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それはあなたの思い込みではありませんか?

【原文】Making Assumptions: A Story of Failure and Learning | by Sara Smith
それはあなたの思い込みではありませんか?

コーチング中の出来事である。

私(コーチ):「声に不安が表れていますよ。」

クライアント:「いや、そんなはずはありません。」

その答えは予想していなかった。

コーチのトレーニングでは、相手をはっきりと理解できるよう、相手の変化に耳を傾けてその変化を扱うように、と指示される。私は相手の声の変化を聞き取り、その変化が何を表すか考えて、それはためらいであると思い込んだ。

私は、トレーニングで教わった重要なこと、つまり「変化の意味を勝手に想像するのではなく、ただ変化に気づいて質問をする」というスキルを理解していなかったことに気づいた。

このときの私の思い込みは間違っており、この発言で2人の間の信頼関係は損なわれる危険もあった。しかし、彼女は優秀なクライアント(想像力があり、気の利く、しっかりとした人物)であり、はっきり違うと答えてくれた。彼女の勇気のおかげで、私は自分の間違いに気づき、「クライアントが何を感じているか分かっている」と思い込む癖を知ることができたのである。

思い込みを認識する

この経験から、私は思い込みが落とし穴になることを学んだ。重要なのは、思い込みを理解することだ。思い込みとは、自分の理解の不足を補うための作り話である。辞書では「確証がない状態で、正しいまたは確実に起こると思われている物事」と説明されている。

ドン・ミゲル・ルイス氏は自身の著書『四つの約束(The Four Agreements)』で次のように警告している。

「思い込みの厄介な点は、それを真実だと考えてしまうことである。私たちは、出来事をでっち上げ、それを唯一の真実とみなし、本当のことであると信じてしまうのである。1つの思い込みがまた別の思い込みを生む。早合点し、自分の作り話を自分だけで納得する。思い込みをして、その思い込みが正しいと信じ込み、そして自分の思い込みを擁護するようになるのだ......」

実際、思い込みは不意にやってくる。自分が思い込みにとらわれていたことに、後になって気づくこともあるだろう。たとえば、通りを車で走っているときに、誰かが自分の進路に割り込んできて、急いで走り去っていったとしよう。私だったら、その人のことを乱暴で愚かな者と考えるだろう。病院に急いでいる人と考えることはまずない。

思い込みの次に起こること

この話は教訓として話しているので、思い込みの次に起こることも指摘しておこう。思い込みをした後、人は次に結論を急ごうとする。そこで、次のことを試してほしい。思い込みが生じる様子と、その後に下される判断に注意するのである。これは知識や確信が得られるような判断ではない。証拠となる情報がない状態で結論に飛びついているだけだ。心配することはない。誰でもそうすることがあるし、克服できないものでもない。

思い込みをもとに判断することは、断ちがたい習慣である。そうしたほうが楽だし、何か分かった気になれる。また、知ることによる安心感も得られる。たとえそれが嘘であったとしてもだ。では、コーチとしてはどう対処すべきなのだろうか。あるクライアントが涙を流したとしよう。私はクライアントが悲しんでいるのだと思い込み、何を悲しんでいるのかと質問するかもしれない。一方、思い込みに抗うのであれば、涙が何を意味しているか質問するだろう。意外にも、その涙は喜びの涙かもしれない。熟練したコーチは絶対に思い込みをしない。

思い込みを関心に変える

思い込みや憶測に影響されないようにするには、どうすればよいだろうか?答えはシンプルだ。頭の中で答えをひねり出そうとしていることを自覚し、それをやめることである。そして、憶測を関心に変えればよい。思い込みをする代わりに、自分が知らないことを質問するのだ。そうすれば、クライアントを本当に理解することができるだろう。

これは心の知能(EQ)を形成する中心的スキルである。自分の思い込みのきっかけを知ることで、自覚が生まれ、思い込みを相手への関心に変えることができる。自分で真実を考え出すのではなく、思い込みに影響されずに純粋な好奇心を持てば、さまざまな可能性に意識を向けることができる。

理解の不足を補うために何かを想定しようとしていることに気がつけば、それをやめて関心を持つようにする。思い込みや速断を誘発するきっかけを認識する。シンプルなことだとは言ったが、容易なことだとは言っていない。クライアントを助けたいと思うがあまり、「すぐ関心に切り替える」ことが難しいこともある。私が学んだのは、ヘルパーからパートナーになることで、相手をさらにはっきりと理解し、相手の役に立つことができるということだ。思い込みを抑え、関心を高めることは、コーチとしての自分にとって重要な前進だった。

最後に、思い込みと、私たち国際コーチ連盟(ICF:International Coach Federation)の発展を結びつけて終えることにしたい。国際コーチ連盟は組織全体で、ブランドの強化、資格認定の向上、社会的変化の創出、将来に向けた準備に取り組んでいる。このような説明ではよく分からないかも知れないし、思い込みや憶測を生んでいるかも知れない。私たちの動きや変化に気づいたら、ぜひ私たちと関心を共有し、一緒に何ができるか考えていただきたい。勇気、創造力、関心を持って、私たちとともに変革の推進に取り組んでほしい。

筆者について

サラ・スミス(Sara Smith)氏は、スミス・リーダーシップLLCのCEO兼プリンシパル。心の知能を通じてアスリートのコーチや個人、企業に対して、変化への対応や競争力の強化といった取り組みをしている。2018年のICF グローバル取締役会の副議長。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Making Assumptions: A Story of Failure and Learning
(2018年2月20日にICFのCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)


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