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なぜ、チェンジ・マネジメントにコーチングが有効なのか

【原文】The Ultimate Power Couple
なぜ、チェンジ・マネジメントにコーチングが有効なのか
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私は個人の行動の変化や組織体制の変革に関するプロフェッショナルであるが、時どき自分が詐欺師なのではないかと思うことがある。過去3年間にわたり、私はチェンジ・マネジメントに関する調査を実施し、論文を発表し、学習コースを設計してきた。また、私は母親になり、フルタイムの学生になり、ビジネスオーナーになり、認定コーチになった。だが、重大な変化を経験してきたにもかかわらず、変化に対する私の感じ方はあまり変わっていない。多くの人と同じく、私は変化に抵抗を感じるのだ。

先日(2018年9月)、Human Capital Institute(HCI)は国際コーチング連盟(ICF)と共同でチェンジ・マネジメントとコーチングに関する調査を実施した。この調査では、チェンジ・マネジメントの目標を達成し、取り組みを実現するうえで、コーチングの活動(1対1のコーチング、チームコーチング、グループコーチングなど)が最も有益だったという回答が得られた。コーチングの活動は、eラーニングや集合トレーニングよりも有益であると評価されたのである。

なぜだろうか?
チェンジ・マネジメントとコーチングはどう関係しているのだろうか?

個人が抱く変化への抵抗は見落としがち

チェンジ・マネジメントのプロセスは、理屈のうえでは直線的に進むものである。しかし、個人の変化は直線的には進まない。変革を担当する管理者やリーダーの中には、この点をあまりに単純に考えている人もいる。つまり、個人のレベルでどのように変革を進めるのかということについて、予想も計画もしていないのである。変革に対するモチベーションは、変化の必要性の程度、自己効力感のレベル、各人にとっての変革の重大さによって増減する。そこで役に立つのがコーチングである。コーチングは、変化への抵抗を明らかにして、それを解消する効果的な手段であり、組織の大規模な変革活動に取り入れるべきものである。

抵抗は一体どこから来るのだろうか? コーチならば、次のようなよくある問題に対処するための複数のスキルを持っているはずだ。

1. 新しい現実に向き合うことができず、不安を感じている

私たちは、変革に失敗したら自分の能力に自信が持てなくなるだろうと考え、不安に思う。このような不安が原因で、身動きが取れなくなる場合がある。変化に抵抗を示すことが、先延ばしや自己破壊的な行動に見えたり、組織の取り組みの価値を下げる行為に見えたりすることもある。

この問題を解決するため、コーチは1対1のセッション、チームやグループでのセッションでクライアントの自己効力感を高める必要がある。また、組織でトレーニングやサポートを提供したり、リーダーが成長するためのマインドセットを促したりするとよいだろう。

2. 変革に関する情報が不足している

変革によって直接影響を受ける人々と比べると、変革の計画者、管理者、スポンサーは、変革に向けて物事を整理し準備する時間的余裕がある。組織全体のテクノロジーを変更する場合、計画に数か月や数年かかることがあるが、このような大規模な変革に関する情報が、開始時になって初めてユーザーに伝えられるケースも珍しくない。その場合、日々の業務に大きな影響が及ぶことになる。

この問題を解決するには、コーチとしてクライアントの根拠のない仮定を指摘し、情報をもっと探すように促すとよいだろう。変革担当者は、複数のチャネルを用いて変化について伝達する計画を策定し、今後の予定を明示する必要がある。また、このような計画を立てる際には、情報の整理や質疑応答を行う時間を確保する必要もある。

3. 最悪の結果を想像してしまう

私が妊娠したとき、私は生まれてくる子どもによって自分と夫の生活にどのような影響が及ぶだろうかと不安に思った。しかし、別の未来(私が今経験しているような、家族3人での素晴らしく楽しい生活)を想像することができていたならば、母親になることに対して、そのようにためらいや不安を感じることはなかっただろう。

コーチはクライアントの将来の可能性を検討し、不安や障害を明確にして、目標への筋道を定める時間を彼らに与える役割がある。変革の実行時には、望ましい将来に向けてうまく前進できるように、クライアントをサポートし、協力して困難に立ち向かうとよいだろう。

4. 現状に満足してしまう

多くの人は、自分が現在認識していることに固執しているが、一方で成長は不可欠なものであるとも考えている。クライアントが現状への満足やこだわりについて話したり、変革のデメリットを訴えたりするのは、変化への抵抗を感じているからである。

『モチベーション面談 (Motivational Interviewing)』は、クライアントに内在するモチベーションを形にし、行動への決意を強化するコーチング手法である。これは、コーチが効果的な質問をクライアントに投げかけることで、抵抗感を認識させ、その起こりうることや影響を明らかにし、より前向きに目標を目指せるように状況の見直しを促す方法である。

HCIとICFの調査で、私はチェンジ・マネジメントのプロとプロのコーチの両方に話を聞いた。多くは、チェンジ・マネジメント手法とコーチングを組み合わせるというアイデアは聞いたことがなかったと言っていた。コーチングスキルをチェンジ・マネジメントに応用することで、高い効果が得られる。チェンジ・マネジメントのために、あなたはどのようにしてコーチング文化を構築しているか? 学んだ教訓は? このトピックについて皆さんの体験を聞かせていただきたい。

筆者について

ジェナ・フィリップコウスキー(Jenna Filipkowski)博士は、HCIの調査責任者であり、Movement Leadership Coaching LLCの代表を務める。これまでに、コーチング、リーダーシップ開発、タレント・アクイジション、従業員エンゲージメントに関する45以上の論文を発表している。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】The Ultimate Power Couple: Professional Coaches and Change Management Professionals 
(2018年10月24日にICFのCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)


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