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優れたチームに共通する4つの特徴とは

【原文】Rethinking Leadership: Understanding the "Genius" of Your Team
優れたチームに共通する4つの特徴とは
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組織のトップの地位に昇進したリーダーの多くは、ある時期に組織を窮地から救った経験をもつ。そのようなリーダーは日常的に問題を解決し、組織に大きな価値をもたらしている。

一方で、ヒーロー的なリーダーシップにはマイナス面がある。

ヒーローのようにいつも華麗に問題を片付けていると、リーダーへの依存が生まれ、リーダーの負担が非常に大きくなる。また、チームの創造力、問題解決力、責任感、ノウハウが育たない。だが、最も優秀かつ聡明なリーダーは、組織の一員になって成果をあげようとする。ヒーローになるために働こうとは考えていない。

このような現象は、世界の一流企業でも広く見られている。最も優秀なリーダーは、自分だけでは成果を出せないことを知っている。優秀な人を雇うだけでは十分ではない。チームメンバーを互いに協力させる必要がある。つまり、チームメンバー全員の「才能」を活用しなければならない。問題は、どのようにすればそれができるかだ。

チームとは何か

まず、「チーム」とは何かを定義する必要がある。「チーム」は、ビジネスにおいて最も乱用されている言葉の1つである。働き方や仕事の内容にかかわらず、人の集まりは大抵「チーム」と呼ばれる。部門のマネージャーは直属の部下をチームと呼ぶことが多い。部門横断的なグループや係長クラスも、日常的にリーダーシップ チームととらえられることがある。

「チーム」という言葉を漠然と使うことは、従業員の集まりを「集団」「群れ」「群集」などと呼ぶことよりも良いかもしれないが、ここでいうチームとは、明確なミッションと目的を兼ね備えた集団のことを指している。そして、そのようなチームが優れたパフォーマンスを発揮すると、他にはないユニークな経験が生まれる。

軍隊やスポーツ、あるいは音楽や演劇などの芸術分野で、真のチームワークを経験した人もいるだろう。中には、幸運にもビジネスでそれを経験した人もいるかもしれない。そのような人は、真のチームワークがどれだけ記憶に残り、強力であるかを知っている。優れたチームワークはほとんどあらゆる経験に勝るものであり、個人の力をはるかに上回るものだ。人が優れたチームについて語るとき、そのチームは生き生きと描写され、チームに対するエネルギーや懐かしむ気持ちがはっきりと見て取れる。

優れたチームの定義を見直す

私たちは過去20年にわたり、フォーチュン 500社の約20%をクライアントに持つという実績を活かして、優れたパフォーマンスを発揮するチームに関する調査を開始した。その結果、リーダーは個人で実績を出して昇進することはできても、優れたチームの力を十分に理解して評価しない限り、成功を積み重ねてさらに成長することはできない、という結論に達した。

この調査で明らかになった、優れたチームの具体的な定義は次のとおりである。

「優れたパフォーマンスを発揮するチームは、メンバーの才能を解き放ち、協力して非凡な成果を生み出す。」

この定義には、非凡なパフォーマンスを発揮するチームに特徴的に見られる働き方や働く理由が盛り込まれている。この定義を使い、そのようなチームの4つの重要な特徴を説明しよう。

1. 解き放つ

「優れたパフォーマンスを発揮するチームは、メンバーの才能を『解き放ち』、協力して非凡な成果を生み出す。」

優秀なチームは、メンバーの努力を支える環境や信頼の文化を生み出す。どのメンバーも、共通した高い目標をもって自分の仕事しているため、他のメンバーに自分の行動が誤解されないかと心配する必要がない。また、各自の専門性を活かし、より大きな利益を実現することを通じてお互いを信頼し合っている。

信頼の基盤は自主性とアカウンタビリティである。メンバーはお互いをパートナーとして信頼し、率先して組織にとって良い行動を行う。それは、どのメンバーも、自分と他のメンバーに対して、約束を果たし、率直さ、公平さかつ透明性を持って行動することに対してアカウンタブルであることを体現している。このような自由な環境が、より大きな利益を目指して自主的に努力しようという強いモチベーションをメンバーに与える。

2. メンバーの才能

「優れたパフォーマンスを発揮するチームは、『メンバーの才能』を解き放ち、協力して非凡な成果を生み出す。」

メンバーの多様性がチームの成果向上に貢献することは、多くの研究で確認されている。ただし、非常に高い成果を生み出すには、多様性だけでは足りない。優れたパフォーマンスを発揮するチームは、多様性を受け入れて「帰属意識」を育てること以上のことをしている。

違いを容認したり、共通点を認めたりするだけでは不十分だ。優れたチームでは、各メンバーが違っていることこそが価値なのである。各メンバーのユニークなスキル、視点、経験、専門性を、さまざまな形で動的に組み合わせることで、知見を獲得したり、革新を実現したり、機敏に実行したりするチャンスをたくさん生み出している。

3. 非凡な成果を生み出す

「優れたパフォーマンスを発揮するチームは、メンバーの才能を解き放ち、協力して『非凡な成果を生み出す』。」

チームとは、メンバーの総和ではなく、メンバーの相乗効果の総和である。チームの価値は各メンバーが積み重ねた成果だけで決まるのではない。それぞれの仕事が組み合わさることで、チームの価値は飛躍的に増加する。4人のチームであれば、2人、3人、または4人全員といった多様なコンビネーションの力を利用できる。それぞれの能力がさまざまな形で組み合わさることで、個人の力をはるかに上回る成果が生まれる。

また、優れたパフォーマンスを発揮するチームは、自分たちの活動が利害関係者や自分たちの社内での立場に意図的・非意図的にどのような影響を及ぼすのかを常に考慮している。チームの境界は、チームの活動の影響を受ける人々と効果的にコミュニケーションを取れるように流動的になっている。そのようなコミュニケーションをとるのには、もう1つ意図がある。それは、積極的に外部の意見やアイディアを募り、革新のきっかけとなる新しい視点を取り入れるためだ。

このようなチームは、ジレンマに直面しても、最低レベルの条件に満足したり、「比較的まし」な選択肢で妥協したりしない。その代わりに、別の視点を受け入れることで、幅広い戦略的視点で物事をとらえて、相反するニーズの板挟みを解消する優れた方法を見つけることができる。つまり、「どちらか一方」ではなく、「両方」を解決するのである。さらに、そのようなチームは将来を非常に意識しているため、長期的な戦略的展望を策定し、ジレンマの解消を促したり、戦略実施上の課題に直面したときに求められる柔軟な対応力を高めることができる。

4. 協力する

「優れたパフォーマンスを発揮するチームは、メンバーの才能を解き放ち、『協力して』非凡な成果を生み出す。」

優秀なチームのもう1つの特徴は、意見の対立を享受し、それを促そうとすることである。彼らは対立を育てる傾向がある。なぜなら、協力する努力をしていないチームには、意見の対立は起こらないと考えるからだ。まったく異なるアイディアが豊富にあるからこそ、優秀なチームは非凡な成果を挙げることができる。チームで協力すれば、問題の解決、意思決定、建設的な論争をどのように行うか、ルールを決めることができる。平凡なチームは和を保つために意見の対立を抑えるのに対して、優秀なチームは自分たちが築いてきた信頼を活かして、意見の違う相手と安心して議論できる環境を用意している。


チームのパフォーマンスが高いと、どれだけの違いが生じるのだろうか?チーム行動に関する研究を独自に実施したところ、チーム行動の頻度・一貫性とチームの有効性・生産性との間に直接的な関係があることがわかった。この研究では、リーダーシップ・チーム・パフォーマンス・インデックス(Leadership Team Performance Index Assessment - LTPITM)評価を用いて、90種類のハイ・パフォーマンス・チームの行動を調べた。その結果、数種類の行動を身に着けるだけで、パフォーマンスに大きな影響が即座に生じることを発見した。多くの行動を身に着ければ、得られる利益もそれだけ大きくなる。

優れたパフォーマンスを妨げている課題を解決する

優れたチームのリーダーやメンバーになることは、キャリアのアピールポイントの一つになる。それはあまり難しいことではない。優れたパフォーマンスを発揮するチームを作るために、以下のことを実行することをお勧めする。

  • 「メンバーの才能を解き放ち、協力して非凡な成果を生み出す」をモットーにチームをリードする。そうすることで、他のチームと差をつけることができる。
  • チームのパフォーマンスを高めるチームワークがどのようなものかを理解したうえで、チームに足りないものと強みを評価する。
  • 優れたチームワークはごくまれにしか生まれないものという考え方をやめる。パフォーマンスの期待値を高く設定し、ただメンバーとうまく付き合うだけでなく、ともに目標を実現できるようチームを励ます。

優れたパフォーマンスを発揮するチームが示す90種類の行動と、それを裏付ける研究については、このレポートで詳しく見ることができる。

【筆者について】

アンドリュー・アトキンズ(Andrew Atkins)氏は、ベイツ・コミュニケーションズの研究・開発部門のSVPとして、クライアントの価値を高める革新的なソリューションを設計している。バンク・オブ・アメリカ、フィデリティ・インベストメンツ、アーサー・D・リトルなどの幹部を歴任しており、フォーチュン、フォーブスなどの米国主要ビジネス誌、主要紙へのコメント掲載も多数。

【原文】Rethinking Leadership: Understanding the "Genius" of Your Team(2018年12月4日にBatesのResearch and Resourcesに掲載された記事の翻訳。Bates Communications Inc.の許可を得て翻訳・掲載しています。)

Article translated with permission of © Bates Communications 2019


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