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世界観の違いをどう扱うか

【原文】How You See the World Impacts Your Clients | by Matt Trenchard
世界観の違いをどう扱うか
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私の向かいには、教養があり弁の立つビジネスパーソンが座っていた。遠く離れた国の出身であり言葉も文化も異なる人だ。私たちは互いに不自由なく英語で会話していた。それなのに、言葉では表現しにくいことであるが、自分はどこか相手とつながっていない感じがした。私たちは信頼しあえる親密な関係をなかなか作り出すことができなかった。そのとき私は、「なるほどそういうことか」と、ふとあることに気がついた。

この会話はドバイでの出来事だった。ドバイという都市は、世界中の人々が集まり、出会い、生活し、ビジネスを営む拠点の1つだ。あらゆる国、文化、民族の人がいるところである。異なる人々が出会えば、アイディアや考えや世界観の交流も起こる。

世界観とは

世界観はあらゆる物事に影響を与える。オックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary)によると、世界観とは「特定の人生観または世界のとらえ方」を意味する。それは世界、自分自身、現実そのものをとらえるレンズである。感覚や内面的なプロセスを通して経験する事柄は、私たちが持つ世界観によって色付けされている。世界観は、私たちの考え方、感じ方、行動の仕方に大きな影響を与えているのである。

世界観はとらえにくいものである。

世界観は文化的な規範の影響を受けることもあるが、それは文化ではない。

世界観は行動によって表される場合もあるが、それは行動でもない。

世界観は宗教的な規範の影響を受けることもあるが、宗教や信仰でもない。

人々の理解や文化、教義、そしてコーチング教育機関さえも、いずれも3つの世界観のどれかに基づいている。哲学者はそれを自然主義、一元論、実在論と呼んでいる。自分や他者あるいはコーチング教育機関の考え方が、次の説明に当てはまっていることに気づくだろう。

自然主義 (Naturalism)

自然主義者にとっては、自分が見たもの、触れたもの、測定したものだけが現実である。それ以外のものは存在しない。あらゆる感情、思考、「精神的なもの」は、物理的な身体の中、特に脳の中に存在するとされる。

一元論 (Monism)

一元論は「一つ(mono)」という言葉に由来している。この世界観を持つ人々は、あらゆるものは同一の一つのものに属していると考える。また、物質的なものと非物質的なものはどちらも存在すると考える。しかし、私たちが考えるさまざまな相対立するもの(善と悪、物質と非物質、自己と他者など)は錯覚だとされる。言い換えれば、現実は相対的なものだとされる。多くの場合、私たちと私たちの思考そのものが、相対立する現実を生み出しているとされる。

実在論 (Realism)

最後に実在論である。この世界観は、物質的なものと非物質的なものがどちらも存在すると考える一元論と共通している部分がある。ただし、現実は客観的なものであり、さまざまな双対性は実在すると考える。現実を生み出すのは私たちではなく、世界は私たちから独立して存在し、私たちの行動によって現実は定義される。また、私たちは、現実そのものを十分かつ正確に理解していく過程で成長するとされる。

コーチングにおいて自分の世界観をどう扱うか

コーチとしての私たちの使命は、クライアントが自分の目標を達成し、人として成長するのを助けることである。この使命を実現するために、私たちは自分の知識や考えを会話中に持ち出さないようにしている。しかし、会話にどうしても入り込んでしまうのは、私たちの考え方、すなわち認識の枠組みである。他者と会話するとき、自分の世界観を持ち込まないわけにはいかない。そのことに気づいていない場合、私たちはクライアントに自分の世界観の影響を知らず知らずのうちに与えてしまうことになる。

自分の世界観を相手との関係に持ち込まざるを得ないのは仕方がないとしたら、私たちは、どうすればクライアントに最も貢献することができるだろうか?ここで以下の方法を紹介したい。この方法は2つのステップから成り、国際コーチ連盟(ICF)コア・コンピテンシー C-5の「アクティブ・リスニング」と、C-7の「率直なコミュニケーション」をもとにしている。

アクティブ・リスニング:まず、自分の世界観を知り、クライアントと自分自身に注意を払うことで、世界観の違いに気づくことができる。世界観は、クライアントの言葉や自分自身の思考、または感情の変化に表れる。そこで、「世界観の違いについて、何か気がついたことはないか?」と考えるとよいだろう。

率直なコミュニケーション:次に、クライアントに自分が観察したことを伝える。たとえば、次のように話すとよいだろう。「私の勘違いかもしれませんが、私たちはものの見方に少し違いがあるようです。会話を続けていくと、その違いが妨げになるかもしれません。お互いの見方の違いについて、私にはどう見えているか話してもいいですか?」

より有意義なコーチング・セッションのために

話されていないことや気づいていないことを表に出すことで、コーチとクライアントの双方が、現在の状況に気づき、正常な状態に軌道修正して、会話を次に進めることができるようになる。そうする中で、信頼感と親近感が共有されて深まっていくだろう。

皆さんが今後セッションを実施する際は、自分とクライアントの双方の世界観に気づくことができるといいだろう。そして、より深く親密で有意義な会話を行うことで、クライアントにより大きな影響を与えられることを願っている。

【筆者について】

マット・トレンチャード(Matt Trenchard)氏は、ノース・ポイント・コーチング・アカデミー (North Point Coaching Academy) のCEOかつ共同創始者。過去に、国際コーチ連盟(ICF)ドバイ・チャプター長を務めている。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】How You See the World Impacts Your Clients
(2018年2月23日にICFのCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)


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