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効果的な質問をするための5つのヒント

原題:From the Toolbox: Oh, the Questions We Ask
効果的な質問をするための5つのヒント
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国際コーチング連盟(ICF)が定める「コーチのコア・コンピテンシー」より 

6. 効果的な質問をしている

クライアント自身やコーチングの関係にとって最高の利益を得るために、必要な情報を引き出す質問をすることができる。


「ときに、質問は複雑だが、答えはシンプルだということがある。」

ドクター・スース(Dr.Seuss)

私たちコーチが尋ねる質問は複雑すぎてはいないだろうか?どうすれば質問をシンプルにできるだろうか?

コーチの質問は、効果的でなければならない。というのも、クライアントの答えが、前進や変化のチャンスを切り開くからだ。曖昧な質問やとりとめのない質問は、クライアントが熟考したり、前進したり、変化したりする能力に、いったいどれほどの影響をもたらすのだろうか?私の意見はこうだ。「コーチの質問が効果的であれば、その答えは明快になる。」

コーチングの初心者の多くは、お手本を参考にして、効果的な質問をすることを学ぶ。変化を起こすために、私たちは「ドクター・スース的」な不思議な感覚や、好奇心、深く聞く姿勢、そして直感を前面に押し出す必要がある。

以下に、あなたの質問力を磨くための秘訣、トップ5を紹介する。シンプルだからといって、その重要性を見くびらないでいただきたい。

1. 質問は短く、シンプルに

かつて私のメンターコーチが、「質問を7語以内に収めること」という課題を私に出したことがある。この課題は、すでにそれを実現するために相当な力を注いできた私にとっては、耳が痛いものだった。また、このことによって、自分がコーチング中に使う言葉に意識を向けるようになり、初心に帰ることが出来たのである。

この課題のお陰で、質問が複雑でややこしいものであればあるほど、その質問を扱うのは難しくなることを理解することができた。冗長な質問は、クライアントの思考をフリーズさせてしまう。それは、まるでコンピューターに、たくさんのコマンドを入力するとフリーズしてしまうのと同じだ。すべてが固まってしまい、例えて言うならば、クライアントは「強制終了キー」を、押さざるを得なくなってしまうのだ。

質問を短くすることを意識できるように、以下の「KISS (Keep It Short and Simple):質問は短く簡潔に」のリストを参照していただきたい。

私のお気に入りは、「What else?(他には?)」だ。

2語
What else? 他には?
Who else? 他には誰?
By when? いつまでに?
3語
What is next? 次は何?
What is working? うまくいっていることは?
What is possible? できることは何?
4語
What are you discovering? 気づいていることは何?
Who are you becoming? あなたはどんな風になりたい?
What is stopping you? 何が妨げになっている?
5語
What is this costing you? その代償は何?
What would that give you? それによって何が手に入る?
What is new about this? 今までと違うところは?
6語
What are you learning from this? このことからの学びは何?
How do you feel about this? これについてどう感じている?
What do you love about this? このことについてすごく好きな点は?

「7語以内の質問」を心がけ、その効果を検証してみてほしい。短い質問をすることがコーチングにどのような影響を与えるだろうか?なぜそうなるのだろうか?

2. 「指示命令」を「質問」として受け取られることを期待しない

「教えて(Tell me)」「見せて(Show me)」「わかるように説明して(Help me understand)」から始まる文は、オープン・クエスチョン(自由回答の質問)ではない。心を開きたがらないクライアントは、そっけなく「はい」「いいえ」で返事してしまうだろう。

このような光景は、マネージャーやリーダーのためのコーチングスキル・トレーニングでよく目にする。報告を受けるとき、「司令官」的なマネージャーたちは、自分は当然オープン・クエスチョンをしているのだと思い込み、また、オープン・クエスチョンとはそういうものだと解釈しているのだ。

「司令官」的になるのを抑えるためには、次のようにすると良い。セッションの中で、「命令」を出してしまったときに、自分に小さくチェックを入れるのだ。それが、自己認識を高め、癖を見直すことにつながるだろう。

3. 二つ目、三つ目の質問をすること

私たちコーチが目指しているのは、クライアントが点と点をつなぎ、様々な視点で新しいことを試し、「ブラインド・スポット(自分が認識できていないところ)」の先を見るように促すことだ。

私たちは、クライアントが、物事をより深く掘り下げられるよう支援している。エグゼクティブ・コーチであり、組織人類学者でもあるジュディス・E・グレーサー(Judith E. Glaser)氏は、これを「ダブルクリック」と呼んでいる。同氏は、「ダブルクリック」について、2011年に彼女のブログで説明している。

「『ダブルクリック』と名付けたのは、そのプロセスが、コンピュータ内のフォルダーを開く際のダブルクリックと似ているからです。チームで『ダブルクリック』を使う場合、私はチームメンバーに、自分の心の中の風景を深く掘り下げて考えるように、つまり『ダブルクリック』するようにと伝えます。そうすることで、お互いに、言葉の意味や感じ方を共有したり比べ合ったりできるのです。」

同じ表現でも、人によって異なる意味を持つことを発見し、探究し、そして理解するために「ダブルクリック」してもらいたい。「ダブルクリック」を練習するためには、クライアントが返す言葉の中のキーワードが「ハイパーリンク」になっているとイメージするのだ。クライアントの発言の裏にある意味を「聞く」ために「ダブルクリック」して、二つ目、あるいは三つ目の質問をするのだ。

4. 視点を変える

私たちコーチは、クライアントが視野を広げられるよう努めている。クライアントが視点を変えるために、次のことを試すと良い。

未来を見て、予測する

「来年はどのようになっているだろうか?」

仮定する

「もし●●だったら〜?」

他の人の視点で考える

「X氏ならどう考えるだろうか?」

クライアントを建物の一階からバルコニーへと移動させてみる

「もし、その状況の上を飛んでいるとしたら、どうだろうか?」

別の観点からアプローチする

「あなたの心は何て言うだろうか?

あなたの頭は?脳は?若い頃の自分だったら?年をとった自分だったら?」

ドクター・スースは、表現豊かに、「視点を変える」アドバイスを提案している

「右を考え左を考え、上も下も考えよう。ああ、あなたが試してみるだけで、考えは浮かんでくる。」

5. 永遠に好奇心を持ち続ける

「大人は、退化した子どもにすぎない」

ドクター・スース

子どもは、生まれながらにして好奇心旺盛だ。ミスコミュニケーションや自分の思い通りにいかなかったこと、あるいは人生が思わぬ方向に展開したことに腹を立てているクライアントの話に、私たちコーチは耳を傾ける。そのようなクライアントには、「怒り」を抱く代わりに「好奇心」を抱くように導くと良い。「好奇心」は、「何が可能だろうか?」という問いを生み出してくれる。結局のところ、ドクター・スースが言うように「大切なのは、それが何かということではなく、それが何になり得るか」なのだから。

質問力を高めるために、これらのヒントを参考に実践していただきたい。それから、忘れないでいただきたいことは、簡潔な質問をしたら、あとはクライアントに任せることだ。クライアント本人が、探し求めている答えを自分自身で見つけられるように。

Copyright 2016-2018 Barb Girson, My Sales Tactics, LLC. All Rights Reserved.

筆者について

バーブ・ガーソン(Barb Girson)氏は、20年以上にわたりコーチング、コンサルティング、ファシリテーションの分野で活躍している。ICFコロンバス・チャプター(オハイオ州)の代表。ガーソン氏に関するさらに詳しい情報はこちらから

Barb Girson, ACC has more than 20 years of experience in training, coaching, business consulting and facilitation. Her custom training and Executive Coaching programs help companies, teams and entrepreneurs gain confidence, get into action and grow. She is the president of ICF Columbus and a member of the Worldwide Association of Business Coaches. Learn more about Barb at www.mysalestactics.com.

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】From the Toolbox: Oh, the Questions We Ask
(2017年1月23日にICFのCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。著者の許可を得て翻訳・掲載しています。


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