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ニューノーマル時代のリーダーのために必要な3つのこと
2021年09月14日
この1年半の変化を乗り越えるリーダーのために、我々はこれまで2つの重要な主張をご紹介している。まず、酸素マスクを装着しなさい(リーダーである自分自身をまず整えなさい)。そして、最も重要な人間関係に集中することの2つである。
そして3つ目の明るい兆しは、あるシニアリーダーのクライアントが「ズームのトンネルの先に光が見え始めた」と言っていたことだ。
自分の時間とチームの時間の優先順位づけを徹底的に行おう。有効性、効率性、生産性に焦点を当てる中で、それらのすべてにおいて重要なのは、物事を成し遂げることである。しかも、適切なことに時間を使っていることを確認する必要がある。
パンデミックが発生した当初は、多くのリーダーが危機を乗り切るために最重要なことに集中しなければならなかった。しかし、プレッシャーが軽減されるにつれ、集中力がそがれ、あらゆることをやろうとしていた頃に戻ってしまいそうになっている。しかし、今はそのような悪い習慣に戻るべきではない。今こそ、集中し、優先順位をつけ、境界線を引くべきなのだ。
ギャラップ社の最新レポート「米国の職場状況(State of the American Workplace)」によると、仕事にエンゲージしている従業員は全体のわずか3分の1である。一方、16%の従業員は仕事に嫌気がさしており、残りの51%の従業員は仕事にエンゲージせず、ただそこにいるだけという状況である。さらに悪いことに、従業員のエンゲージメントに最も影響を与えそうな管理職の65%が、仕事にエンゲージしていないという。では、なぜこれらのことが問題になるのだろうか?それは、エンゲージメントは生産性に直結しているからである。C-Suite(取締役)の立場にいるあなたからすれば、これは恐るべきことである。
パンデミックの追い風に加え、緩やかに回復しつつある経済状況、またオフィスへ復帰する戦略に対する課題など、あなたのチームが最大限の効果を出さなければいけない厳しい環境が待っている。では、ニューノーマル時代の到来を前に、疲れたリーダー達に集中力と生産性を維持してもらうにはどうすればいいのだろうか。
- 優先順位を明確にする
組織の戦略と密接に関連する最も重要な活動を絞り込むといい。最優先事項と最終的な意思決定者について、自分のチーム内や他のチームとの間で明確な合意を形成する。混乱が起きないように、この優先順位を徹底的に繰り返すべきである。 - 距離をとって援護する(上空援護する)
チームメンバーが今の仕事に集中できるように、邪魔なものを排除して道を切り開く手伝いをするといいだろう。新しいアイディアやリクエストが上がってくることを、優先順位の再上位に再び戻すための基準や質問を準備しておこう。もし、チームが合意されたテーマを支持しなければ、それは成り立たない。チームにノーと言える権限を与えよう。 - 静かな時間をつくる
準備や振り返りをする余裕がない状態では、計画を立てたり、修正したり、実行したりすることは不可能である。シナリオをつくったり革新的なことを思考するためには、静かな時間をとることが必要だ。周囲から非難を浴びたりプレッシャーを感じているときに、新しいアイディアを思いついたり、別の角度から見たりすることは難しい。リーダー達が頭を落ち着かせ、他の可能性に目を向けるためには、静かな時間をとって振り返ることが必要である。
1.優先順位を明確にする
私たちは今、ある経営幹部のチームと仕事をしている。このチームは、計画の頻繁な変更に悩まされていた。彼らは約1年前から、戦略や計画の策定に多くの時間を費やし、その計画を最終的に決定した後、数日から数週間で変更するというサイクルを繰り返している。組織の内側では、このスパイラルが最適な実行力を欠き、重要な人材を失う原因となっている。
解決策は簡単である。それは、チームの目的と、チームがどのように協働するかを定義する一連の運用ルールをつくることから始まる。どのように意思決定を行うか、どのように仕事について議論するか、どのような期待を持って対人関係を構築するかなどを合意する。チームが率直に話し合えるか、効果的に協力し合えるか、共通の目標に向かって突き進むことができるかどうかに懸念がある場合、一連の優先事項について足並みを揃えるのはとても難しい。このような合意が明確にされていないチームに所属したことは、誰にでもあるだろう。そのことが導き得ることで一番ましなケースは、間違った前提が登場したり途中経過に支障がでることである。最悪のケースは、チーム運営が機能不全に陥り、プロジェクトが完全に頓挫してしまうことだろう。もしこのようなことになったら、優先順位リストの項目を少なくして、それを徹底的に守るべきである。
もし、あなたの部下であるリーダーが、優先順位づけや計画の頻繁な変更に悩んでいたら、アイゼンハワー・マトリクスの使用を検討してみてはどうだろうか。チームミーティングでバーチャルなホワイトボードを示し、以下のステップを実行して欲しい。
- ステップ1: チームが完了させる必要のある主要な活動をリストアップする
- ステップ2: 重要度や影響度(重要でないものは0、重要なものは10)、緊急度や時間的重要性(0~10)について評価する
- ステップ3: スコアに基づいて、活動を下記のマトリクスにプロットする
重要度が高い/緊急度が低い(決定する)
重要度が高い/緊急度が高い (行う)
重要度が低い/緊急度が低い (削除する)
重要度が低い/緊急度が高い (委任する) - ステップ4: 適切な優先順位をつけ、重要度の低い活動を委任するか、削除するようにリーダーに促す。忘れるようであれば、マトリクスを取り出して思い出してもらうといい。
2.距離をとって援護する(上空援護する)
戦略的優先順位を明確に把握し、チームが今後の計画について一致している場合、何が障害になるだろうか。実は、まだたくさんの課題がある。
時間、お金、人、感情などをはじめとして、チームの生産性を低下させる可能性のある障害物は数多くある。
もし、あなたのチームメンバーが失敗を心配していたり、実行に必要なリソースを持っていなかったり、戦略を正当化するためにステークホルダーに対して時間とエネルギーを費やさなければならないとしたら、少なくとも効率性と生産性を意識しながら仕事をすることはできないだろう。
そこで、あなたの出番である。距離をとって援護するということは、チームが頭を下げずに、必要なリスクを取り、人に断ったり、時には成功のためにテストや失敗をすることができるように、ある程度の保護や援護をすることである。では、それは具体的にどのようなものだろうか。
あなたはパイロットではないことを忘れてはいけない
あなたは、部下であるリーダー達を仲裁したり、他にどういうやり方があるかを教えたりするためにいるのではない。あなたは、彼らの邪魔になりそうな壁を打ち破るために存在しているのだ。距離をとって援護することはサポートであり、コントロールではない。
彼らに明確な滑走路を与える
他のプロジェクトをなくす。出席をお願いしていた会議を減らす。他のチームメンバーに、なぜ、どのように彼らが関わるのかを説明する。リーダーを支持し、部下であるリーダーを信頼していることを明確に伝える。疑問点を先読みし、先手を打つことで、疑問点を減らす。そして、彼らが周囲の人に「ノー」と言ったときは、彼らをサポートしよう。
あなたが役に立つことを十分に知っておく
自分が部下のために介入しなければならない場合に備えて、自分自身がプロジェクトに没頭したり、マイクロマネジメントを行ったりしないで欲しい。それよりも、最新情報を共有したり、問題があれば早期に対応して指導できるようなシステムを構築しよう。
チームがあなたに期待することを明確にしよう
チームが赤信号を発したとき、彼らがどのような「上空援護」を必要としているのかを理解しておこう。シニアステークホルダーに干渉すべきか?追加の資金やリソースを募るのを手伝う必要があるだろうか?それとも、どのような結果になりうるかを知っておくだけで、防御策を講じることができるだろうか?
3.静かな時間をつくる
パンデミックが発生した当初、私たちは即座にバーチャルな環境に飛び込み、つながりと生産性を維持するためにオンラインでの交流やミーティングを行っていたりした。しかし、その試みの多くは持続性がなく、多くの場合、振り返りや計画、準備の時間がスケジュール上ほとんど取れないという逆効果を生んでしまった。直感に反しているかもしれないが、ペースを落として考えなければ、実際には前に進むことはできない。
この点について、あなたはリーダーをどのように支援したらいいだろうか?
- 模範を示すこと
私たちが次から次へと仕事をこなしていては、チームメンバーに余裕をとることの重要性を伝えることはできない。常にミーティングを行うのではなく、「オフィスアワー」と呼ばれる時間帯を設定して、チームメンバーの様子を確認しよう。毎週の1on1ミーティングを隔週に変更する。ソフトウエアのオプション(例えばMicrosoftの「Focus Plan」)を使って、カレンダーの空き枠を確保する。言い換えれば、バランスをとることの重要性を示した上で、部下のリーダー達に同じことをするよう促がすのだ。
- 会議を短くする
会議がいつも60分である必要はない。私たちが必要としているのは、効率的で、うまく運営され、意図的に行われる会議であり、それは多くの場合、1時間という時間枠で行われているだけだ。チームメンバーには、事前に会議の議題を作成し、資料を共有するように求めよう。会議では、「プレゼンテーション」で時間を無駄にするのではなく、重要なポイントについてオープンに話し合うようにしよう。そうすれば、事後処理にかかる時間も短縮できる。
- 譲れない時間を設定する
空白の時間は、考えを巡らせたり、革新的なアイディアを生み出したりするのに重要だが、先を見通す計画を立てるためにも欠かせない。私たちはクライアントに、金曜日の午後に2時間、翌週の会議について考えることをお勧めしている。どの会議がトリガーになりそうか?議論が紛糾する可能性があるかどうか?複雑なトピックを扱うのか?同じチームから複数の人が出席していないか?
どの会議に出席する必要があるのか、そのためにどのような準備が必要なのかを決めるよう、チームメンバーに働きかけよう。
- 日常を変える
ログインして、メールをチェックして、メールに返信して......という毎日のルーティーンワークに、私たちはどれだけ縛られているだろうか。それを変えてみる必要があるかもしれない。自分を振り返る時間を一日の終わりの疲れているときにやるのではなく、その時間から一日を始めてみよう(受信トレイを無視する!)。さらには、環境を変えてみよう。屋外のコーヒーショップや公園のベンチ、家の中の別の部屋など、インスピレーションを得られそうな別の場所に移動してみるのもお薦めである。
このブログシリーズを始めた半年前から、私たちは時代が変わったことを実感している。絶え間ない変化を乗り越えるためには、バランスを保ち、人脈を活用することが重要だと話してきた。私たちが過小評価していたのは、その「変化」がどれほど永続的に続いているかということであった。しかし、シニア・エグゼクティブとしては、ビジネスを前進させ、チームにステップアップを求め、生産性を高め、結果を出すようにしなければならないこともわかっている。
そして、その両方を実現することができるのである。共感を持って部下をリードする。仕事と生活の境界線を引く手助けをする。人間関係の構築を奨励する。垣根を取り払う。明確な目標を設定する。
言い換えれば、過去18ヶ月間に得られた明るい兆しを利用して、あなたとあなたのチーム、そしてあなたのビジネスに適した全く新しいリーダーシップモデルを定義するのである。ニューノーマルを受け入れよう。それはこれからも続くのだから。
【筆者について】
Laura Fay(ローラ・フェイ)氏は、ベイツ社のエグゼクティブ・アドバイザー兼コンサルタント。20年以上にわたって企業のリーダーシップに携わり、エグゼクティブ・コミュニケーションに深い専門性を持っている。危機的状況やチェンジマネジメントの際にシニアリーダーの相談役、コーチ、アドバイザーを務めている。
Kevin Cuthbert(ケビン・カスバート)氏は、人材開発の領域で30年以上の経験を有し、エグゼクティブ・チームと共に生産性を高めるコーチングを実践している。また、リーダーシップ学習プロセスや組織変革プログラムの設計と実践を手掛けている。
【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Seize Control: Why "No" is the Key Leadership Tool You Need(2021年6月2日にBatesのResearch and Resourcesに掲載された記事の翻訳。Bates Communications Inc.の許可を得て翻訳・掲載しています。)
Article translated with permission of © Bates Communications 2021
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