Global Coaching Watch

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もし、クライアントが「コーチ」だったら

【原文】Coaching a Coach: Is It a Challenge or an Opportunity? | by Sezin A. Ninic
もし、クライアントが「コーチ」だったら
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コーチングを行っていると、職歴、教育レベル、性格が異なるさまざまなクライアントに出会う。これは、コーチングという職業において最も価値があり、やりがいのある側面と言える。しかし、似たような研修を受け、同じ職業に就いている人、つまり「コーチ」をコーチングすることになったら、どうだろうか?

コーチをコーチングするとき、コーチングのセッションを進める側のコーチは、自分のパフォーマンスについて不安を抱き、最初は手ごわいと感じるかもしれない。コーチングのテクニックや手法を良く知っている人は、コーチが今何をしているのか、なぜこのようなプロセスを踏んでいるのか、そして、正しく実践できているか、という点に目が行きやすくなる。そのため、多くのコーチは、コーチをコーチングすることにやりにくさを感じてしまうのである。ところが、実際にやってみると違うことがわかる。それどころか、正反対の成果が得られることも多い。そこで、コーチをコーチングすることを特徴づけるいくつかの要素について考えてみよう。

コーチングを受け入れられるか、受け入れられないか

コーチングを成功させるには、クライアントはコーチよりも大きな役割を果たす必要がある。クライアントがコーチングを受け入れられる(「コーチャブル」)かどうかは、重要な判断基準となる。フォーブス誌では、コーチャブルな資質として、「謙虚さ」「主導権の放棄」「信頼」をあげている。「謙虚さ」とは、他人の考えを素直に受け入れ、進んで学び、前に進むことを意味する。「放棄」も重要な資質であり、主導権をコーチにゆだねて進行を任せることを意味する。そして、コーチングの成果を重視してそれを定期的にチェックするだけではなく、コーチングのプロセスを「信頼」する。すべてのクライアントにこれらの資質があるわけではないが、コーチのトレーニングを受けた人や実際にコーチングを行っている人は、このような資質を持っている可能性が大いにあると言える。

自己認識の高さ

コーチング実践の重要な成果のひとつとして、自己認識――クライアントが自分の価値観、長所、思い込み、思考パターンなどを見つけること――があげられる。コーチを職業とするクライアント(以下、コーチ・クライアント)は自己認識がすでに高いため、この要素については、コーチはあまり積極的にコーチングを行おうとしないかもしれない。ところが、自己認識が高いとむしろ、コーチングのセッションを活気づかせることになる。

コーチ・クライアントとコーチングを重ねてきた経験から、私は、効果的な質問によってコーチ・クライアントの新たな自己認識が明らかになることに注目した。「なるほど!」と思う瞬間が増えると深い見解が得られるようになり、思い込みや障害となっているものがすぐにすんなりと浮かび上がってくる。クライアントの自己認識が高いほど、さらなる認識を次々に導き出すことができる。その結果、よりインパクトのあるコーチング・セッションになるのである。

コーチングに対する期待

コーチング業界は成長を続けており、コーチングの認知度と注目度はますます高まっているが、コーチングのプロセスに対するクライアントの知識が豊富になっているというわけではない。新規のクライアントは明確な知識を持たないケースが多く、コーチングの成果に対する期待も異なる。例えば、個人的なアドバイスを期待するクライアントもいれば、過去(幼少期など)の出来事に注目するクライアントもいるだろう。

このような場合、コーチには、コーチングの範囲と境界を明確に示す責任がある。初回だけでは十分に明確にできないため、数回の話し合いが必要になるかもしれない。完全にすり合わせるには時間がかかるが、コーチ・クライアントが相手の場合はまったく異なる展開となる。つまり、彼らはコーチングの範囲と境界に対する知識が豊富なため、コーチングの初日からスムーズにセッションを進めることができるようになる。

セッションで使う言葉

どの職業にも独自の専門用語があり、それによって仲間うちでは容易にコミュニケーションをとることができるが、部外者にとってはまるで外国語のように聞こえてしまうことがある。このことはコーチングにもあてはまる。特に、質問の仕方は、コーチングの世界とは無縁のクライアントにとってはピンとこないかもしれない。

私には忘れられない経験がある。コーチングを始めたばかりの頃、あるクライアントに「今日のセッションには何を持ちこんできましたか?」と聞くと、「今日はクッキーを持ってきました」という答えが返ってきた。今日はどのようなテーマについて話し合いたいか、と質問しただけなのだが、この経験から、コーチングに詳しくない人にも明白にわかるように質問する必要があるということを認識した。これに対して、コーチをコーチングするときは、詳細に説明したり簡潔にしなくても、専門用語を用いて質問することができる。

コーチをコーチングすることは、最初は手ごわいと感じるかもしれない。しかし、コーチング・セッションをスムーズかつ効果的に進め、より影響力があり、最終的には成功するセッションに導けるという大きなメリットがある。

【筆者について】

セジン A. ニニック (Sezin A. Ninic, ACC) 氏はリーダーシップ/キャリア・コーチ。国際的な企業で人事部門の管理職を16年間務めた。国際コーチ連盟トルコチャプター、マーケティング/ソーシャルメディア委員会のメンバーとして、コーチの職業の発展に貢献している。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Coaching a Coach: Is It a Challenge or an Opportunity?
(2018年7月2日にICFCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)


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