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ニューエコノミーで求められるリーダーのマインドセットとは

【原文】Leadership Mindsets for the New Economy
ニューエコノミーで求められるリーダーのマインドセットとは
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成功を収めている企業は、新しいマインドセットを持つリーダーコミュニティの育成に意欲的である。

組織は、その存在意義や「リーダーシップとは何であるか」について根本的に考え直す必要がある。これは、一人の人のことではないし、上層部の人たちだけのことでもない。今日の社会では、誰もがリーダーシップ・マインドセットを身につける必要がある。つまり、自分自身をリーダーシップ・コミュニティの一員と考えなければならない。

ネットフリックス(Netflix)社、元最高人事責任者
パティ・マッコード(Patty McCord)氏

組織文化は簡単に変えられないが、マインドセットは変えられる

皆さんは自社の文化を変えることができるだろうか。自社の文化をよくわかっている人か、CEOなどの経営幹部であれば、おそらくそれは可能だろう。

では、別の質問をしよう。チーム、プロジェクトメンバー、あるいは部門が他者と社内外で協力して働く際に、基本姿勢やマインドセットを変えることができるだろうか。この場合、答えは言うまでもなく「できる」であろう。

過去7年間、私はMITスローン経営大学院の経営者教育の講義で、世界中の何千人もの管理職やリーダーにこの2つの質問をしてきた。最初の質問では、最高幹部がいるグループでさえも手を挙げる人がほとんどいなかった。だが、組織の基本姿勢やマインドセットを変えることができるかについての問いに対しては、自分たちの権限の範疇だと感じたのか、ほとんど全員が手を挙げた。

新しいマインドセットを身につけるようリーダーに求めることで、企業文化の変革を図ってはどうだろうか。この新しいマインドセットは、多くの人がなかなか到達できないと思うような目標の達成に向けて、具体的な進歩を示すことができるものである。それは実際に行ってみるとどんな感じだろうか。

あなたは、創業170年になる銀行の小売り部門のリーダーであると想像して欲しい。その銀行には、リスクを非常に嫌う文化が根づいている。次の文は、実話をもとにしているが、あなたがいかに自分のリーダーシップを新しいマインドセットに順応させられるかについて説明している。

弊社は今、新規参入の競合他社に仕事を奪われようとしている。顧客からは弊社は対応が遅いし、独創性に欠けると思われている。私たちは、もっと、もっとできるはずだ。もし私が皆さんの行動を制限しているのなら、原因は私にある。皆さんにはリーダーシップチームの私たちが経営方法を変えるために何ができるかを言って欲しい。

まずは、顧客対応を見直すことから始めよう。弊社の長期的企業目的の中核をなすのは顧客価値を高めることである。そのミッションに立ち返ろう。今年は、小売り事業の各業務において顧客の課題を一緒に解決するための新しく、独創的な方策を考える。うまくいかなかった試みに対する責任のなすり合いや、皆さんに悪影響を及ぼすことはないと約束する。そして、学んだこと、失敗や成功はまず、リテール部門全体で、その後、銀行全体で共有する。皆さんの力を貸していただきたい。協力して取り組めば成し遂げることができるだろう。

この発言は、ニューエコノミーを牽引するリーダーシップ・マインドセットを具体化している。リーダーシップ・マインドセットのなかで、リーダーは、リーダーコミュニティの一員として、確信をもって顧客のために考えて行動し、目的主導であり、高度にネットワークに繋がり、好奇心に突き動かされて行動するのである。

多くのリーダーが感じる新しいマインドセットの重要性

この1年間、私はコグニザント(Cognizant)社と組んでMITスローン・マネジメント・レビューの共同研究プロジェクトである「デジタル・エコノミーにおける将来のリーダーシップ」において、客員編集者を務めている。私たちは、120か国以上の4,000人を超える管理職や経営幹部を対象にアンケート調査を実施し、そのうち、何十人もの最高経営幹部にインタビュー調査を行った。その調査の目的は、目まぐるしく変化する世界と変化の激しい労働環境が、「優れたリーダーの定義」に及ぼす影響を把握するためである。

この継続的研究から得た最も驚くべき調査結果の1つは、アンケートの回答者もインタビューを受けた幹部も、彼らのリーダーにはニューエコノミーにおいてリーダーシップを発揮するために必要な戦略的・文化的変革を推進するためのマインドセットが不足していると感じていることである。事実調査結果では、12%の回答者のみが自分の組織のリーダーは組織を変革する覚悟が必要であることに強く同意している。面白いことに、インタビューを受けた人のなかで、大きな文化的変革の必要性を語った人はほとんどいなかった。おそらく、上記の例で述べたのと同様の理由からだと考えられる。

大規模な組織の文化的変革に関わることは、ほとんどの従業員にとって業務の範疇を超えていると受け取られている。しかし、アンケート回答者、インタビューを受けた幹部のほぼすべてが新しいマインドセットと行動を身につける重要性、そしてこのマインドセットと行動を新しいリーダーシップのあり方として強化し、定着させる方法を考え出す重要性を強調した。ところで、リーダーが身につけるべき新しいマインドセットとは何だろう。

「ニューエコノミー」を牽引する4つのリーダーシップ・マインドセット

マインドセットとは組織での人の行動を定め、導くメンタルマップである。マインドセットは、仕事のやり方やその人のあり方に反映される。では、アンケート回答者とインタビューを受けた人が、デジタル・エコノミーで成功するために不可欠であると思ったリーダーシップ・マインドセットとは何だろうか。調査データを分析し、インタビュー結果の感情分析とヒートマップ分析を行ったあと、4つの分野のリーダーシップ・マインドセットを特定した。それは、プロデューサー、投資家、人と人を繋げる人(コネクター)、探検家の4つである。

1. プロデューサー

プロデューサーのマインドセットには、顧客価値創出へのこだわりと、分析、デジタル知識、実施、結果を重視する姿勢が現れる。プロデューサーは、分析を行って、顧客の好みの変化に対応し、顧客とユーザのエクスペリエンスを改善するイノベーションを加速する。

ハブスポット(HubSpot)社の共同創業者兼CEOであるブライアン・ハリガン(Brian Halligan)氏は、プロデューサーのマインドセットを次のように説明している。

MITスローンのビジネススクールに通っていたころ、競合他社より10倍優れた製品を作ることが一般通念だった。当時はそれが理にかなっていた。しかし今日では、顧客のエクスペリエンスを競合他社より10倍高めることが新しい通念となっている。企業は、顧客との接点(タッチポイント)をすべて調査して、すべての顧客を満足させる方法を運用する必要がある。

2. 投資家

投資家のマインドセットを持つリーダーは、株主利益の拡大以上に組織の目的を追求する。彼らは持続可能な方法で企業の成長に尽力する。また、事業を営む地域社会や、従業員の幸福や継続的育成を重視する。顧客を収益源とみなすのではなく、顧客価値の向上に投資する。

アメリカン・エキスプレス(American Express)社グローバル・コマーシャル・サービス部門の元CEO兼プレジデントであるスーザン・ソボット(Susan Sobbott)氏は、投資家のマインドセットを持つ意義を次のように説明している。

組織の目標について話す際に苦労することの1つは、目的、原則、利益のバランスを取ることだった。ある会社の方針に従って15%の成長率と20%のコスト削減を達成する目標について説明していた。
正直なところ、私は、この目標に対してどうも意欲がわかなかった。そこで、チームとして力を合わせることで、私たちがどうやって何百万人もの顧客の生活を変え、その顧客がどうやってコミュニティや経済を変えることができるかについて話し始めた。それは、やる気にスイッチを入れるようなものだった。さらに、チームでより高い目的を掲げることで、チーム全体のモチベーションとチームワークがアップした。この目的によって数値目標を達成できた。成長率は目標として掲げるものというよりは『結果』である。

3. 人と人を繋げる人(コネクター)

コネクターのマインドセットを持っているリーダーは、ニューエコノミーにおいて組織活動の有効性を高めるための鍵は、人間関係と人脈を築くことであると認識している。従って、コネクターはどうやってそれを実現するかを重視する。彼らは社内やエコシステムパートナーのさまざまなステークホルダーが、一堂に会する機会を定期的に設けている。人的つながりが簡単に切れてしまい、猛烈なスピードで進化する社会では、コミュニティ意識や相互信頼を育てる能力がとても重要だと、コネクターは理解している。

JPモルガンチェース社のグローバル最高情報責任者(CIO)であるロリ・ビアー(Lori Beer)氏は、コネクターのマインドセットを身につけることの重要性を次のように説明している。

実業界は、バーチャル化し、ビジネスモデルがデジタル化するにつれて、持続可能な成功を決定づけるものが、企業のアルゴリズムの力から、私たちが作る人間関係へと変わりつつある。

4. 探検家

探検家のマインドセットを持つリーダーは、好奇心旺盛で、独創的である。また、不透明な状況でも、うまく機能できる。彼らはたゆみない研究を重ね、多様な意見に耳を傾けることで学習する。探検家のマインドセットはその行動基準によく表れている。たとえば、リスクを冒すことや失敗を容認し、ときには奨励することもあるほか、リバースメンタリング*を行ったり、新しい力が競争環境をどのように形成するかについて強い関心を示したりする。

*リバースメンタリング:企業の役員層などが、テクノロジーなどの新しい分野について若手社員から手ほどきを受けること。

リンクトイン(LinkedIn)社のグローバルソリューションズ部門バイスプレジデントであるダン・シェイペロウ(Dan Shapero)氏は、探検家のマインドセットを持つ意義を次のように説明している。

好奇心はどこから湧き出るのかわからない。もしそれをビンに詰められるものなら、ぜひ手に入れたいくらいだ。目まぐるしい変化が起こっているとき、世界中で起こっていることをよく知ろうと日々努めている人がチームにいることはとても重要だ。

ニューエコノミーで、以上のような新しいマインドセットをもって基本姿勢を作り出しているリーダーは、効果的なリーダーシップとは何かを見直すことを示唆している。このようなリーダーは、ヒーローとしてのリーダーのイメージに固執せず、むしろすばらしいリーダーのコミュニティを築くことに関心がある。つまり、有能なリーダーシップを集合させることが今日のペースの速い世界で競争優位を確立することに確実につながると彼らは強調している。

筆者について

ダグラス・A. レディ(Douglas A. Ready)氏は、MITスローン経営大学院における組織論の上級講師であり、国際エグゼクティブ開発研究協会(ICEDR)の創設者兼CEO、そして、『MITスローン・マネジメント・レビュー』の客員編集者を務める。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Leadership Mindsets for the New Economy 
(2019年11月6日に『MITスローン・マネジメント・レビュー』に掲載された記事の翻訳。同機関の許可を得て翻訳・掲載しています。)
Used with permission from MIT Sloan Management Review. All rights reserved.


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