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リーダーシップの盲点、感情をコントロールするには

【原文】Master Your Demons: Uncovering Leadership Blind Spots
リーダーシップの盲点、感情をコントロールするには
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リーダーを相手にしたアドバイスやコーチングを行う過程では、時にイライラしたり、とても腹立たしく、ストレスの多い状況を乗り越えなければならない。その状況は、きわめてコミットメント高く、熱意をもって仕事を進めるエグゼクティブをも混乱させ、彼らが情熱を傾ける仕事においてさえ、自身のエネルギーと集中力を維持しにくくさせる。たとえば、日々の業務に忙殺されていたり、ビジョンについていけないチームと対立していたり、より大きな舞台に進むことを恐れていたりするなど、彼らはさまざまな状況に直面している。このような感情的になりやすい状況は、リーダーの指揮能力を低下させるおそれがある。

ジェリー・コロンナ(Jerry Colonna)氏が最近上梓した『Reboot: Leadership and the Art of Growing Up(リブート:リーダーシップと成長の技術)』という本に触発されて、私はクライアントに同氏の代名詞的な質問の一つを尋ね始めた。それは、「あなたは、どのようにこの状況を作りだしているのですか」という質問である。この質問をすると、クライアントは必ず一呼吸おく。おそらく「私が作りだしているだって?」と考えているのだろう。しかし、優れたリーダーは、自分がその苛立たしい状況を助長してしまっていないかどうかを、自ら深く掘り下げて考えることができる。

ブラインドスポット(盲点)

多くの人がそうであるように、リーダーは困難な状況に直面するとさまざまな感情的反応を示す。たとえば、失敗への恐れ、完璧主義の態度、羞恥心、対立回避、他人を喜ばせたいという願望などである。こうした反応は、多くの場合、子ども時代から未解決のままそのまま持ち越されたものであることが多い。

たとえば、クライアントに「いつ頃から対立を回避するようになったのですか」という質問をすることで、クライアントは、このような感情が、自分の役に立たないにもかかわらず、今でも自分の行動に影響を及ぼしていることを認識できる。コロンナ氏の理論では、子ども時代からのネガティブで認識されていない感情が、時に、最も悪影響を及ぼす形で、リーダーシップに現れるという。

私たちの研究でも、リーダーが建設的な対立の機会を作り出せないと、チームの革新力が制限されるということがわかっている。また、完璧主義者でマイクロマネジメントをやめられないリーダーは、組織の成長をリードするために必要な信頼を築くことはできないのである。

さらに、このような感情は多くの場合リーダーの影響力を低下させる。たとえば、対立を回避しようとするリーダーは、自分が方向性を完全に把握していない経営会議では発言を控えてしまいがちである。そのため、会議の場に真の価値をもたらすことができず、これまでの実践知を発揮することもできないのである。

 感情という悪魔を掌握する

私たちは皆、感情をあらわにせずに過ごしている。感情が現れる時は、リーダーシップにネガティブに作用するか、チームメンバーにぶつけられるかのどちらかである(この点についてはコロンナ氏の著書で詳しく説明されている)。自分が抱いている感情を明らかにするには、率直な質問が必要であり、ほとんどの人はそれを自分自身で行うことができない。そのようなときにこそ、優れたコーチの協力が大きな価値を発揮する。

 感情が明らかになったら、チームに負担をかけたり、キャリア形成の足かせとならないように、それに対処する必要がある。以下に3つのヒントを紹介しよう。

感情をコントロールするための3つのヒント

  1. 他人の感情に反応しない
    同僚や管理職、または、チームメンバーと関わっていると、相手の強い感情に反応すると自分も感情的になりやすい。自分が誰に反応する傾向があるか、どのような状況で他人の感情に引きずられる傾向があるかを認識しておくとよいだろう。

  2. 感情に対処する
    感情はエネルギーである。隠し続けると感情は強くなり、都合の悪いときに爆発してしまうことが多い。感情が昂ぶり、エネルギーを発散させたいと思ったら、何回か深呼吸することをおすすめする。

  3. 自分に寛容になる
    これらの感情は根深いものであるため、対処するのは容易ではなく、新しい習慣を身につけるのには時間がかかる。そのため、自分に寛容になることが重要だ。これらの対処法を実践する日があってもよいし、すっかり忘れる日があってもよい。ただ、実践するほど、即座に適切な対応をする習慣が身につき、昔のやり方は徐々に忘れていくだろう。

もちろん、感情を理解してそれに対処することは、始まりにすぎない。感情という悪魔を完全に掌握するには、普通は半年から1年以上はかかる。しかし、その認識こそが重要な最初のステップであり、それを自覚することなく自らを変えることはできない。次に困難な状況に直面したときには、自分がその状況にどう影響を及ぼしているかを自問し、それがあなたをどこに導くかを考えてみるとよいだろう。

【筆者について】

ジャクリーン・ブロドニツキ(Jacqueline Brodnitzki)氏は、Leadership Coachingのディレクターとして、経営層を対象に事業展開の加速化をサポートしている。前職はエグゼクティブ・コーチングとコンサルタントを提供する Conscious Successの代表取締役。『Conscious Success: The 5 Step Process To Dissolve Stress, Increase Productivity and Find Your Flow At Work』の著者。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Master Your Demons: Uncovering Leadership Blind Spots
(2019年9月13日にBatesのResearch and Resourcesに掲載された記事の翻訳。Bates Communications Inc.の許可を得て翻訳・掲載しています。)
Article translated with permission of © Bates Communications 2019


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