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優れたコーチングの指針、国際コーチング連盟の新コア・コンピテンシー
2020年01月24日
国際コーチング連盟の新しいコア・コンピテンシー
私たちは国際コーチング連盟(以下、ICF)の新しいコア・コンピテンシー(コーチングスキルの指針)を発表することができたことを喜ばしく思っている。
この徹底的に推敲されたコア・コンピテンシーは、最高水準のプロフェッショナル・コーチングの基準を支えるものであり、世界中のコーチング関係者の協力のもと実施した厳密な調査とテストの結果、生み出されたものだ。
専門職の認定や資格を提供している組織は、5~7年ごとにその職業のコンピテンシーモデルを見直すことが国際的にベストプラクティスとなっている。これに従って、ICFはコア・コンピテンシーを定期的に見直し、次のことを確認している。
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コーチの実際の活動とコーチに必要な知識を正確に把握しているかどうか
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ICF認定資格の基準と要件が、優れたコーチングを反映したものになっているかどうか
新コア・コンピテンシー誕生までの道のり
今回の改定に向けたレビューは2017年後半に開始され、2019年9月にケニアのナイロビで開催されたICFグローバル役員会で承認された。
ICFの資格認定チームとコーチングサイエンスチームは、世界中の1,300人以上のコーチと協力してコア・コンピテンシーを見直した。また、人材管理、教育、資格認定、政策分析、プログラム評価、研修の分野で難しい問題を解決してきた60年以上の経験を持つ非営利組織、ヒューマンリソース研究所(Human Resources Research Organization:HumRRO)と協力して取り組んできた。
さらに、本調査には、19か国を代表する60名の経験豊富なコーチ(ICF以外のコーチを含む)の専門知識が活かされている。コーチらは、本調査のすべてのステージで、自ら進んで特定領域専門家(subject-matter expert: SME)として貢献してくれた。本調査とその成果は、調査を実施してSMEとして参加するために自らの時間を提供してくれたコーチの方々の尽力なしには実現できなかっただろう。この重要な仕事を支えてくれた、世界中の多くのコーチの貢献に感謝している。
レビュープロセスは研究に基づき厳密に行われた。主な検討内容は次のとおりだ。
改定に向けた主な検討プロセス
- 重要文献の検討、コーチングの録音データの検討、コーチング分野のソートリーダー(先進的な考えを主導するリーダー)6人の半構造化インタビュー
- 16名のコーチで構成されるグローバルパネルが、クリティカル・インシデント・ワークショップを実施し、コーチングにおける重要な行動を説明、分析
- 12名のコーチで構成されるグローバルパネルが、タスクと知識、能力、その他の特徴(KAOs)に関するワークショップを実施し、プロコーチングに不可欠な主な知識、能力、タスクを確認
- タスクとKAOsに関する実践的な分析調査(ICFの会員、資格保持者、ICF以外のコーチ41,000名に配布された)とその調査結果の分析
- 特定したタスクを、タスクの遂行に必要なKAOsと関連付けるためのリンケージ演習
- 10名の経験豊富なコーチがコア・コンピテンシー・レビュー・ワークショップを実施し、ICFコア・コンピテンシーの変更の可能性を検討
このプロセスから、以下に挙げるいくつかの一貫したテーマが明らかになった。これらは新しいコア・コンピテンシーに反映されている。
- 倫理的行動と守秘義務が最も重要である。
- 組織、クライアントのエンゲージメント、コーチング・セッションという3つの主要な要素に重点を置いて、コーチングの同意事項を拡充する。
- クライアントの対等な発言力と相互のアカウンタビリティを確保し、コーチとクライアントの関係性の概念を強化する。
- コーチの専門的な能力開発、実践の振り返り、自己管理に重きを置く。
- クライアントの全体像を把握できるように、クライアントの状況と文化を重ね合わせて考慮する。
これらのテーマが強調、統合されているだけでなく、新しいモデルはより合理的でまとまりがあり、簡潔で言葉の一貫性もある。また、以前のモデルの既存の概念のほとんどが、今でもきわめて妥当であることが明らかになったことも注目に値する。これは、ICFが掲げる卓越性の基準が優れていることの証である。
また、この新しいモデルと、それを生み出すために入念に練り上げたプロセスには、以下に示すICFのコアバリューが深く組み込まれていると個人的には感じている。
ICFの4つのコアバリュー
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真摯さ:コーチという専門職と私たちの組織のために最高の基準を維持する。
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卓越性:プロコーチングの質、資格、スキルに関する卓越性基準を設定し、達成する。
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コラボレーション:協働的なパートナーシップや共創の結果生まれる社会とのつながりやコミュニティを尊重する。
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尊重:あらゆる人を受け入れ、世界中のステークホルダーの多様性と豊かさを尊重する。基準、ポリシー、品質に妥協することなく、人々を第一に考える。
新コンピテンシーに基づいた資格認定評価
新たなコンピテンシーを反映した新しい資格認定評価が開始した際には、この最新のコア・コンピテンシーモデルは、ICFの資格認定プロセスの基礎となるだろう。移行のプロセスは長期化すると予想され、新しいアセスメントの立ち上げは2021年初頭になる予定だ。
移行作業と新しいモデルやその関連プロセスの導入を進める中で、関係者の方々には詳細かつ明確な連絡を定期的に行い、最新情報をお届けする。
ICF設立25周年を迎えるにあたり
個人的には、この新しいモデルをよく理解し、自分の仕事にどのように組み込めるかを模索できることを嬉しく思っている。私は、細心の注意を払ってこのような卓越性と専門性の基準を確立し維持している専門機関の一員であることに、大きな誇りと安心を感じている。これは私たちICFの取り組みにおける大きな一歩であり、今後発信される関連情報にも注目してほしい。
2020年で創立25周年を迎えるICFにとって、この新しいコア・コンピテンシーはICFの歴史の中で大きな節目となる。ICFには現在、世界中に33,000人以上の会員と29,000人以上の認定資格保持者が在籍している。人数は多いが、私たちは一つだ。
私たちはICFという一つのコミュニティに属し、最高レベルの専門性と厳格な研究によって支えられている一つのコア・コンピテンシーモデルを通じて結び付いている。これにより、「コーチングは社会の繁栄に欠かせないものであり、すべてのICF会員が最高品質のプロコーチングを提供する」という私たちのビジョンを推進する。このようにして、私たち独自のコーチング基準の達成を目指すことで、私たち一人ひとりが、自分の仕事を通じて大きなプラスの影響を社会に与えることが可能になるのである。
【筆者について】
トレーシー・シンクレア(Tracy Sinclair)氏は、2019年のICFグローバル役員であり、2018年には議長を務めた。現在は、ICFの認定資格試験のアセッサー(試験官)。また、エグゼクティブコーチとして多くの企業に対し、リーダーシップ開発やコーチング文化の醸成のサポートを行っている。
【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】A Model of Coaching Exellence(2019年11月19日にICFのCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)
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