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影響力のあるリーダーは水面下に意識を向ける
2019年04月26日
私たちは仕事上そして私生活上、何かしら課題を抱えている。厳しい納期、予算の制約、人間関係の問題など、例をあげればきりがない。リーダーとして考えなければならないのは、「もし課題に直面したらどうするか」という問いではなく、「課題に直面したそのときに何をしたのか」という問いである。
リーダーの課題がなくなることはない。問題はそれにどう対処するかだ。
いつもストレスにどのように対応しているか
ストレスを感じる状況に直面したときのことを思い出してほしい。おそらく、次のような経験をしたことがあるだろう。
- イライラする発言や不愉快な発言をされた
- 職場の状況がエスカレートして本格的な対立に発展した
- 重要な会議での自分の貢献が無視されたように感じた
あなたはそのときどう反応しただろうか?そのときの反応は、有名な「ファイト・フライト・フリーズ(戦うか、逃げるか、固まる)」反応に近いものだったかもしれない。たとえば、次のような反応をしなかっただろうか。
- 考えることなく即座に反応し、後で悔やんだ
- 不愉快に感じた状況から急いで去った
- その場で固まってしまい、まったく対処不可能と感じた
そのような反応とは別に、体の不快感を感じなかっただろうか?次のような症状を経験したことはないだろうか?
- 動悸
- 歯の食いしばり
- 胸のつかえ
- 息の詰まり
世界で一番影響力のあるリーダーが知っていること
もっと効果的に現在の状況に対処できるような方法はないのだろうか?そうすれば、起こっている状況に対してよく考えて対応することができるだろう。実は、そのような方法は確かに存在する。
世界で一番影響力のあるリーダー達は、対応力を効果的に高めることができると知っている。反応をコントロールする能力を研ぎ澄ませば、相手にあなたのリードに従おうという気を起こさせることができるだろう。
最も役立つ方法の1つは、氷山を例に考える方法である。私たち人間は氷山に例えることができる。洋上に浮かぶ氷山は、一見、水面の上に見えている部分がすべてのように見える。氷河から崩れ落ちた大きな氷の塊がただ水の上に浮かんでいるだけだと思うかもしれない。
しかし、目に見えているものは文字どおり氷山の一角にすぎないのである。
水面下にあるものとは
水面下の見えない所で何が起きているか、あなたはじっくりと考えたことがあるだろうか?
私たちは普段、自分や他者の振る舞いや行動を観察している。しかし、目に見えるものは表面上のものだけだ。本当に起こっていること、また、人間の行動を駆り立てているものの90%は、水面下にあるのである。
氷山の例え(水面下で起きていること)を頭におきながら、望ましい方法で課題に対処できなかったときのことを思い出してみてほしい。
影響力のあるリーダーになるには、まず内面に目を向ける必要がある。
1) 「氷山の一角(見えていること)」から始める
何か不愉快なことを経験したとき、あなたはどうしたか?何と言ったか?どのような行動をとったか?まず、自分の行動が自分自身と関係者にどのように影響するかを考えてみるとよいだろう。
2) 思い切って水中に潜る
これを実行するには、徹底的に正直になる必要がある。考えたり感じたりしたが、誰にも言わなかったことはあるだろうか?どのような結果を最も恐れていたか?好かれたい、承認を得たい、周囲に溶け込みたいという欲求が、自分の行動に影響を及ぼさなかっただろうか?
3) 深くまで潜り行動に備える
自分が大事にしていることをその状況にどのように持ち込めるか、じっくりと考えよう。自分の価値観や信念が、その経験に関する認識にどのように影響を与えているだろうか?自分にとって何が最も大切なのかを、また、それをどのように活かせばより建設的な結果を生み出すことができるかを自身に問いかけてみるとよい。
「類は友を呼ぶ」や「恐怖は自分で作り出したものだ」という言葉は、耳にする機会も多いだろう。どちらの言葉にも真実が含まれている。
水面下にあるものとコンタクトする
重要なのは、建設的でない行動を変え、自分の能力を高めて部下に刺激を与えることだ。
たとえば、あなたが最も恐れていることが、「無能」という評価を受けることだとしよう。重要なプロジェクトが期日に間に合わないようなことになれば、つい感情的になり、チームリーダーに対して不機嫌な言葉を放ってしまうかもしれない。これこそあなたが最も恐れていることである。
氷山の比喩を活用することで、このような建設的でない行動を、自分が大事にしている価値観に沿った行動に変え、好ましい結果を生み出すことができる。またそうすることで、自分と部下をさらに深く理解できるだろう。
ここで、リーダーシップに関する簡単なヒントを紹介しよう。次回のミーティングで試してみてほしい。
これはすぐに試せるものだ。ミーティングを正式に始める前に、出席者全員に対して簡単な近況確認をしてみてほしい。まずは自分が話し、1人ずつ聞いていく。そうすることで、「水面下」で起きていることについて少し共有することができる。
これを行うことで、オープンで正直な会話をうながすことができるほか、同僚たちがどう感じているか、互いに理解を深めることができる。その結果はというと、ミーティングがより建設的で前向きなものになるだろう。そのような状況が作れるなら、やらない手はない。
筆者について
コリーン・スローター・ラウ(Colleen Slaughter Raue)氏は、Authentic Leadership International社のマネージング・パートナー。国際的に活躍するリーダーを対象に、変革のためのリーダーシップ・コーチングを提供している。
【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Lead with Greater Ease: Go Below the Waterline(2019年1月9日にICFのCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)
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