/ICC認定CMC、およびファウラー国際学会公認CPCでもある。ニューロリーダーシップではエグゼクティブマスターとして15年のコーチング経験を持つ。また、ICF公認ACTPプログラムを運営している。
詳しくはこちら

【翻訳】 Hello, Coaching! 編集部
【原文】 SAH: A POWERFUL COACHING TOOL
(2015年4月7日にICF BLOGに掲載された記事の翻訳。著者の許可を得て翻訳・掲載しています。)


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