Global Coaching Watch

Global Coaching Watch では、海外コーチのブログ記事の翻訳を中心に、世界のコーチング業界のトレンドやトピックスをお届けします。


結果ではなく、結果を生むプロセスを重視する

【原文】Don’t focus on the result. Focus on the process that creates the result.
結果ではなく、結果を生むプロセスを重視する
メールで送る リンクをコピー
コピーしました コピーに失敗しました

古い格言に「地獄に続く道でさえ立派な意図によって舗装されている」というものがある。この格言が生まれた背景には、目標を設定しても、それを達成できない人が多いという事実がある。つまり、立派な意図を持っていても、その想いを行動に移さなければ、効果が出ないのである。

達成率の上がる目標の立て方については、数多くの文献で提案されている。たとえば、目標を書き留めたり、誰かに目標を話したり、目標設定のSMARTモデル:具体的であること(Specific)、測定可能であること(Measurable)、達成可能であること(Achievable)、成果に基づいていること(Result-based)、時間を意識していること(Time-oriented)の実行などが挙げられる。確かにこれらは良い案だ。しかし、最適な形で設定した目標でさえ、達成できない場合が多い。

プロセスに焦点を当てることでチームを優勝に導く

元NFL(アメリカのプロフットボールリーグ)コーチのビル・ウォルシュ(Bill Walsh)氏は、著書『The Score Takes Care of Itself: My Philosophy of Leadership(スコアは後からついてくる:私のリーダーシップ哲学)』の中で、「サンフランシスコ・フォーティナイナーズ」のヘッドコーチに就任したときのことを書いている。フォーティナイナーズは1979年のシーズンで2勝14敗という成績に終わった。

ウォルシュ氏は、試合に勝つことや優勝することを目標とせずに、毎試合ごとに改善を積み重ね、すべてのプレーヤーが大きなアカウンタビリティを持ち、精度の高いプレーができるようになることを重視した。さらに彼は、全てのポジションにおいて細かな動きを厳しく追求し、クオーターバックがインチ単位の正確さでパスルートの目的地にボールを投げられるように、後退(ドロップバック)する歩数にも精度を求めた。

目標ではなくプロセスの向上に焦点を当てることで、結果的にフォーティナイナーズのスコアはおのずと改善した。チームは1981年、1984年、1988年にスーパーボウルで優勝し、ウォルシュ氏は「最高のコーチ」として認められた。

目標を忘れないための小さな手がかり

生産性の専門家であるジェームス・クリア(James Clear)氏も最近のインタビューで、目標ではなくプロセスに注目すべきだと述べている。クリア氏はプロセス、システム、習慣に焦点をあてることが、成功への最善の道であることを示唆している。

目標がもたらす最大のメリットは方向性が定まることだ。明確な方向性が決まったら、ほとんどすべてのエネルギーをシステムとプロセスに集中させるべきだ。

ジェームズ・クリアー

人間は習慣的な生き物であり、気が散りやすい。目標を見失いやすいため、必要な行動やステップを明確に定め、身の回りにポジティブな行動のきっかけや手がかりを用意しておくことが非常に重要だ。クリア氏は次のような簡単な例を挙げている。たとえば、果物を食べる量を増やすことを目標としていたときに、果物を冷蔵庫の野菜室の中ではなく、カウンターの上のボウルに入れて見えるようにしておくだけで、この目標を達成できたという。

進捗を把握するためのマイルストーン

目標を達成するためには、進捗も非常に重要だ。目標達成までが遠く、進捗の把握が難しいと、やる気を失いやすい。成功を収めている人は、最終目標を小さな目標(マイルストーン)に分解し、達成に向けた測定可能な進捗のステップを明確に定めている。

The Progress Principle(進捗の原則)』の著者でハーバード大学教授のテレサ・アマビール(Teresa Amabile)氏は、進捗を把握できると、ポジティブな感情、強いモチベーション、職場での高いエンゲージメントが生まれると述べている。

目標を確実に達成するための4つのポイント

目標や意図を持つことは素晴らしいが、それはほんの始まりに過ぎない。リーダーが成功するためには、以下を実行する必要がある。

  1. 目標設定は成功に向けたはじめの一歩にすぎないことを認識する。
  2. 目標は卓越した行動に結びついている必要がある。また、目標は習慣になるまで繰り返し実行しなければならない。
  3. 身の回りに目標達成にむけた手がかりをできる限り用意し、行動の助けとする。
  4. 最終的な成果に向けて、定量化できる小さなステップを明確に定める。

あなたのエネルギーをシステムとプロセスに集中させるには、何を変えたらよいだろうか。ぜひ考えてみてほしい。

筆者について

ティム・オコナー(Tim O'Connor)氏は、カナダにあるリザルツ(Results)社のCEO兼パートナー。組織および個人がより効果的に生産性を高めることに30年以上の経験を持ち、Canadian Pacific Railway、Nexenなどのカナダの有名企業向けに、生産性、販売、交渉スキルを提供する企業トレーニング会社を経営後、現在にいたる。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Don’t focus on the result. Focus on the process that creates the result.
ResultsExecution Insightsに掲載された記事の翻訳。Resultsの許可を得て翻訳・掲載しています。)


この記事を周りの方へシェアしませんか?

この記事はあなたにとって役に立ちましたか?
ぜひ読んだ感想を教えてください。

投票結果をみる

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

目標設定/目標達成

コーチング・プログラム説明会 詳細・お申し込みはこちら
メールマガジン

関連記事