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変化の時代を生きるリーダーが基本に立ち返る5つの方法

【原文】How Can Leaders Respond Now? 5 Ways to Get Back to Basics!
変化の時代を生きるリーダーが基本に立ち返る5つの方法
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変化と混乱の大きな波が、次々と押し寄せている。長い間続いてきた困難な状況の中で、直近のものとしては景気後退が一つ新たに加わった。私自身の経験からすると、多くのリーダーたちは、現在さまざまな企業や国で同じような問題に直面している。彼らは事業を継続していくために必要な人材を見つけることに苦労している。サプライチェーンの問題にも直面している。職場で体調を崩し、その場で離職してしまう人もいる。さらに追い打ちをかけるように、雇用の凍結、出張の禁止、予算の削減、レイオフに直面しながら、上司はトップ層とボトムラインを成長させるように求めている。これは、あなたにとっても身近なことなのではないだろうか。

最近、同僚との話の中でマズローの欲求階層説の話題になった。彼女が言ったのは、「今こそ基本に立ち返り、自分自身とクライアントの本質的なニーズに応える必要がある」ということだ。マズローの言葉で表すと、「安全(安心感)」「所属(帰属意識)」「承認(尊重)」だ。

このコラムは、私たちと一緒に仕事をする成功しているリーダーの多くが、基本に立ち返るために意識していることを以下に紹介する。

1. 現実を認識する

成功しているリーダーは、自分やチームが直面している非常に現実的な課題を甘く見ているわけではない。彼らはそれらの課題について、そしてそれがビジネスやチームにとってどのような意味をもたらすかについて、できる限りオープンに情報開示しようとしている。そうすることで、リーダーが何を考えているのかという謎が解け、うまくいっていないことを認めてもいいという「安心感」と「帰属意識」が生まれる。「安心感」は「あなたが私を信頼しているから、いろいろなことを話せる」というように、信頼という形になってあらわれる。「私たちは同じ場に存在している 」というのが「帰属意識」である。

2. 現実的で実行可能なことに集中する

人はプレッシャーがかかると、うまくいっていないことばかりに目が奪われがちだ。つまり、予算削減や解雇もしくは、リソースや時間不足に直面している中、実現できないことに気をとられてしまう。一方で、優れたリーダーは、「実現可能なこと」に対して気持ちを集中できる。「物事をシンプルに考える」「優先順位をつける」「チームのために混乱を取り除く」などがそうだ。重要で達成可能なプロジェクト、タスク、活動を完了できるようなリズムを整える。チームのために物事を確実に完結させることは、個人とチームが互いに「尊重」する意識を高め、不確実な時代においても前に進むことが可能だ。

3. 成功を祝う

昨今の優れたリーダーは、チームが2.で述べた現実的で実行可能なプロジェクトを完了させる際に、その達成を共に喜ぶ時間をつくっている。彼らは、個別にあるいはZoomで部下の成果をたたえる場を設けるだけでなく、社員同士が互いにたたえ合う環境をつくっている。面白く、かつ意味のある取り組みをしているリーダーもいる。そのチームは、失敗や計画通りにいかなかったことを祝うのである。彼らは、このことを将来に向けた学習の機会にし、また失敗しても安全であることを学ぶのである。これらのチームは、勝利を祝うにせよ失敗を祝うにせよ、一緒になってそのことを認識し、その行為が「帰属意識」と互いを「尊重」する意識を高めていることに気づくのである。

4. 明るい兆しを見つける

どんなチャレンジも、新たなチャンスを生み出す。あるクライアントは、チームメンバーが半分に減少したことで、どうすれば業務を継続できるかメンバー全員が悩むようになったと話す。しかし、すべてを今までと同じようにこなせるわけがないことにすぐに気がついた。そして、主要なステークホルダーと話し合った結果、自分たちが今までやってきたことの多くが、実は求められていない、あるいは必要とされていなかったことを知り驚いた。本当に必要なことは、もっと短期間でより簡単に実行可能であり、チームにとってもステークホルダーにとってもより満足のいくものだった。このようなやりとりは、新しくより効率的な働き方を生み出し、「安心感」「帰属意識」「尊重」する気持ちを向上させた。

5. 部下に寄り添う

この激動の時代にリーダーたちが実践すべき最も重要なことは、部下とのよい関係を構築し続けることかもしれない。「みんなが忙しいから」という理由で1on1ミーティングをキャンセルする必要はない。1on1ミーティングを大切なものとして扱い、この時間を使って社員とつながり、彼らの課題に耳を傾け、サポートとガイダンスを提供する。優れたリーダーは、パンデミックによってリモートワークに切り替わった時点で、いち早くその必要性に気づき、その認識を継続させている。部下がアクセスできる状態にあり、部下に意識を向けていることは、チーム全員にとって変革をもたらすほど重要な要素なのだ。


この未曾有の変化の時代にあっても、変わらないことが一つある。それは、人は上司や会社とつながりを感じられなくなると、仕事を辞めていくということだ。実際、最近のSloan Management Review(マサチューセッツ工科大学 スローン・マネジメント・レビュー)の分析では、従業員の離職を予測する上で、「悪い(組織)文化」は給与より10倍も重要な理由となると結論づけている。チームメンバーが「安心感」「帰属意識」「尊重」を感じられるようにするための上記の提案は、リーダーが最高の人材を維持し、次の変化の波に備えるための施策となるのだ。


【筆者について】
Kevin Cuthbert(ケビン・カスバート)氏は、人材開発の領域で30年以上の経験を有し、エグゼクティブ・チームと共に生産性を高めるコーチングを実践している。また、リーダーシップ学習プロセスや組織変革プログラムの設計と実践を手掛けている。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】How Can Leaders Respond Now? 5 Ways to Get Back to Basics!(2022年9月23日にBatesのResearch and Resourcesに掲載された記事の翻訳。Bates Communications Inc.の許可を得て翻訳・掲載しています。)
Article translated with permission of © Bates Communications


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