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忙殺から脱出するためには

【原文】Overcoming Executive Overwhelm
忙殺から脱出するためには
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Language: English

急速に変化する今日の世界では、リーダーは難しい状況に毎日のように対処しなければならない。成功するビジネスを作り出し、成長を続けるリーダーシップチームを管理するだけでなく、多くの意思決定を下して絶えず発生する問題に対応する一方で、自分の生活を維持して家族を支える必要もある。このような状況ではあまりの忙しさにまいってしまう。物事は目がくらむような速さで進み、解決策などほとんどないように思える。

だが、忙殺されないようにする方法はあるし、忙殺状態から抜け出す方法もある。以下で紹介する方法は当たり前のことのように見えるが、よく見過ごされているものだ。時間をかけてこれらを実行することで、驚くほどの効果が得られるだろう。

忙殺されないための3つのコツ

1. 優先事項を明確に定める

「優先事項(Priority)」という言葉は、「最初」や「主要(プライマリ)」を意味するラテン語が語源で、もともとは単数形しかない言葉だった。複数の優先事項という概念はありえなかった。私たちは知らないうちに、あらゆることを急務にしてしまっている。

だが、すべてのことが優先事項であるわけではないし、またそうすべきでもない。

ビジネスの優先事項、つまり目的を意識するように考え方を変えると、物事がうまくいくようになる。ビジネスが成長し、チームの動きが円滑になり、ワークライフバランスを管理しやすくなる。

最近、あるクライアントにこの手法を試してもらったところ、素晴らしい成果が得られた。彼は少数の重要な顧客に人材を集中的につぎ込み、「学習と称賛」の文化を育成すると宣言した。この目標のおかげで話し合いが盛んになり、失敗から新しいアイディアが生まれるようになった。また、従業員は互いの士気の向上を優先事項に設定した。会社の利益は2桁増え、従業員は自分の仕事に満足しているという。

普段の業務を遂行する中で、「今取り組んでいること、次に取り組むこと、今日中に完了することの中で、最も優先すべきことは何か」と絶えず考えるようにしたらどうなるか想像してみてほしい。自分の才能を信じて一つの目標に集中したら、どのような結果になるだろうか?これには練習が必要だが、複数の優先事項を管理する不安を大幅に軽減し、多くの時間を節約できる。やらない手はない。

2. 効率的に権限委譲する

あなたのチームがどれほど優秀でも、メンバーが目標の達成に向けて効果的に仕事をするには、リーダーであるあなたが彼らに裁量を与える必要がある。これは当たり前のことだが、仕事を人にうまく任せることで、信頼をより築き、コミュニケーション能力を育て、自信をつけさせることができる。

権限委譲は、仕事を押し付けることとは違う。それは一つのスキルであり、重要なメンタリング手法である。このスキルの習得には、さまざまな側面と利点がある。おそらく、最も価値があるのは、リーダーシップの開発だろう。

  • 権限委譲は、多くのタスクやプロジェクトを進める際に役立つタイムマネジメントの1つであり、リーダーの負担の軽減につながる。
  • 効率的に権限委譲することで、チームの強みとアイディアを活用して顧客にサービスを提供し、市場シェアを拡大することができる。それと同時に、メンバーに課題を課して成長をうながすことができる。
  • 人に任せることで、細かいことに時間を取られることなく、文化、戦略、イノベーションといったより包括的な事項を管理できるようになる。
  • 最も重要なことは、知恵と忍耐力をもって権限委譲のお手本を示すことである。つまり、あなたが育成するリーダーが他のリーダーを育成できるようになることだ。これが繰り返し行われることは、ビジネスの拡大と成長に欠かせない。

効果的な権限委譲ができるようになるには、実践を続け、見直し、改善が必要だが、それはすべての人に役立つ。やらない手はない。もっと人に仕事を任せよう。

3. 立ち止まり、休憩し、深呼吸する

仕事から一旦離れることは、非生産的なことのように見えるが、それはリーダーの忙殺を解消する最も効率的で効果的な方法だ。毎日ひたすら進み続けるだけでなく、休憩も必要である。

忙しい仕事からしばし離れてみることは必要である。そうすることで、一歩下がって物事を客観的に見ることができるからだ。複数の研究によると、休憩を取ることは生産性や創造性(イノベーション)を維持し、我々の経済力を保つうえできわめて重要であるという。休憩を取らなかった場合に生じるコストのほうが、休憩を取った場合に生じるコストよりも大きい。また、休憩を取ることで、仕事、健康、私生活のバランスを保つこともできる。

やり方は人によって違う。毎日の運動で活力と(脳内麻薬とも言われる神経伝達物質の)エンドルフィン(endorphin)を増やす人もいれば、静かで快適な場所で数分間過ごす人もいる。散歩、読書、パズル、瞑想なども、数分でリセットすることができる方法だ。

私自身は、午前中に10分の休憩を取りパズルの「数独」をする、そして、昼食後に深い瞑想をして、夕方に短い散歩をして軽食を取るようにしている。結果として、新鮮な気持ちで仕事に取り組めるようになり、生産性が上がったと確信している。

やらない手はない。今この記事を読んでいるあなたがしている「読書休憩」をうまく活かしてみよう。

忙しさに忙殺されてしまうことは思考停止の原因にもなる。色々な要求が積み重なると、それに圧倒されてますます忙しくなる。それを解決するには行動しかない。だから、この言葉を3回も言ったのだ。

やらない手はない。

今から何をしますか?

筆者について

ジョナサン・フラックス(Jonathan Flaks)氏は国際コーチング連盟(ICF)のマスター認定コーチ資格保持者で、20年以上にわたるエグゼクティブコーチの経験をもつ。コーチ・エィのエグゼクティブコーチでもあり、ワークライフバランスを維持したリーダーシップ開発やキャリア形成に重点を置く。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Overcoming Executive Overwhelm
(2019年10月15日にコーチ・エィのE-Newsletter(英語版メールマガジン)に掲載された記事の翻訳。筆者の許可を得て翻訳・掲載しています。)


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