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社員のモチベーションを高める3つの方法

原文:MOTIVATING EMPLOYEES | by Dr. Tony Alessandra
社員のモチベーションを高める3つの方法

「社員のモチベーションを高めるには、報酬が最も効果的だ」と信じている経営者は多い。だが、このやり方には、お金がかかる上に、金銭の絡まない「ポジテイブ」な「モチベーション促進剤」と比べると効果が薄いという問題がある。モチベーションを高める上で、お金よりもはるかに強く、多くの社員の心を動かす「ポジティブ」な「モチベーション促進剤」は他にもある。たとえば、承認、名声、達成感、心のこもった感謝、うまくいった仕事に対する自負、事業の運営方針について意見を言えること、責任、昇進、その他、仲間意識やチームワークを育む参加型の手法などだ。

モチベーションに関して上記と対極をなすのが、社員に恐怖や不安を植えつけることだ。これは、モチベーションを高める「ネガティブ」な「モチベーション促進剤」である。社員をひどく批判したり、けなしたり、脅したり、困らせたり、いじめたりすることは、すべて「ネガティブ」な「モチベーション促進剤」だ。これらのことは、短期的には社員を行動に駆り立てるかもしれないが、中・長期的に見れば社員の姿勢やモチベーション、能力、定着率に悲惨な結果をもたらす場合が多い。

経営陣が、「ネガティブ」よりも「ポジティブ」な「モチベーション促進剤」を用いた時の方が、社員のモチベーションは、長期間にわたって効果的に高まる、というのが、ハーズバーグ(Herzberg)やマズロー(Maslow)、ブルーム(Vroom)、ハーシー(Hersey)といったモチベーションの専門家の統一見解だ。

アンドリュー・カーネギー(Andrew Carnegie)は、かつてこう尋ねられたことがある。

「事業を成功させるのに最も重要だったのは、労働、資本、頭脳のうち、どれでしたか?」

彼はこう問い返した。

「3本脚の椅子では、どの脚が最も重要でしょうか?」

社員一同が、ポジティブにモチベーションを高めるための3本脚となるのは、以下の3項目である。

1. 「最高の人材」を雇う

このブログの趣旨は、いま在籍する社員のモチベーションを「ポジティブ」なかたちで高めることなので、採用について文字数を費やすつもりはない。だが、「最高の人材」が初めから揃っていれば、モチベーションを高めることはたやすくなるため、「最高の人材」を採用することは重要である。

「最高の人材」を雇えば、十分に検討せずに採用してしまったために使い物にならない社員を交代させたり、問題に対応したりする時間は減らすることができる。そうなれば、「トレーニング」と「コミュニケーション」という本来のモチベーション向上に向けた行動に、より多くの時間を割けるようになる。

採用がうまくいかないことで生じるもう一つの損失は、採用した社員のパフォーマンスが悪いために、生産性や収益が下がり、「一流の人材」を雇用する金銭的な余裕がなくなることだ。ふさわしくない人が仕事に就いてしまった場合は、その人が、モチベーションを長く保つのは無理な話である。また、自分にはふさわしくない仕事に就いてしまった人も長い間モチベーションを保つことはできない。ということは、モチベーションの3本脚の一つとして、「質の高い採用」が不可欠であるのは明らかだ。

2. ひたすらトレーニング

ベンジャミン・フランクリンが、かつて語った言葉に、

「教育への投資は、最高の配当を生む」 

というものがある。これは、現代にも当てはまる。トレーニングが、十分、かつ適切に行われれば、その見返りは、かなりのものになり得る。適切なトレーニングとは、その人が今担当している仕事にふさわしいスキルを教えることだ。ほとんどの会社は、技術的なスキルに関しては、かなりうまく対応しているものの、「トレーニングの三角形」を完成させる「人のスキル」や「自己管理スキル」は忘れがちだ。これら3つのスキルのどれがどれだけ必要とされるかは、仕事によって若干異なるものの、どんな仕事であれ3つ全てが求められる。

「人のスキル」には、相手の話を聞く、質問する(インタビューする)、フィードバックするといったコミュニケーションスキルや、その他の対人関係スキルが含まれる。

「自己管理スキル」には、ゴール設定、時間管理、体系化、ストレス・マネジメントやその他「自主性のスキル」などが含まれる。

適切なトレーニングとは、専門知識を一つ一つ積み重ねていく、手軽に取り組める訓練のことだ。手軽に取り組めるトレーニングを構成する4つの段階は、以下のようなものである。

1. 無知

どのようにタスクを行えばよいか、あるいは、タスクが何なのかさえ分からない状態

2. 認識

依然としてタスクを行うことはできないが、何をすべきかはわかっている状態

3. 実践

ミスを重ねながら、タスクを一から十までマスターしようと奮闘している状態

4. 知識

タスクを完全にマスターし、それが習慣になっている状態

与えられた仕事を学習するための4つの段階を最後まで経験して初めて、社員はようやく、手軽に取り組めて、無理なく習得可能なタスクに取り掛かることができる。能力が自信を生むので、モチベーションという名の椅子において、このトレーニングという脚は、重要である。その際、あなたは「いい仕事をした」と社員に伝える重要な役割を果たすことができる。自信は、内的な「モチベーション促進剤」だ。

3. 絶えずコミュニケーションをとる

無視されていると感じることほど、社員のモチベーションを一気に奪うものはない。自分という存在や、自分が会社に対して行った貢献には誰も目もくれないと感じたら、社員は「スイッチ」を切り、最低限のことしかしなくなるだろう。だが、もし自分の意見が求められれば、生産性を上げ、自らのアイデアが名案だということを示すために熱心に働く。そうすれば「チーム意識」が向上し、経営陣に対する信頼感は高まり、社員の現在の姿勢やモチベーション、潜在的な問題、現状を把握しやすくなる。また、先に述べたトレーニングを行う機会も得やすくなる。

「絶えずコミュニケーションを取る」ことは、さまざまなかたちで実現できる。例えば、以下のようなものだ。

1. 業績評価

業績評価を、トレーニングの必要性を見直し、今後のパフォーマンスのための共通の目標を設定するよい機会と捉えずに、「実施しなければならないプロジェクト」と考えているマネジャーが多い。評価は、モチベーションを念頭においた(その社員の)「パフォーマンス」について、日常的に、その場その場で、フィードバックを行うことを重視してもよい。

「ポジティブ」な行動には「ポジティブ」な反応を、

「ネガティブ」な行動には更なる「トレーニング」を、というのがルールだ。

2. 聞く

社員が話すときは、そこに注意を向けること。一つのアイディアが、会社の未来すべてに繋がるかもしれないのだ。

3. オープン・ドア・ポリシー

しかるべき人の元まで届けるプロセスが面倒なせいで、失われてしまったアイデアはたくさんある。良いアイデアは、すぐさま上に届けられるべきだ。障害を取り除き、アイデアは大歓迎だと社員に知らせよう。そして、アイディアが採用された社員には報酬を与えること。報酬は、アイデアの価値に応じて与えられなければならない。


「最高の仕事をやろう」と、「ポジティブ」な方法で、社員のモチベーションを引き出せれば、社員の士気や生産性に大きな影響を及ぼすことが可能だ。社員が喜ぶものは何なのかを見つけよう。金銭の絡まない「ポジティブ」な「モチベーション促進剤」が効果を発揮しやすくなるよう、ふさわしい環境をつくり出して欲しい。

  1. 「最高の人材」を雇う
  2. ひたすらトレーニング
  3. 絶えずコミュニケーションをとる

「最高の人材」を採用したら、綿密で、横断的・縦断的なトレーニングを行い、一人ひとりの成長やモチベーションを最大限に高めよう。業績評価や、質問・フィードバックのスキル、将来の展望、聞くこと、オープン・ドア・ポリシー、そして業務改善のためのミーティングを活用して、絶えずコミュニケーションをとるのだ。3本脚の椅子がぐらつかないようにすれば、社員はこれらの経験を共有してくれる。

<筆者について>

トニー・アレッサンドラ(Tony Alessandra)博士は、Assessments24×7の創業者兼CVO(最高事業計画責任者)。

【翻訳】Hello, Coaching!編集部
【原文】Motivating Employees
(2017年9月27日にICF BLOGに掲載された記事の翻訳。著者の許可を得て翻訳・掲載しています。)
※現在は、著者自身のウェブサイトに、上記とは異なる編集の記事が掲載されています。


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