リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。
【コーチング型リクエスト】 第5回 相手に合わせたリクエスト
2017年11月09日
リーダーシップミニ講座、シリーズ8のテーマは「リクエスト」です。
第1回 | コーチング型リーダーは、部下やチームに率直にリクエストする |
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第2回 | リクエストについて再考する |
第3回 | リクエストのタイミングとポイント |
第4回 | コーチング型リーダー、コーチング型マネージャーのリクエスト |
第5回 | 相手に合わせたリクエスト |
最後に、リクエストをより効果的に行うためのポイントをもうひとつ紹介します。
コミュニケーションは常に「テーラメイド(個別対応)」です。これは、リクエストも例外ではありません。相手のタイプによって、受け入れやすいリクエストの仕方、受け入れにくいリクエストの仕方があります。
ここでは、「タイプ分け™」の4つのタイプを軸に、リクエストの個別対応を考えてみましょう。
コントローラータイプ
コントロールされることを嫌うコントローラーには、リクエストするときも、「単刀直入に」「ストレートに」「結論から」「スピード感を持って」することが重要です。こちら側の遠慮や迷いに弱さを感じたり、婉曲的な表現に遠回しなコントロール感を察知すれば、彼らは耳を貸すことさえ嫌がるでしょう。自分で判断したいこのタイプは、リクエストに対して「NO」をいう可能性も高いですが、その場合でも「ストレートにリクエストされた」ということ自体がその後の信頼関係につながります。
プロモータータイプ
人に影響を与えることを重視するプロモーターは、人から頼まれたり、リクエストされることが決して嫌いではありません。ただし、細々とやり方やプロセスを提示・示唆されると不自由さを感じ、やる気を失います。重要な点を共有しつつ、ある程度ざっくりと、あまり細かいことは言わないことが重要ですが、継続が苦手なタイプでもあるので時々声がけが必要です。また、合わせて、期待やリクエスト内容を実現した時のビジョンなどについても話し合うと有効なのもこのタイプです。
サポータータイプ
協調性を重んじるサポーターは、リクエストには必ず「イエス」で返します。ときに、無理だったとしても、イエスと言ってしまい、後で苦しくなることもあります。それを避けるためには、3つの選択肢(受け入れる、断る、交渉する)をあらかじめ丁寧に共有することです。加えて、「本当に可能か」「負担になっていないか」を丁寧に確認します。また、「いつでも相談にのるよ」と伝えておくこと、そして、あなたからもこまめに声がけしてフォローすることが必要です。
アナライザータイプ
根拠やリスクを事前に想定することを重んじるアナライザーは、それが希薄であれば、たとえ上司に言われても受け入れず、また仮に口ではイエスと言っても結局は動きません。裏返すと、理由や背景などを丁寧に伝え、本人が納得すれば完璧に実行します。合わせて、想定していなかった状況が得意でないアナライザーとは、リスクについても話し合っておくといいでしょう。また、そうした検討のプロセスに時間をかけるのもこのタイプの特徴です。返事は急がず、考える時間を提供することも必要です。
リクエストの内容が同じだったとしても、このように伝え方や前後のフォローを変えることで、より伝わりやすい、受け取りやすいリクエストになります。相手がどんなタイプかを日頃から観察しておき、それに対応したリクエストの伝え方をあらかじめ検討しておきましょう。
コーチング型リクエストを身につけるためのミニワーク
今後、特に成長を促したいと思っているメンバーを三人選び、それぞれのタイプに応じたリクエスト戦略を練っておきましょう。
さて、今回でこのコースは終了です。ぜひ今後も折にふれ読み返しながら、「コーチング型リクエスト」を実践し続けてください。あなたが「コーチング型リクエスト」を実践していくことで、部下やチームの能力が引き出されると同時に、成長が期待できます。やがて、チーム内、組織内に「コーチング型リクエスト」の文化が生まれます。ぜひそこを目指して、効果的なリクエストをし続けてください。
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