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リーダーシップとマネジメントの違いとは
2019年11月15日
リーダーシップとマネジメントの違いについては長い間議論が交わされてきた。一部の研究者は明確に分けて考えてはいない。彼らによれば、今の時代に求められるのは、日々の業務に直接深く関わるリーダーである。
リーダーシップとマネジメントの境界線はあるのか
MIT スローン・マネジメント・レビューで今週掲載している(Re) Learn to Lead シリーズの筆者である、ハーバード・ビジネススクール教授、ボリス・グロイスバーグ(Boris Groysberg)氏と共同執筆者、トリシア・グレッグ(Tricia Gregg)氏のコラムでは、その点を強調している。彼らの分析によると、明確なビジョンを持ったテクノロジー企業のCEOとは、従業員と共に進化していく人物のことである。そのようなリーダーにとって、行動すること、観ること、導くことを別々の役割ではなく、それらの間に境目がないものと捉えていると、グロイスバーグ氏とグレッグ氏は述べている。
一方で、セス・ゴーディン(Seth Godin)氏など、リーダーシップとマネジメントを異なる役割と捉えている研究者もいる。ゴーディン氏は、自身のコラムの中で、人と人とのつながりを通じることで真価を発揮する革新的なものがリーダーシップであると捉え、データに基づく手法とリアルタイムの監視によって、絶え間ない成長を担っていくのがマネジメントであるとしている。産業革命後の世界においては、後者より前者の役割が求められるとゴーディン氏は説いている。
裁量を与えることと統制の両立
従業員の一挙一動を監視したり、指示したりしなくても、マネジメントすることは可能である。ホイットニー・ジョンソン(Whitney Johnson)氏は、遠隔地にいるチームのマネジメント関する自身の記事で、プロジェクト・マネジメントやコラボレーションのツールを使用することで、従業員が目標に向かって順調に進んでいるかどうかを可視化することができると説明している。また、従業員が自身で問題を解決する機会を与えることの大切さも説き、これによってより深く、より本質的なレベルでに従業員のやる気を高めることが可能としている。
MITの教授であるデボラ・アンコーナ(Deborah Ancona)氏は、絶え間なく変化する社会にすぐに対応できるよう従業員個人やチームに相当の裁量を与え、本質を見極める力をつけさせる必要性を再認識させている。ほとんどのリーダーはこのことを理屈ではわかっていても、実際、統制を緩めることには不安を感じている。アンコーナ氏によれば、たとえリーダーがたづなを緩めたとしても、リーダーたるところやリーダーとして自身が大切にしていることを明確に述べながら、従業員を協調的で生産的な方法で動かし続け、その結果、創造的な思考を働かせることができる。裁量を与えることと統制の両立は可能なのである。
組織の聖域に挑む
組織の中ですでに実証された確実なものを手放すことは心もとなく、不安を引き起こすこともある。だが、それ以外に前進する方法はないときもある。そうした考えから、ロンドン・ビジネス・スクールの教授、ハーミニア・イバーラ(Herminia Ibarra)氏は、リーダーは組織にとって最も象徴的な業務慣行を排除するか、少なくても大幅な見直しをすべきであると主張する。
この業務慣行とは、「組織文化を理解し、それを守る番人(キーパー)となることが、信頼をおける良い従業員であると見なされる」という組織に強固に根付いた固定化された慣行のことである。
このような聖域に挑むことによってのみ、リーダーは真の変革に成功することができる。
ぜひ、(Re)Learn to Lead シリーズを読んでみて欲しい。楽しんでいただけるはずだ。
筆者について
リサ・ブレール(Lisa Burrell)氏はMITスローン・マネジメント・レビューの論説員。
【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】What Does It Mean to Lead?
(2019年11月1日に『MITスローン・マネジメント・レビュー』に掲載された記事の翻訳。同機関の許可を得て翻訳・掲載しています。)
Used with permission from MIT Sloan Management Review. All rights reserved.
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