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変化に直面したときに起きる抵抗とは

【原文】The Resistance Phenomenon When Faced With Change
変化に直面したときに起きる抵抗とは
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抵抗は常に存在する

長年にわたり、リーダー、エグゼクティブ、そして個人と仕事をする中で、彼らがしばしば変化に対して抵抗感を抱いていることに気づいた。たとえそれが、その人自身やビジネスにとって明確で着実にメリットがある場合でも、抵抗が生じるのだ。私は、この抵抗という現象があまりにもよく起こることであるため、それに着目し、多くの研究に時間を注いできた。抵抗は、人々があらゆる種類の変化に直面したときに経験するもので、実に自然で正常なプロセスなのだ。組織変革に伴い、戦略の実行や調整、その他現状を打破するためのマネジメントなど、厳しい現実に直面すると、抵抗感が刺激される。この抵抗は、リーダーだけでなく、組織内で変化に貢献している人にも生じることを心に留めてほしい。

変化に直面したとき、私たちにとっての課題は、表面化するあらゆる抵抗を識別し、管理できるように十分に自己認識することだ。自分自身が持つ抵抗感を認識したとき、私たちはこの状況が最終的にどのように利益となり役に立つのかに注意を向け、集中することができる。たとえ過去に、ある行動や習慣が役に立ったとしても、将来はそうでないことがあることを、認識する心の余裕を持たなければならない。さもないと、未知なるものへの恐怖から、現状のままでよいだろうと思い込んでしまい、どうしても行動を起こす必要性を先延ばしにしたり、否定してしまう。そして、もし私たちがリスクや未知、不確実性を内在する未来に対して積極的に責任を持つことを拒めば、必然的に誰か、あるいは何かが私たちに代わってその決断を下すことになるというのが、現実なのだ。

変化への抵抗を克服するための4つのステップ

残念ながら、現状を改善する努力をほとんどしなかったり、長期的な成功に役立つかもしれない変化を拒んだりすると、私たちが最も恐れていることが起こることを、事実上、確約してしまうのだ。
作家のアーノルド・ベネットは、「変化は、たとえそれが良い変化であっても、必ず欠点と不快感を伴うものだ」と言う。そして、私たちが達成したいと願うことや、より良いこと、前向きなことの多くには、諸刃の剣が付き物であることは真実だ。変化は、より良い未来を約束し刺激的なものでもあるが、一方で、紆余曲折の過程で間違いを犯し、自分の行動や思考回路を変えるために苦労したり、不快で苦痛でさえある可能性がある。ここでは、変化への抵抗を克服するために必要な、心の余裕を養い、自分自身や他人をコーチするための4つのステップを紹介する。

ステップ1:変化についての視点をシフトさせる

抵抗に対処するための最初のステップは、変化の必要性について新しい視点を積極的に養うことだ。このマインドセットは、今の製品やサービスを含め、私たちが行うこと、提供することのすべてが陳腐化する可能性があることを理解することを意味している。このことを知っていることは、私たちが定期的に何か新しいものを歓迎したり、創造したり、また受け入れたりするための精神的な準備をしなければならないことを、よりスムーズに認識するのに役立つ。

ステップ2:自信と勇気をもって変化に対応する

第2のステップでは、痛みや未知なことがあっても前に進むという、根本的な決断とコミットメントを持つことに取り組むことが必要だ。つまり、抵抗を克服する意志について、自分自身と勇気ある会話をする必要があるのだ。過去にさまざまな形の抵抗をうまく処理してきたことを思い出し、それが無くして、今の自分はないと思うことはその助けになる。これまで積み重ねてきた成果をもとに、困難なことをやり遂げる自分の能力に自信を持とう。

ステップ3:変化とは何かを見極める

ステップ3では、頭の中での計算が必要だ。本当に得たいものは何か、失いそうなものは何か、自問自答してみる。もし、あなたが絶対に確実だと実証された道を進み、納得のいくものだけに固執したとしたら、何を得て、何を失うのかを計算してみるのだ。

信頼できる他の人の意見を聞いて、洞察したり、指針を得ることも有効かもしれない。変化のリスクを上回るメリットがあることを論理的に理解できれば、誰もが経験する 「惰性 」を克服できるはずだ。

ステップ4:示唆に富むストーリーを語る

最後のステップは、人々の前に出て、自分のストーリーを語ることだ。自分の弱さを示し、ポジティブな変化でさえも難しいという事実を認めることを厭わないこと。時には、自分がどう感じているかを他人と共有し、どのようにしてそのことに気づき、変革のプロセスに取り組むことを決意したのかを説明することで、”抵抗モード”を脱するために必要な勢いをさらに増すことができる。戦略的変化を厭わないリーダーは、他者を信頼し、大小を問わずあらゆる変化に伴う課題は、共に克服できることを伝えようとする。ただしその際、人々に対して、彼らが自分自身の中でその変化を処理できるような機会を与えることが重要だ。

彼らも抵抗感を抱いているかもしれないことを認識すること。多くのリーダーが、新しい戦略的取り組みに人々が飛びつき、自動的に受け入れてくれるだろうと期待している。このようなリーダーは、変化の段階では、それにまず向き合う機会が誰にとっても必要であることを忘れている。彼らが過去にうまくいっていた古い習慣や慣行を見直すことができるように、より現実的な期待値を持とう。

最後に、「あきらめてはいけない」ということを思い出して欲しい。前向きに、楽観的に、そして明るく行動を起こして欲しい。私は基本的に、抵抗は避けられないものだと考えているが、一方でそれは対処できるものだと確信している。


【筆者について】
スティーブン・ストウェル博士
スティーブン・J・ストウェル博士は、Center for Management and Organization Effectiveness, Inc.(以下、CMOE) の創設者であり、社長である。CMOEは、個人とチームがその効果を最大限に発揮し、戦略的競争力を生み出すことを支援する目的で、1978年に設立された。スティーブは、リーダーや組織が長期的かつ持続的な成長に焦点を当てたハイパフォーマンスな文化に変化することを支援することに、特に関心を寄せている。スティーブのキャリアは、エネルギー産業界から始まった。過去30年間、35カ国の大企業、政府機関、学校法人、非営利団体にコンサルティングを行い、以下の分野にに取り組んでいる。

  • 創造的で革新的な学習体験、シミュレーション、基調講演の開発・設計
  • 長期計画の実行において、組織内の各機能がより効果的に連携できるような支援

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】The Resistance Phenomenon When Faced With Change
(Center for Management & Organization Effectivenessの許可を得て翻訳・掲載しています。)
Article translated with permission of Center for Management & Organization Effectiveness.


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