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その目標は、本当に目指すべきものですか?

【原文】Don’t Be the Leader Who Works Hard on the Wrong Things
その目標は、本当に目指すべきものですか?
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ある大手製造業のCIOは、イライラし、疲れ果て、自分が評価されていないように感じていた。彼は、1500人規模の組織で、数年にわたる複雑な技術移転と、会社史上最大の買収に伴う統合を監督していたのだ。さらに、進行中のデジタルトランスフォーメーションや日々の業務が加わる中で、彼の傘下のIT組織がこれまでと同じ数のプロジェクトを成功させたことは、かなりの功績だった。

しかし、同じ会社のビジネスリーダー達に話を聞くと、IT部門と同部門がもたらす価値に対して冷めたな反応を示す人がほとんどだった。その技術者達を褒めるどころか、"最近、何をしてくれたっけ?"と言われてしまうのが関の山だった。当然ながら、CIOはチームの士気の低下と人材離れを懸念していた。CIOからすれば、「チームは勝ち目のない状況に置かれているように感じる。何をリリースしても、期待値に足りていないようだ」と感じる状況だった。

このCIOを含め、多くのCIOは、よい仕事をしたからといって自分自身の背中を叩かれ褒めらることを期待しているわけではない。それでも、自分のチームが目標を高いレベルで達成した際は、組織として評価を受けることを期待する。それが受けられないということは、会社が褒めることを躊躇しているわけでも、賞賛をいつも求めるリーダーに冷淡なわけでもなく、目標達成において何かしらの奇妙なズレがそもそも生じているのかもしれない。

「あなたが達成した目標は間違っていた!」

海外進出を目指す飲料メーカーのために、24時間体制で取り組んだコンサルティング会社のケースを考えてみよう。そのコンサルティング会社は、一連の提案を依頼したその企業のビジネスリーダーに提出した際に、彼が「期待はずれ」という反応をしたことに驚いた。彼らはその飲料メーカーの依頼通りのものを提出したのだから。依頼主のビジネスリーダーは、プロジェクトの成果に満足するどころか、チームを一瞥すると「君たちは目標をとり間違えたのではないか」と言ったのだ。

このリーダーが本当に重要視していたものは、マーケットでリーダーになることだったのだ。海外進出はCEOが望んでいたことであり、このビジネスリーダーはCEOの優先順位に対応する義務は確かにあった。しかし、このリーダーには、契約書や合意された目標とは関係なく、自分自身にとっての優先順位があった。いずれにしても、彼はコンサルティングチームがマーケットでリーダーシップをとるという彼の優先事項に寄り添ってくれることを期待していた。しかしながら、彼らの提供した成果物には十分にそれが反映されていなかった。

目標を達成しても、意図していないものを達成したと後から言われるのは、アンフェアなおとり商法のようなものかもしれない。本来は、ゴールに同意し、表明し、達成する、そして、ゴールを達成したことにも合意するというのが理にかなっている。しかし、実際にはその逆なことがままあり、そもそも本当の目標(暗黙の目標)を達成できていないことが要因なのだ。

「暗黙の目標」とは何か?簡単に言えば、「暗黙の目標」とは、取締役会、CEO、同僚、顧客にとって本当に重要な目標のことである。それは、戦略、プロジェクト、構想の背後にある「目的」であり、真の最優先事項であり、最終的にパフォーマンスが評価される対象でもあるのだ。コミュニケーション不足、組織視点の思考の欠如、思い込みの強さ、これらすべての影響で、「目的」が隠れてしまいがちになるのだ。またこれは、優れたリーダーやチームに、あまり良い評価が与えられない理由の一つでもある。よくみてみると、プラン上ではすべてがうまくいっていたにもかかわらず、暗黙の目標を達成できなかったということがあるかもしれない。

前に進む前に、「暗黙の目標は何か?」と自分に問いかけてみよう

その言葉が示すように、「暗黙の目標」は常に明確に表現されたり、強調されたりするわけではないので厄介だ。実際のところ、目標設定が長い間行われてきた企業で働いている私たちのほとんどは、暗黙の目標という存在にさえ気づかないものなのだ。このプロセスに疑問を抱くこと自体が必要でないように思えるだけでなく、一般的な企業が従業員に目標を伝えることに躊躇がないことを考慮すると、なおさらそのプロセスは必要ないことのように見える。

それでも、自分やチームが残業をしてまで、目標を達成しようとする前に、「暗黙の目標は何か」と自問してから本格的に動き出すのが得策である。ある優秀な財務担当上級幹部は、人事考課で「改善が必要」という評価を受けたが、これは彼の素晴らしいキャリアの中で初めての低い評価だった。パフォーマンスの高いチームを構築し、市場に大きな逆風が吹いた年にマージンを横ばいに保つなど、CEOが支持したいくつかの企業優先事項について目立った変化をもたらしたにもかかわらず、彼は高成長を推進するという暗黙の目標を達成できなかったのだ。この評価を受けて、彼は「会社の目標を達成するために、たくさんの出張をこなしたり、自分を犠牲にすることに多くの時間を費やしてきたが、成長を促進できなければ、意味がない」と語った。

懐疑的であることが功を奏す

優れたリーダーは、適切な質問をし、前提に異議を唱え、重要でない目標達成のために時間やリソースを浪費しないことが功を奏すことを知っている。しかし、洗練されたリーダーであっても、暗黙の目標を見過ごしてしまうという罠に陥ることがある。これにはさまざまな理由があるが、企業が優先項目を設定する際に、その項目に関する明確な測定基準や説明責任を確立していないことが挙げられる。

例えば、インクルージョンについて考えてみよう。企業文化と従業員エンゲージメントの重要な側面であるインクルージョンに異論を唱える企業はほとんどないが、多くの企業では、リーダーがこれを実践しているかどうかを評価する内部指標をもっていない。これは、その目標が、本来あるべきものであったり、紙に書かれているものであったりしても、まだその会社で本当に評価されているものではないことを示す良い手がかりとなる。そのことは、リーダーが目標達成を目指す際に、適度に懐疑的になる必要があることを示している。重要な時間と資源をどこに割くかを決める前に、次のような質問をしてみて欲しい。

  • この目標は他の人も達成したいと思う目標であることがわかるかどうか。
  • この目標を達成することは、ビジネスにどのようなプラスの直接的な影響を与えるか?
  • この目標を達成するために、我々はどのように責任を負うのか?
  • この目標を達成した場合、他者(顧客、経営陣、株主)はどのような恩恵を受けるのか?
  • この目標を達成した場合、私は個人的にどのように評価され、報酬を得られるか?

リーダーやチームは、良い仕事をすれば賞賛されるべきである。暗黙の目標も含め、正しい目標に対して成果を出すことに集中すれば、その価値は会社の目に止まり、報われることになるのだ。


【筆者について】
エリザベス・フリードマン(Elizabeth Freedman)氏は米国BTS Bostonのエグゼクティブ・アドバイザー兼コンサルタント。Cレベルのリーダーやチームの業績向上に向けたコンサルティング、コーチング、ファシリテーションを提供している。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Don’t Be the Leader Who Works Hard on the Wrong Things(2021年3月26日にBatesのResearch and Resourcesに掲載された記事の翻訳。Bates Communications Inc.の許可を得て翻訳・掲載しています。)
Article translated with permission of © Bates Communications 2022


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