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普通の企業をエクスポネンシャル企業に成長させる4つのステップ
2018年09月14日
ビジネスの世界で「自分でやろう(Do It Yourself: DIY)」の精神が尊ばれた時代は、遠い過去のものになった。今や、世界で最も成功している企業は、パートナーのネットワークとコスト削減に向けた技術革新を利用しつつ、成長を加速している。このような企業は、飛躍的な成長をとげる企業(エクスポネンシャル企業)と呼ばれている。
あなたのクライアント企業も、自覚しているかどうかにかかわらず、エクスポネンシャル企業へと変わることで成功できるかもしれない。コーチの仕事はクライアントを正しい方向に導くことである。ここでは、エクスポネンシャル企業への変革を助ける4つのステップを紹介しよう。
1. エクスポネンシャル企業の概念をクライアントと共有する
コーチの仕事は、クライアントの目標に耳を傾け、その達成を助けることである。しかし、多くのビジネスリーダーは飛躍的成長について見過ごしている。個人的な投資で、エクスポネンシャル企業からも利益を得ているはずなのだが、自社の事業にはさまざまな利益モデルをいまだ適用できていないのである。
そこでまず、クライアントの承諾を得たうえで、成功している他社の例を話すとよいだろう。
たとえば、Uberの企業価値は設立から6年経たないうちに680億ドルにまで飛躍的に上昇した。その理由は、Uberは従来の直線的成長を想定するビジネスモデルには従っていないからである。その代わりに、Uberは社内の従業員と社外のネットワーク(主にテクノロジー分野)の両方を活かして収益を上げ、事業を急成長させた。
2. 組織構造に目を向ける
繰り返しになるが、エクスポネンシャル企業となるには、従来の直線的成長モデルから方向転換して、テクノロジーと国際市場にフォーカスしなければならない。それには、組織全体の変革が必要である。クライアントの承諾のもと、成功事例を紹介したり、組織構造の変革方法に関する提案をしたりするとよい。
たとえば、大手ネット通販会社のZapposを例として取り上げるとよいだろう。Zapposはホラクラシー(Holacracy)型組織を採用することにした。つまり、トップダウンの経営構造を廃止し、複数のチームを編成してそれぞれに主導権を握らせる体制にしたのである。Zapposがこのような組織再編を実施したのは、成長が伸び悩んでいたためであるという。
都市の規模が2倍になると、住民1人あたりの生産性が15%増加すると言われている。Zapposではこのような成長を実現するため、従来の直線的成長を目指す代わりに、自社を再編して都市のような組織を作ることを目指したのである。このような事例は、クライアントが目標を達成するために最適な組織再編を検討するうえで役立つだろう。
3. クライアントに行動計画を紹介する
コーチはクライアントにやるべきことを命じることはできない。エクスポネンシャル企業をよく知るエキスパートや講演家のサリム・イスマイル(Salim Ismail)氏も、思い描く成功を収めるために企業が行うべきことを、断定的に語ったりはしない。
その代わり、イスマイル氏は、各企業の目標に合わせて変更が可能な行動計画を紹介している。その行動計画には、最先端のテクノロジーを考慮した、成長を促すための5つの社内戦略と5つの社外戦略が取り入れられている。
イスマイル氏の行動計画のリストには10個の分野がある。その分野において変革を実施することで、業績が10倍になることもあるという。企業は10個の分野の中から4つだけ選択して実行する。
たとえば、資産を購入する代わりにリースしたり、アルゴリズムを利用して業務処理を合理化したりするほか、従業員の裁量を増やしたり、新しい方法を試して最良のものを事業体制に取り入れたりするのである。
クライアントが結果重視の考え方を持っていても、企業が最も成長できる計画を選択しているとは限らない。コーチはクライアントに対して、達成目標を定義する機会と、場合によって取り組み方や改善方法の選択肢を与える必要がある。
ただし、最終的には、最も有益と思われる方法の選択はクライアントに委ねる必要がある。解決策はクライアントが自分自身で見つけなければならない。
4. クライアントにアカウンタビリティを持たせる
コーチの最も重要な責務は、おそらく、直線的に成長する企業から飛躍型の企業に変革するという目標を実現できるように、クライアントに常にアカウンタブルに(主体的に、責任を持って)行動させることである。
コーチである皆さんは、このようなアカウンタビリティを持たせるための戦術を既にいくつか知っているはずだ。まずは、すべての目標と期待ができるだけ明瞭に定義されているか確認する必要がある。
クライアントと協力し、目標をわかりやすくリスト化するとよいだろう。クライアントが自ら考え出した目標が多いほどよい。そして、これらの目標を達成するために、どのようなリソース、スキル、トレーニング、人間関係が必要となるかを検討するとともに、これらを手に入れる計画があるかどうかを確認しなければならない。
コーチはその間、クライアントの計画と目標達成が予定どおりに進むように促し、成果を測る方法を把握しておく必要がある。クライアントを確実に前進させるために、各種のコーチングスキルを活用するとよいだろう。
もしクライアントが約束したことを果たせなかった場合は、それがクライアントの目標にどのように影響するか、クライアントの成功がどれだけ遅れるかについて、毅然とした態度で正直に伝えるとよい。そうすれば、クライアントを再び軌道に乗せることができるだろう。
飛躍的な成長を実現する
コーチの支援を受けることで、クライアントは組織構造の変革が必要であることを知り、その実行方法を検討することができる。最初から最後まで成功を支援するのがコーチであるあなたの役目だ。コーチングでクライアントがゴールすることができれば、あなたもクライアントも達成感を得ることができるだろう。
筆者について
サラ・ランドラム(Sarah Landrum)氏は、フリーのライター兼ブロガー。自身のブログ(Punched Clocks)を通じて、各業界のプロフェッショナルやメンターに向けて、リーダーシップやキャリアについて提言している。
【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】 How to Help Businesses Become Exponential Organizations
(2018年7月19日にICFのCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)
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