リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。
【コーチングマネジメントのススメ】 第2回 コーチングマネジメントとは
2018年01月25日
第1回 | 「なぜ今、コーチングマネジメントなのか?」 |
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第2回 | コーチングマネジメントとは |
第3回 | コーチングマネジメントを「いつ」使うのか |
第4回 | コーチングマネジメントのコミュニケーション |
第5回 | コーチングマネジメントが活きるとき |
この回では、「コーチングマネジメント」の具体的な手法について、理解を深めていきます。
「指示命令型マネジメント」と「コーチングマネジメント」
コーチングマネジメントとは、コーチングスキルやコーチングの概念を活かしたマネジメントスタイルのことを指します。マネジメントの際に、コーチングを通して、部下の目標達成、業績向上、業務遂行、そして成長を促進することを重視します。
コーチングマネジメントの特徴を理解するために、指示型マネジメントとコーチングマネジメントの考え方の違いをいくつかみてみましょう。
指示命令型マネジメント | コーチングマネジメント |
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問題の解決は上司の役割だと考える | 部下が自分で問題を解決することが部下自身の成長につながると考える |
結果を重視する | 結果だけではなく、過程も重視する |
失敗や間違いが極力生じないように注意を向けている | 失敗や間違いから部下が学び、成長することに注意を向けている |
部下が行動を起こしやすいよう、細かく具体的な指示を出す | 部下が自ら考えて動くことができるよう、ゴールを共有し、部下の行動をサポートする |
コーチングマネジメントの基本的な考え方
目的は、部下が自分で動けるようになること
コーチングマネジメントの真の目的は、部下が自分で判断し、行動し、目標達成できるようにすることです。ゆえに、コーチングマネジメントでは、目標を達成させることそのものではなく、目標を達成するための環境、スキルアップ、学びを促進することに注力します。
指示して「教える」のではなく、聞き、問いかけて「考えさせる」
コーチングマネジメントでは、部下が問題にぶつかったときに自ら解決できる能力を身につけることを重要視し、部下の能力の向上を優先します。したがって、上司は部下に過去の成功パターンを踏襲させるのではなく、部下自身が考えられるよう関わります。具体的には、部下の話を聞き、部下のアイディアやリソースを引き出す問いかけをします。
コーチング型マネージャーのコミュニケーションの特徴
コーチング型マネージャーのコミュニケーションの特徴としては、次のようなものが挙げられます。
- 部下の意見をよく聞いている
- 部下に自ら考え、問題解決を促進させるような質問をしている
- 部下の行動や成果に対して、タイムリーにフィードバックしている
- 自分のやり方を押しつけるのではなく、部下のやり方・強みを認めている
- 相手によってコミュニケーションの仕方を柔軟に変えている
コーチングをどのように活用するのか
それでは、実際にコーチングをマネジメントに取り入れるには、どのような方法があるでしょうか。3つのスタイルを紹介します。
1. コーチングセッションを構造的・継続的に実施する
シンプルかつ本格的なコーチングの活用方法です。
「一週間に一度、30分」というように、ある程度まとまった時間を使って、定期的かつ継続的に、部下の目標達成やスキルアップをテーマとしたコーチングセッションを行います。
セッションにおいては、上司・部下という関係性は一旦脇におき、純粋にコーチとコーチングを受ける人という対等な関係で対話をします。
2. 必要な瞬間に、その場で、短くコーチングする
仕事の流れに沿って必要なタイミングをつかみ、3分間、もしくは10 分間といった短い時間で、ポイントを絞ったコーチングを行う活用法です。活用場面としては、営業に出かける前や大切なプレゼンの前などが考えられます。
この方法は、1の構造的・継続的なコーチングセッションの補完として活用することもできます。
3. コーチングスキルや概念をふだんのコミュニケーションに取り入れる
コーチングスキルやコーチングの考え方を前提にマネジメントをするという方法です。
日々のコミュニケーションにおいてオープン・クエスチョンやアクノレッジメントを増やしたり、短期的な問題解決を超えて目標達成や能力開発に焦点を当てて関わることを意識したりします。
「コーチングマネジメント」を実践する際に重要なのは、「目標および成長に向けて」行うということです。コーチングの「聞く」「相手を認める」という面にばかり目を向け、「目標に向けて行う」という対話の目的を忘れてしまうと、結果として、コーチングで はなく、ただのおしゃべりや出口のない会話になってしまうので注意が必要です。
コーチングマネジメントを取り入れるためのミニワーク
信頼関係構築度をチェック!
~コーチングマネジメントが効く土壌をつくる~
コーチングマネジメントが機能するか否かは、「部下との信頼関係」にかかっています。もしあなたがどんなに卓越したコーチングスキルを身につけようとも、信頼関係なしには機能させることができません。
ここで今一度、一人ひとりの部下との信頼関係を見直し、必要に応じて、信頼関係強化に取り組んでおきましょう。
部下との信頼関係構築度チェック
- 部下一人ひとりとコミュニケーションを十分とっている
- 部下との約束や約束の時間を守っている
- 必要な情報を部下たちにスピーディーに共有している
- 部下一人ひとりのゴールや進捗状況を把握している
- 部下からの報告を待つだけでなく、自分からも適宜声がけをしている
- タイミングよく部下の目標達成や成長に気づき、そのことを伝えている
- 前進や成長のための厳しいフィードバックも伝えることができ、相手もそれを受け止めることができる
- 部下が気軽に相談に来る
- 問題が起きたとき、 部下からいち早く報告がある
- 部下から業務改善や新しい取り組みの提案がある
[リーダーシップミニ講座] 信頼関係を築くための4つの取り組み
[Coach's VIEW] 「信頼」があるから影響力を発揮できる
[Coach's VIEW] 信頼関係、安心感、自発性
〈書籍紹介〉
〈Webコンテンツ紹介〉
コーチング研究所 「Insights」
「組織や部下を成長させるリーダーシップ力とは」
〜リーダーの「関係構築力」は組織や部下の成長と強い相関がある
Hello, Coaching! 「講演録」
「ヤフー副社長が語るエグゼクティブ・コーチング」
「第2回 ヤフーでコーチングがはじまる」
〜ヤフーのコーチングマネジメント
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