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クライアントに変化を引き起こす目標設定とは?

【原文】Setting and Achieving Transformative Goals | by Alison Newby, Ph.D.
クライアントに変化を引き起こす目標設定とは?

目標を設定することは、人生において重要なことである。目標設定は、多くのコーチング手法に欠かせないものでもある。しかし、正直なところ、どのような目標設定でも効果的であるとは限らない。目標と目標設定の考え方を変えることで、クライアントの自己実現や前進をさらに助けることができる可能性がある。

ジョン・ホイットモア(John Whitmore)氏の「目標のピラミッド(Pyramid of Goals)」では、「夢としての目標」「最終目標」「パフォーマンス目標」「プロセス目標」の関係を考察している。これらの目標の違いを理解することで、クライアントに自分の夢の実現に役立つ目標設定に向けて考えるよう促すことができる。

変化を引き起こす目標を設定する

目標の達成を妨げる障害には、外的なものと内的なものがある。私たちはコーチとして、その両方を取り除く方法を見つけることに力を注ぐことで、クライアントの恐怖や抵抗感を取り除き、本当に望んでいることを実現できるようにする。そうすることで、クライアントが深く分析して、自分にとって意味のある目標を見つけられるようにするのである。

目標が他者によって設定された場合や、クライアント自身が望んでいることと目標が一致していない場合は、クライアントから主体性と選択権が奪われることになる。この場合、目標の達成に向けて意欲や責任感がほとんど持てないため、成功する可能性はきわめて低い。

クライアントに変化を引き起こす目標を設定するには、クライアントの奥深い願望を読み取り、本当の動機、夢、高い志を明らかにする必要がある。クライアントの想像力、感情、意志力に十分に訴えかけるビジョンがなければ、非常によく練られた計画でも、クライアントが奮起してそれをやり遂げる可能性はきわめて低いだろう。

では、「目標のピラミッド」を見てみよう。

1) 夢としての目標

「夢としての目標」とは、クライアントに刺激を与えるものである。それは望ましい未来であり、毎朝ベッドから起き上がることに意味を与えるビジョンである。北極星のようにクライアントの進路を導く、やりがいを感じられる目標である。

2) 最終目標

「最終目標」とは、クライアントが実現を目指していることであり、「夢としての目標」を現実的に考えたものである。「最終目標」は、少し高めの実現可能な目標である。ただし、クライアント自身でその実現を完全にコントロールできない目標も含まれる。たとえば、特定の仕事を得ることが目標である場合は、他の候補者が採用されることもある。賞を受賞することであれば、他の人に与えられる可能性もある。

3) パフォーマンス目標

「パフォーマンス目標」とは、クライアントが「最終目標」の達成に必要だと考えるパフォーマンスのレベルを指す。「パフォーマンス目標」は、クライアント自身の力で十分に掌握できるものである。目標の達成に必要なものは、クライアント自身が調達する。目安として中間目標を設定すれば、クライアントはその目標の達成に必要なレベルに向けて段階的に歩みを進めることができる。中間目標は「最終目標」の達成に必要なレベルでもある。自分ではどうにもならない要因によって「最終目標」を達成できない場合もあるが、その場合も、最終目標の達成に必要なパフォーマンスレベルに到達することは可能である。

4) プロセス目標または活動目標

私たちはここで現実を突きつけられる。言葉巧みに夢を語るのは結構だが、果たしてクライアントは、「パフォーマンス目標」の達成に向けて努力する意欲をどれだけ持っているだろうか。ここでは自己洞察と正直さが求められる。十分な努力を行うコミットメントがない限り、目標は達成できないからである。クライアントはよく考えて、コミットメントが不十分な場合は、動機付けと目標を考え直す必要がある。

目標を連携させる

上記の目標の違いを理解することで、クライアントが失敗しないよう導くことができるだろう。各目標をうまく連携させれば、自信を育み、現実的な計画を立てることができるため、最終的に成功する見込みが非常に高くなる。

「夢としての目標」は、進み続ける決意と粘り強さを与える。実現可能な「最終目標」は、挑戦し続ける意欲を維持する。「パフォーマンス目標」をうまく調整することで、「最終目標」の達成に必要なレベルに到達することができる。そして、「プロセス目標(活動目標)」を立てることで、必要なすべての活動を確実に行うことができる。

「パフォーマンス目標」「夢としての目標」「最終目標」を混同していると、私たちがコントロールできない要因によって失敗した場合でも、自らを責めてしまう可能性がある。それは失望と挫折へと至る道である。「パフォーマンス目標」と「最終目標」を的確に連携させれば、最終的に私たちにとって不利な意思決定が行われたとしても、必要なレベルには既に達しているため、再び挑戦することができる。これまでの努力で、自分の力で実現可能な目標の達成に必要なものは、もう既に獲得しているからである。

終わりに

「目標のピラミッド」の理解と整理は、コーチにとって不可欠なことである。「目標のピラミッド」は、クライアントの力、根気、決意と、自信、信念、自己責任感を引き出すための青写真である。このような目標を設定することで、クライアントに変化を引き起こし、自分の力で実現可能な夢や目標の達成に向けた基盤を築くことができる。

【筆者について】

アリソン・ニュービー(Alison Newby, Ph.D.)博士は、インスティテュート・オブ・リーダーシップ・マネジメント (Institute of Leadership Management) のコーチであり、イギリス、マンチェスター大学の名誉リサーチャーである。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Setting and Achieving Transformative Goals(2018年4月27日にICFのCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)


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