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あなたはこの表情からどんな感情を読み取りますか?
2019年02月15日
ニューヨーク大学の研究によると、私たちは他人の顔から感情を認識するとき、我々が本来どのように感情を理解しているのかということに影響を受けている可能性があるという。顔の表情と感情の認識は、日常的な社会生活に欠かせないものである。他人の感情をどのように認識するかによって、人間関係が決まることもある。
表情を読み取る2つの実験
研究の被験者は、「怒り」「嫌悪」「喜び」「恐れ」「悲しみ」「驚き」という6種類の感情のうち、どの感情同士が似ていると認識しているかを検証する実験に参加した。なぜこの6種類の感情かといえば、これらの感情は、昔からさまざまな文化に普遍的に見られると言われてきた感情であり、おそらく人間の生来の感情だからである。
最初の実験では、被験者は人の表情を映した一連の画像を見せられた。それぞれ6種類の感情のどれかを表現したものである。この研究では、手の動きを追跡する革新的なマウス・トラッキング技術が使用され、被験者が顔の表情の画像を見たときに、心の中のどの感情カテゴリーが活性化するかといった、無意識の認知プロセスが明らかになった。たとえば、被験者が「怒り」と「嫌悪」の感情は似ていると認識している場合、その被験者は、「怒り」と「嫌悪」の両方を表情から読み取るということが、手の動きから判明した。
別の実験では、無表情の顔にランダムなノイズパターンを重ねて作成した100種類以上の画像を使用した。ノイズパターンにより、ほほ笑んでいるように見える顔や不機嫌そうに見える顔など、さまざまな表情の顔がランダムに作成された。被験者は2種類の顔を見て、より明確な感情を読み取れるほうの顔を選択した。この選択に基づいて、各被験者が持つ6種類の表情の原型が視覚的に明らかになった。「怒り」と「嫌悪」など、似ているとみなされる表情の原型は、身体的な類似性がより高かった。
表情から感情を読み取る手掛かり
この研究の共著者の一人であるジョナサン・フリーマン(Jonathan Freeman)氏(ニューヨーク大学准教授)は次のように述べている。「研究の結果、顔の表情をどのように認識するかは、顔そのものだけでなく、私たちの感情の概念的理解に影響を受けている可能性があることがわかった。『恐れ』と『怒り』など、被験者が互いに似ていると考えている度合いが高いほど、その2種類の感情を表す表情は視覚的により類似して見える。それは、どの感情のペアにも当てはまる。私たちが他人の感情を読み取るために手掛かりとしている表情は、それぞれの感情のとらえ方の影響を受けるため、人によって少しずつ異なる可能性がある。」
筆者について
リサ・カニンガム(Lisa Cunningham)氏は、国際コーチング連盟(ICF: International Coach Federation)のソーシャルメディア・スペシャリストであり、ソーシャルメディアに関するライター、コンサルタントである。米国ペンシルバニア州ピッツバーグのチャタム大学(Chatham University)にて、ウェブコンテンツ開発に特化したプロフェッショナル・ライティングにおける修士号取得。
【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Our Perceptions could Lead to a Misinterpretation of Other's Emotions (2018年11月8日にICFのCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)
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