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リモートワークの今こそ、リーダーは境界線を持つことが必須である理由
2021年06月22日
最近、あるクライアントがこんなこと言っていた。「朝8時から夕方6時までWeb会議をして、夕食をとって、その後夜遅くまで仕事をしていた。そして週末も仕事をして、すっかり疲れてしまった」と。あなたにも、心当たりはないだろうか?これは、あなただけに起こっていることではない。私たちがお付き合いしている多くの組織がバーチャル化してきており、そのリーダー達からも、同じような悩みを聞いている。
オフィスで同僚と会うことができなくなっている一方で、カレンダーは予定でいっぱいになっていく。気軽な立ち話がフォーマルなウェブ会議にとって代わるようになった。リーダーたちは、考えるための時間を深夜やウェブ会議の合間の30秒間に押し込んでいる。皮肉なことに、会議が多いにもかかわらず、リーダー達はチームメンバーとあまり連絡をとれていないと感じ、何が起こっているのかを知るための洞察力が彼らには欠けていると感じている。さらには、パートナー、親、友人として過ごす時間も、過去最低の水準になっている。
残念ながら、これはバーチャルな世界での大きな課題の一つである。これまでリーダー達が頼りにしていた一連の境界線が消えてしまったのだ。通勤時間がもたらすオフィスと家を往復する間の隙間時間、そしてその距離は、もはや確実に確保されるものではない。家がオフィスであり、その逆もまた然り。あるクライアントは最近、通勤時間が恋しいと言っていたが、それは1年前には想像もできなかったことだそうだ。
そして、エグゼクティブにとっては、収益を上げ、戦略を迅速に実行し、経費を削減しなければならないというこれまで以上のプレッシャーがあるため、仕事と家庭の区別が益々曖昧になっていくと思われる。
境界線はあなたとあなたの同僚双方にとって必要なもの
私たちは、このような働き方が長期的に持続可能でないことをよく理解している。しかし、いつまでバーチャルな働き方が主流であり続けるかは、今のところ不明だ。多くの企業が従来のオフィススペースをなくす決断をしている。このパンデミックが終わっても、もしかしたら多くの人がリモートワークを続けるかもしれない。だからこそ、エグゼクティブにとって境界線を意識することは、かつてないほど重要なことなのである。戦略を持って計画と思考の時間を十分に確保し、重要な仕事上の関係を維持・発展させることは、あなたが余力を持ってチームを率い、ビジネスを正しい方向に導くことに集中するために非常に重要である。
自分の時間を非常に価値のあるものとして扱うことで、最大のリターンを生む場所に時間を投資するための正しい選択ができるようになる。
ロバート・フロストはこう言っている、"良いフェンスは良い隣人を作る。”
生産性を上げるための境界線を設定することで、自分のための時間を確保できるだけでなく、自分が関与しなくても物事をより迅速かつ効率的に進めるための適切な方向転換の機会を同僚に提供することができる。ただでさえ過密なスケジュールの中で、毎日幾度となく新しい依頼を受けることは工程を遅らせるだけでなく、他の人にとっても物事の進行の妨げにもなり、さらに自分にとってもストレスに繋がる。
一方で、生産的な境界線を設けることで、集中力、強力なパートナーシップ、サイロ化の解消などが生まれ、ビジネスやチームの発展に繋がる。
これらのことを実行することで、あなたは依頼されたことに対して、その目的を達成するためのより良い方法を提供することができるようになる。他の人たちにとっては、あなたが強力な相談相手であり、思考していく上でもパートナーであると考え始める。物事を最も効果的かつ効率的に進めるために、彼らはあなたの視点を頼りにするだろう。もし、このような状況を望むのならば、自分の時間を大切にすることに対して積極的にならざるを得ない。
これは直観的にピンとこないことかもしれない。通常、境界線を設けることは、協調性や仲間意識の欠如を意味することが多いからである。しかし、適切な境界線を設けている多くのリーダー達は、重要な戦略を推進するうえで境界線が全員の利益になると語っている。
ノーと言うのが苦手な人が多い。私たちは、チームプレーヤーとして認められたいし、人から自分に助けを求められることは、多くの場合自分の評価に繋がると思っている。しかし、多くの領域に力を注ぎすぎることで、パフォーマンスが低下することがよくある。より多くのことを引き受けていくと、結果として自分が達成できる事の達成度が低くなってしまうのである。
どのように効果的な境界線を設定できるだろうか
依頼を受けたらすぐに、その仕事を引き受けることは自分の限られたエネルギーと時間を有効に使うことに繋がるかどうかを考えてみる。その方法として、次の3つの質問を自分に投げかけてみよう。
- 私の参加は必要か?
必要でなければ、誰の参加が必要なのか? - それは、今必要なのか?そうでなければ、
どのタイミングがよいのか? - これは、このプロジェクトを行うための最適な方法であるのか?
もしそうでないなら、どのような方法が最適か?
この3つの質問のうち、どれか1つでも「ノー」である場合は、よりうまく仕事が進むようにやり方を考え直してみよう。「ノー」と答えつつも解決策を提案することで、あなたは協力的に一緒に考えてくれるパートナーであると思われるだろう。その際に、次のフレーズのいずれかを使ってみよう。
~でなくてもいい
- 私でなくてもいい
その仕事を進めていく必要があることを認めたうえで、自分はその仕事をする適切者ではないと伝える。そして、適任者を推薦する。 - 今でなくてもいい
時間が非常に限られていることが多いことを認識したうえで、もしあなたが直接関与することが重要であるならば、お互いに合意できるスケジュールを設定することを提案する。 - この方法でなくてもいい
相手が求めている結果を尊重しつつも、より効率的または効果的なアプローチに協力する。
否定することが難しい場合は、以下のような「もし~ならば」というポジティブなフレーズで、境界線をつくる提案ができるだろう。
もし~ならば
- もし他の人ができるならば
あなたの代わりになるような人を推薦しよう。この仕事をすることが、周囲へのアピールになったり、有益な学習の機会となるような人がよいだろう。 - もし時期を調整できるならば
あなた自身とその仕事に適したタイミングを提案しよう。 - もし違う方法で計画できるならば
最終目標に到達するために、今と同等かそれ以上に効果的で、あなたのためにもなる方法を提案しよう。
良いフェンスとより良い結果
強力なフェンスを構築することで、あなたはボトルネックではなく重要な解決策の提案者になることができる。同僚や企業の良き隣人となれるのである。そして一番大切なことは、重要なことに集中するために、あなたの日程表に貴重な空き時間をつくれることだ。
最高のリーダーは、思考や準備のための時間を確保し、その時間を大切に賢く使っている。あなたには、自分自身や他の人々のために、自分とあなたの組織が成功するための境界線をつくる義務があるのではないだろうか?
【筆者について】
ジャクリーン・ブロドニツキ(Jacqueline Brodnitzki)氏は、Leadership Coachingのディレクターとして、経営層を対象に事業展開の加速化をサポートしている。前職はエグゼクティブ・コーチングとコンサルタントを提供する Conscious Successの代表取締役。『Conscious Success: The 5 Step Process To Dissolve Stress, Increase Productivity and Find Your Flow At Work』の著者。
【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Good Fences Make Good Neighbors: Why Setting Boundaries is the New Leadership Imperative
(2021年1月9日にBatesのResearch and Resourcesに掲載された記事の翻訳。Bates Communications Inc.の許可を得て翻訳・掲載しています。)
Article translated with permission of © Bates Communications 2021
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