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苦境の中でリーダーが持つべきものとは~プライド・楽観主義・自信
2023年03月21日
何年も前、住宅ローン危機で不動産業界全体が不況に陥ったとき、私は大手の不動産会社で働いていた。経済ニュースは悲観的な見出しであふれかえり、CEOたちは見るからにうろたえ、株価は下落し、投資家は気をもんでいた。業界を見渡せば、どの会社も賃貸料を下げて特典を豊富に提供し、やる気の失せた社員を何とかなだめていた。レイオフは当たり前、出張や会議は取りやめになり、社員の多くは不動産業界に見切りをつけようとしていた。そんな状況で、私たちの会社も影響を免れるべくもなかった。
そうこうするうち、私たちのCOO(最高業務執行責任者)が会社の業績指標がわずかながら上向いていることに気づいた。どうやら希望を持てる時期がきたようだ。
とはいえメディアの報道する見出しにそんな気配はまったくなく、他社のCEOや業界のリーダーたち、そして投資家たちも、まだ守りに徹していた。経済は明らかに危機的状況にあり、そのため企業は価格を低く抑え、特典を高く設定したままだった。
経営陣の意識の変化が組織に伝播する
しかし私たちの会社の勇気ある経営陣は、他社とは違う道を進む決断をした。会社のリーダーたちを集め(そう、出張費を使った!)、COOは感動的なスピーチをした。「メディアの報道ではなく、わが社のダッシュボードを見よ」と。たしかに、ダッシュボードを見れば、会社の資産価値に合わせて再び価格を上げ、少しずつ事業への投資を始められそうだった。その一方、メディアの報道は相変わらず後ろ向きだった。
私たちの会社の経営陣は希望を抱き、それが組織全体に広がっていった。営業チームは、販売活動を再開するために必要なツールが与えられ、やる気も出てきた。やがて全員が成長の小さな兆しに気づきはじめ、それが大きな変化につながっていった。まさに電撃的だった。
競合他社は守りの姿勢でじっとしていたが、私たちは前に踏み出した。投資家は懐疑的だったものの、経営陣の自信に満ちた態度、理路整然とした話しぶりに多少なりとも明るい見通しを持った。結果的にダッシュボードは正しかったし、会社のCOOも、社員も正しかった。顧客は、私たちが提供する品質を手にするためなら高く支払ってもよいと考えるようになっていた。
ビジネスモデルや価格戦略にいち早く取り組むことで、競合他社があきらめていた収益を私たちは獲得できた。会社の株価も上昇し、世間の注目を集めた。
不確実な時代のリーダーが持つべき3つテーマ
くだんのリーダーシップ会議にはテーマがあった。それは、「プライド、楽観主義、自信」である。会議に向かうときはだれもそんな気分ではなかったが、帰路につくときはまったく違っていた。全員が、自社を率い、不確実な時代を生き抜くために今日のリーダーが知っておくべきことを学んだのである。それは次のとおりである。
- 大胆に行動し、自分たちが誇れるものを組織に与える
- メディアの報道を敢えて無視し、自社の事業そのものを見つめる
- 重要とみなす指標を注視する
- チームを鼓舞し、会社が得意とするものに専念する
- 過剰なリスク回避に陥らない―良いニュースがあれば共有する
- 自信を持って皆を束ね、正しいことを遂行する
今の時代こそ、自分の組織とチームに誇りを持ち、どんな嵐も乗り越えられると楽観的に考えるべきである。そして、自分自身もリーダーたちも自分のチームも、「どうすれば目標に到達できるかわかっている」という自信を持つべきである。
【筆者について】
クリスタ・ソレンソン(Christa Sorenson)は、BTS傘下のBatesでエグゼクティブアドバイザー兼コンサルタントを務め、雇用者と従業員の双方にとってより良い職場を築くための組織変革に携わる。変化を主導するリーダーを支援し、自らの強みを最大限に発揮してビジネスとリーダーシップの能力を伸ばす指導を行っている。
【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Recession Leadership Hacks: Pride, Optimism, and Confidence(2022年12月7日にBatesのResearch and Resourcesに掲載された記事の翻訳。Bates Communications Inc.の許可を得て翻訳・掲載しています。)
Article translated with permission of © Bates Communications
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