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異世代に対するコーチングとは

【原文】Coaching Across the Generation Gap
異世代に対するコーチングとは
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世代を超えたコーチングは、一筋縄ではいかない。ミレニアル世代(1975~1990年代前半生まれ)とはどんな人たちだろうか。また、Z世代(1990年代後半から2000年生まれ)とは?その特徴や関心事は何だろうか。彼らを理解できれば、その考え方に合わせてうまく対応できるだろう。

どうすれば彼らと最高の関係を築くことができるかについても、あなたは悩むところだろう。昨今の若者の心を開かせる質問とは何だろう。彼らは励ましあるいは、やりがいに心が動かされるのだろうか。彼らが求めているのは、象徴、バランス、安定、充実感、確実性、それともまったく別のものだろうか。

異世代に対するコーチングのガイダンスはあるのか

異世代に対するコーチングの説明書やガイダンスがどれほど充実していても、限られた効果しかないだろう。次世代をコーチングする能力を高めることは、ヒントやコツを見つけることではない。むしろ、その能力は、外から得られる知識でなく、自身の心構えによって決まってくる。

しかし、心構えは重要である。世代を超えたコーチングで直面する課題は、多くの場合、私たちコーチ自身がもっている制約にあるからだ。私たちの社会では、自分より年上の人、あるいは年下の人との接し方について、しみ付いている行動パターンがある。深く根ざした力関係が、「知恵」という要素では若者より年配者が、「活力」といったその他の要素では年配者より若者が優れた結果を出すことがある。このような主な行動パターンのほか、私たちはそれぞれ、加齢、権威、知恵、若さ、さらには死に関する個人的体験がある。このような課題に対応していなければ、その課題はコーチング関係において障害となり、コーチとして力を発揮できなくなる。

自分を異世代に置いて考えてみる

それでは、この問題にどのように対処すべきか。まず、じっくり考える時間をとる。年下、あるいは年上といった、さまざまな世代の中でのあなたの関係を見直して欲しい。次にその関係がコーチングにどのように影響するのかについて確認してみる。時間をとって若さ、加齢、権威、知恵との関係を整理してみよう。年下であることの何が嫌だったのか。年上であることの何が好きなのか。世代について振り返ってみると、私たちの運命である死の問題に直面し、それについて考えることになる。このプロセスを始めやすくするために、以下に振り返るためのアプローチを体系化したものを用意した。

最終的に、全てのコーチング同様、私たちは自身の内面的な働きによってのみ、クライアントの力になることができる。コーチとクライアントの世代の違いは、私たちのパターン化した行動を断ち切る必要性を示している。気づきと振り返りは最初のステップである。

振り返りのための質問

次の質問は、世代の違いについてあなたの考え方を解放するためのものである。「世代間の理解を深める問い」のセクションでは、あなたが最も共感する項目を中心に回答してみよう。全ての質問に答える必要はなく、3問から8問で充分である。次に、「まとめと対応」のセクションの各質問に答える。最大の効果を得るには、気が散らないように静かな場所で座って、ペンと紙を使って手書きで回答するとよいだろう。

世代間の理解を深める問い

  • 年配者と若者のそれぞれの考え方
    • 年上は...を備えている。
    • 年上は...が欠けている。
    • 年下は...を備えている。
    • 年下は...が欠けている。
  • 世代間の責任
    • 次世代は...しなければならない。
    • 次世代は...できない。
    • 最終的に、同世代が社会に与える影響は...になると思う。
  • 世代に関する個人的な体験
    • 同世代で良いことは...である。
    • 今より若いときにで良かったことは...である。
    • 年を重ねることで嬉しいのは...である。
    • 同世代で嫌なことは...である。
    • 年下で嫌だったことは...である。
    • 歳を重ねることで怖いのは...である。
  • 世代間の関係に関する過去の体験
    • あなたが今より若い頃に年下のあなたに年上の人はどのように接したか?
    • 上記の対応が理想ではなかった場合、どのように接して欲しかったか?
    • あなたが今より若い頃に年下のあなたのコーチ役となったのは誰か(正式なコーチングでなくてもよい)。誰があなたを指導し、アドバイスをくれたか?
    • 上記の状況で、何がうまくいき、何がうまくいかなかったか?
  • 世代間の関係に関する現在の体験
    • あなたがコーチをするかもしれない年齢差のある人との関係は?
    • 中間管理職と若手の社員ではどうか?
    • 祖父母と成人した孫ではどうか?
    • 親と子ではどうか?
    • 上司と部下ではどうか?
  • 上記の関係で身に着けている行動パターンとは?
  • あなたがコーチをするかもしれない年齢差のある人との関係は?
    • 中間管理職と若手の社員ではどうか?
    • 祖父母と成人した孫ではどうか?
    • 親と子ではどうか?
    • 上司と部下ではどうか?
  • 上記の関係で身に着けている行動パターンとは?
  • 伝えたいこと
    • あなたが次世代に残したいものは何か?
    • あなたに接する年下の人からはどのように見られたいか?
  • 関連する価値との関係性
    • 権威との関係は何か?
    • 知恵との関係は何か?
    • 歳を重ねることとの関係は何か?
    • 若さとの関係は何か?
    • 死との関係は何か?
  • 恐れ
    • 若さについて考えるとき不安にさせるものは何か?
    • 加齢について考えるとき不安にさせるものは何か?

    まとめと対応

    • 振り返りを通して何を学んだか?事実として何が明らかになったか?他に知りたいことは何か?
    • あなたのコーチングで、上記のマインドセットや行動パターンはどのように現れているか?
    • それはどのように影響しているか。あるいは、どのように影響する可能性があるだろうか?
    • その影響についてどのように対処したいか?

    【筆者について】

    メレデス・ウィップル・カラハン(Meredith Whipple Callahan)氏は戦略コンサルタントファームでの経験を活かし、作家、エグゼクティブコーチ、リーダーシップ開発の専門家として活躍している。主な著書に、"Indispensable: How to Succeed in Your First Job and Beyond" (Inkshares, 2018) 、" The Intentional Life: Reflections from Conscious Living (Potrero Press, 2019)がある。

    【翻訳】Hello, Coaching! 編集部

    【原文】Coaching Across the Generation Gap

    (2019年10月16日にICFCOACHING WORLDに掲載された記事の翻訳。ICFの許可を得て翻訳・掲載しています。)

    "First published in Coaching World in October 2019, published by the International Coach Federation.


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