リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。
【コーチング型リクエスト】 第2回 リクエストについて再考する
2017年10月17日
リーダーシップミニ講座、シリーズ8のテーマは「リクエスト」です。
第1回 | コーチング型リーダーは、部下やチームに率直にリクエストする |
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第2回 | リクエストについて再考する |
第3回 | リクエストのタイミングとポイント |
第4回 | コーチング型リーダー、コーチング型マネージャーのリクエスト |
第5回 | 相手に合わせたリクエスト |
リクエストとは何か?
ちょっとした努力によって手にできたかもしれない可能性を、それに気づかなかったばかりに、手に入れることができなかった、という経験はないでしょうか?
リクエストは、そうしたチャンスを表面化し、それに意識を向けさせるためにとても有効なスキルです。
リクエストを通して、刺激し、挑戦させることにより、人は自分では思ってもみなかった大きなスケールで、そして現在の能力を超えて考えることを始めます。「挑戦をさせる」ということは、その人がやりたいこと、実現したいことよりもさらに上を求めることです。すると、相手はリクエストを通して、今は手の届かないところにある可能性に気づき、それをつかみとろうとして行動を起こすようになります。 価値のあるリクエストは、想像の限界を超えた行動や成長を引き出すのです。
そのようなリクエストは、相手が自分自身で想定している範囲や、単独でできる範囲を超えたことを実現しようと奮起するきっかけとなります。同時に、あなたが相手の潜在的な力を信じていることを相手に伝える手段ともなります。
リクエストをされた相手は、最初、自分では力の及ばない行動や結果を求められている、と感じるかもしれませんが、実は全くその逆です。リクエストは相手が行動を起こし、比類なき成功をおさめることができると信じているからこそ行うものなのです。
コーチング型リクエストのメリット
コーチング型リーダーがリクエストするのは、次のメリットがあるためです。
リクエストは人を飛躍的に成長させる
無意識に設けている、自身の思考や行動の枠の外に相手を連れ出し、新たな可能性を引き出す。
リクエストは次のステップへのマイルストーンとなる
たとえ、そのリクエストの内容がそのまま実行されなくても、他の選択肢への道しるべやヒントとなる。
つまり、コーチング型リクエストとは、「自分のための要求」ではなく、「相手の成長や成功のために相手に行動を求めること」なのです。
リクエストを受けた相手が持つ「3つの選択肢」
注意すべきは、リクエストは「指示」「命令」とは違うということです。
つまり、リクエストを受けた相手には、
- 受け入れる
- 断る
- 交渉する
の3つの選択肢から、対応を選ぶ権利があるということです。
リクエストすることに怖さやリスクを感じやすいのは、断られるのではないかという懸念があるからです。しかし、コーチング型リーダーは次のようなガイドラインを持ってリクエストを行います。
- 相手が断る可能性は織り込み済み。
- 選択肢は相手にあり、リクエストはアイディアのひとつにすぎない。
- リクエスト通りには行かなくても次の行動への材料になる。
勇気を持って、価値のあるリクエストを行うためには、このことを認識しておくことがとても重要です。
また、このことは相手とも共有している必要があります。なぜなら、相手がリクエストを断ったり、交渉したりすることに、心理的な抵抗を持っている可能性があるからです。
もしこの3つの選択肢を認めることができない、つまり、必ず実行してほしいときには、きちんと「指示」「命令」として伝えることがリーダーには必要です。そうすることで、「指示」「命令」と混同した「リクエストのようなもの」をしてしまうリスクを減らすことができます。
コーチング型リクエストを身につけるためのミニワーク
まず、次の2つのテーマについて考えてみてください。
- あなた自身が「リクエストすること」「リクエストされること」にこれまで持っていたイメージ
- 普段、部下やチームに対して、どんな時に、どんな目的でリクエストをしているか
上記について明確にした上で、リーダーとして、今後はどんな目的を持って、どんな時にリクエストを行うかの指針を明確にしてみましょう。また、「リクエストとは何か」「リクエストの目的と効果」をあなた自身の言葉で表現してみましょう。
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